3話 プロデュース

「だから、お兄ちゃん。私たちをプロデュースして!」


なるほど。アイドルのプロデュースか。俺の得意分野だ。いまこそアイ○スで鍛えた俺の力を・・・!

何てうまくいくとでも思ってんのか!

「ちょっとまて、おまえらもう高校生だろ? 大学受験とか大丈夫なのか? だいたい、おまえら踊れるのか!? 歌えるだけじゃアイドルとしては・・・」

「ほら、いったでしょ?」

妹が急に誇らしげな顔をする。

じゃーん!という掛け声とともに、妹が取り出したのは、B5のルーズリーフ。何やら書き込んである、どれどれ。


計画表!

4、5月:勉強しながらダンスの練習

6月:テストが終わったら、ファーストライブ!



え、これだけ?

「ダンスと、勉強、両立、できる!」

誇らしげに言う妹。なぜか羨望の眼差しを向ける美優。

「大雑把、過ぎない?」

「いいの! お兄ちゃん、ライブの準備と、ダンス教える。それだけ! 」

こういうときの妹の行動力は半端じゃない。話すスピードと比例して、そのときのやる気が測れるのも、妹の面白いところだ。


さて、俺のことも少し話さないと。俺は暇を極めた文系大学生。起業のことも興味があって、経済学部に入ったから、プロデュースにも、興味がないわけではない。俺に妹たちの頼みを断る理由があるだろうか。あるはずはない。逆に、もし妹たちに人気が出たら?メジャーアイドルを0からプロデュースしたとなれば、就活が楽になるのはもちろん、もしかしたらそれで生活できるかもしれない?しかも、あのかわいい美優を間近でみていられる!

と、ここまでの深い検討を経て、俺は結論を出した。


「いいよ、俺がおまえらを、武道館につれてってやる!」


こうして、俺の人生は、リアルアイドル育成ゲームへと、姿を変えたのだった。

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