ディーナ
9月から
緑色のチェックのワンピースに、緑色の上着という
大きな家から、学校まで向かう。
学校は
車から降りると、一人で学校の
校庭には先生が何人も立っていて、クラスが書かれた紙を持っている。
前年度の終わりに、
キャロルは、見知った先生のいるところに
朝一番で、
今日は、音楽集会だった。みんなで歌う。キャロルも普通に歌えた。
集会が終わり、靴を
向かうのは、コートや鞄を
教室に着くと、生徒たちは
灰色のじゅうたんが敷いてある。キャロルも
出席を取る方法は、返事ではない。
「おはようございます。わたくしの名前は、メリンダと
若い
15人の生徒たちが、次々に
「……おはようございます。メリンダ先生」
周りが騒がしかったために、金髪の少女はあまり
「大丈夫ですよ。みんな、すぐお友達になってくれますからね」
メリンダ先生から優しい言葉をかけられても、キャロルの心は晴れなかった。
全員の
通い始めた最初の日から始まる、勉強。
といっても、遊び中心のカリキュラムである。絵を描いたり、夏休みの思い出を話したり。
2時間ほど
生徒たちが遊んでいるのを、先生が二人以上で見守るのが決まり。ほかの先生たちは
金髪の少女は、あまり話さなかった。しかし、
少女が笑うとみんなも笑って、それを見た少女が、
キャロルは、食堂で
先生たちもお
「ごきげんよう」
キャロルの隣の椅子に、淡い茶色の髪の少女が座った。
ずっと金髪を保つ人はすくない。多くの場合、成長と共に別の色に変化する。キャロルたち家族が注目される理由は、そこにもある。
「……ごきげんよう」
「わたくし、あなたとお友達になりたいの。名前は、ディーナ」
淡い茶色の髪の少女は、笑顔だ。
「わたくしは……」
キャロルは、何かを言おうとした。だが、言えなかった。ハァハァと呼吸は乱れ、
「知っているわ。同じグループですもの。無理しないでいいのよ。よろしく。キャロル」
話したあとでディーナは笑顔になり、
キャロルも表情を
(名前を伝えたいのに、言葉が出なくて、
1時間ほどの、お昼の休み時間が過ぎた。
灰色のじゅうたんが
午後の
キャロルの番になった。
「……ごきげんよう。メリンダ先生」
周りが騒がしかったために、金髪の少女はあまり
「ごきげんよう」
先生は微笑んだ。キャロルは、すこし困ったような顔をして微笑む。
2時間ほど授業があった。途中で10分ほど、短い休憩が入った。
キャロルと同級生は、クロークルームに鞄を取りにいき、
帰るときにも
「ごきげんよう。メリンダ先生」
傍のディーナが、キャロルに
「ごきげんよう。またね」
手を振られて、キャロルも手を振り返した。声は出さない。
(またね)
それぞれの親が迎えにきて、生徒たちは
キャロルの母親が迎えにきた。一緒にメイドが運転する車に乗り込み、自宅へ向かう。
絵本の中のような景色が、窓の外を流れる。
町の中心部からすこし離れた。大きな湖を一望できる場所にある、大きな家に戻った。
教科書がなく、
キャロルの鞄から出たのは、
母親は、
学校で何があったのかを家族に聞かれても、キャロルは答えなかった。
自分で話せると判断したときには、話す。みんな笑顔で聞いてくれて、キャロルも笑った。
そのためか、
六歳のキャロルに、PC(パーソナルコンピュータ)が与えられた。長時間使わないようにと、寝室ではなく
インターネットを活用する、水玉模様のワンピースを着た少女。
一番、調べたかったことを調べた。そして、自分が何者なのかを知った。
(
おもな
繰り返し。<例>ごごごごごきげんよう。音を繰り返す初期の
引き延ばし。<例>ごーきげんよう。音を引き延ばす言い方。
ブロック。<例>……ごきげんよう。つまって音が出てこない。最初の一音が出れば、あとは話せる。周りの人は
本人も言い換えたり、黙ったりするので、連発するものだけが
(ようやく、たどりついた)
こわばる・赤面・当惑など、変化する表情。
そらす・チラッと見るなど、定まらない視線。
おどけ・恥ずかしそう・落ち着かないといった態度。
照れたような笑い・せきばらいするなどの行動。
先を急ぐ・小声になる・単調になるというような話し方。
症状を出さずに話そうとして行う工夫は、一時しのぎでしかなく、解決にはならない。
回りくどい表現をする・あー、えー、などを入れる、
話すスピードを上げる・語音に弾みをつける、
一度話すのをやめて、再び試みる、
症状が悪化し、
話す場所や相手を避ける。
中途で話をやめる。考えるふりや、分からないと言ったり、黙る。相手が言ってくれるのを待つ。
ジェスチャーを多く使う。ことばや語順を言い換える。
(よかれと思ってやっていたことが、わたくしの
キャロルは、さらに調べる。
未だに
「どうしよう……」
美しい金髪が揺れた。声に出して、泣いた。
※参考文献:
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