4話 スカウト
4月某日、妹は学校へ行き、俺も1限目の講義に間に合うように、だらだらと大学への道を歩いていた。
「そもそも、プロデューサーって何するんだろう・・・」
こみ合った電車の中で、Google先生に聞く。
「そうだよなぁ、やっぱりスカウト、だよなぁ」
電車を降り、駅から大学の門までの短い道のりを歩く。大学附属の小学校の生徒たちが走り回るこの道も、歩きなれれば、そんなに不快でもない。
子供を避けようとスマホから目をあげたそのとき、目の前にいたのは、銀髪の少女。俺は完全に目を奪われた。
ダイヤのように透き通った瞳に、白い肌。ホワイトタイガーのような存在感を放ち、散りはじめた桜の花びらは、彼女の光で輝いているようだった。
俺は直感的に話しかける。
「すいません、アイドル、やりませんか?」
「アイドル! 嬉しい! やる!」
まさかの二つ返事に、うろたえたのは俺の方だ。
「わたし、ロシアから、きた、ミーシャ! アイドル、好き!」
「お、おう。そうなのか」
予想外の展開に、このあとの準備をなにもしていなかったのが悔やまれる。
「とりあえず、今日、家、これる?」
「はい!」
完全にナンパ師の手口だ。自分で言うのもなんだが、こんなのに引っ掛かるのを仲間に入れて、大丈夫なのだろうか・・・
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