知りたい気持ち
「ゲームでも何でもやってていいですよ。ご両親の所へ戻ってもいいですから」
アサトの部屋に、一人で向かうキャロル。
ゆっくりとベッドに座る。視線の先には、本棚とカレンダー。金髪の少女は、両親に
「……ごきげんよう」
不安そうな表情をしているキャロルが、
『ごきげんよう。
キャロルの父親は、
「ええ。別の国ですからね。……ですが、思っていたほどではありませんでした」
どうやら、昔の暮らしの情報が頭にあったらしい。
向こう側で何やら話し声がして、別の声が聞こえてくる。
『キャロル、元気ですか?』
優しい女性の声。母親だ。
「ええ。……昨日お会いしてから、あまり
キャロルは、言ったあとで笑った。
『ところで、もうアタックはしたのですか?』
キャロルの母親が聞いた。
「……お母様! まだそのような関係では……」
キャロルは、眉を八の字にして否定した。
『そうなのですか? いい
キャロルの母親が思いを伝えた。また向こう側で何やら話し声がして、別の声が聞こえてくる。
『焦らなくていいのだよ。ゆっくりと、自分で考えなさい』
キャロルの父親の声も、優しかった。
「……はい。また
『ああ。
キャロルに、これまでのような恐怖はなかった。胸に手を当てて、微笑む少女。
色々な話をして、キャロルの顔は赤くなった。
何でもしていいと言われたキャロル。
特に何をするわけでもなく、しばらくベッドに座って部屋を見ていた。左奥にはタンス、その手前には机と椅子。右に大きく体を
キャロルは、ゲーム機の電源を入れた。
次に、新しくアカウントを作成。自分に似せた、つり目気味で金髪ロングヘアの少女のアバターを作る。
レトロファイトを
エンディングはスキップできる。キャロルは何もせず、ベッドに横になって
「早く、お会いしたいわ」
インターネット
しかし、表情は晴れない。
途中で休憩し、ベッドの上でごろごろし始める。すぐに起き上がると、
時差のせいで、金髪ロングヘアの少女は眠そうだ。何度かベッドに吸い込まれそうになる。
今にも閉じそうな少女の目がぱっちりと開き、戦っていた相手はあっという
次の
「ごきげんよう」
すこし
キャロルは
「……ごきげんよう」
そのままの
アサトの後ろに、誰かがいた。同じ
「ごめん。
「おい。この人が
アサトが言うことに耳を貸さず、少年は
「まずいな、これ。いや、まずくないか。あいつは言いふらさないだろうし」
壁際まで押し込まれていたアサトが、
「せっかく、ご友人がいらっしゃったのに……わたくしが追い返してしまいました」
ベッドに座ったキャロルは、ひどく落ち込んだ様子。
「いいですよ、別に。キャロルのことを信じなかったので、連れてきただけですから」
「……色々と、お話を聞かせてください」
すこし寂しそうな表情の少女は、少年の手を
「
グレーのシャツの少年が話を始めると、隣の少女は笑顔になり、会話に加わる。
少年も、笑顔で答えた。
薄手の白いシャツに、グレーのスカート姿の少女が見つめる。
「今晩も、泊まってよろしいですか?」
「
「嫌です。……戻りません」
「
「……違います」
キャロルは
「気を
「……そうなのでしょうか」
キャロルは何かに気付いた様子で、相手を不安そうな表情で見つめた。
母親がアサトを呼び、少年は部屋から出ていった。
「初めて、自分のことを
キャロルは誰にでもなく問いかけた。答えは返ってこなかった。
キャロルとアサトと、アサトの母親は、台所で昼食を食べた。
普段どおり過ごしていたはずのキャロル。アサトの母親に体の調子が悪いのかと聞かれ、すこし驚いた様子で否定する。
食後に、しばらく
「わ……わたくしのこと……どう思っているのですか?」
アサトの部屋のドアが閉まると、キャロルは立ったまま
「ご両親にご自分のことを話せて、よかったと思っています」
アサトは、
キャロルは、なぜか
二人はベッドに座った。
「……わたくし、今日は暗くなる前に、お父様たちのところへ戻ろうと思います」
「ええ、たくさん話すことがあると思うので、それがいいと思います」
「そのあと……学校が終わられてから、来てもいいでしょうか?」
キャロルは不安そうに聞いた。
「はい。いいですよ」
少年が微笑んだのを見て、少女から笑みがこぼれた。
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