怯える必要ないですよ(祖母)
最初、祖母は階段から転げ落ちて骨折したため入院した。三週間で退院できると思われていたが、ついでに色々検査してみると大腸ガンが見つかった。自覚症状がほとんどなかったため発見時にはステージIIIまで進行し余命三ヶ月を宣告された。
寝たきり状態の祖母は運動不足で筋肉を落とし、ふくらはぎは鑢をかけたパイン材の丸棒のようである。確かに祖母の
容姿こそひ弱な祖母であるが、元来の陽気さは健在なので病室に入るのは苦ではなかった。余命宣告から一年半経った今では祖母は痛みを感じるたびに楽しそうに「死ぬ!死ぬ!」冗談を言う。そして毎回家族みんなで「死にゃしませんよ」と返し、祖母も含めて全員で笑うのが恒例である。今日も例に漏れずそのやりとりがあった。
おじいちゃん、写真だけではわからないと思いますが、おばあちゃんはとても元気ですよ。
(396字)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます