第23話

 俺の部屋には、ベット、こたつ、テレビ、ゲームがある


 サンは川へ人助けに、ルナは山へ山賊をしばきにいった


 他の仲間は俺の部屋に集まっている


 エルはなぜか俺のベットで同人誌を読み


 ヒマワリはこたつでまるくなりながらゲームを


 そしてアルもこたつに入りゲームを


 俺から離れなくなったフェアを肩に乗せ、四人で一緒にゲームをしている、肩のコントローラーが重い


「にゃんでみゃーばっかりこんな人生なのにゃ!」


 ヒマワリはこたつをドンドンと叩いている


「雑魚すぎるの、最下位はいつもヒマワリなのぎゃああああああああああああ」


 フェアもなんだかんだ言って弱い


 ヒマワリは人生ゲームをするといつも地下労働をしていた


 しかし、ヒマワリももう少し可愛くならないものか


「なぁヒマワリ、お前もうちょっと可愛くなる努力しない? 自分のことわっちって呼ぶとかさ?」


「……にゃはははははははははは! そんな言い方するやついないにゃ、そんなやついたら馬鹿じゃにゃいか? にゃははははははははは」


 あ、こいつダメだな……しかしそんなことよりも俺には重要なことが二つある


「違うゲームするにゃ! こんなのやってられないにゃ」


「そうなのそうなの!」


「仕方ないであるな」


 子供二人のわがままで違うゲームをすることになった、アルを見習え


「にゃはははは、ついにみゃーにも運が向いてきたにゃ、ご主人も年貢の収めどきにゃ」


「終わったなの! クスもついに終わったなの! 早く額を地面に擦りつけて謝るがいいの!」


「ふーん」


 猫は貧乏神を俺にぴったりでなすりつけてきた


 俺はぶっとびカードを使った……もちろんホールインワンだ


「にゃんでだみゃあああああああああああああああ!」


 このゲーム、地形が日本に限りなく近い気がする、しかしそれよりも


 そう、重要なことだ。その一つは、ゲームが楽しめなくなったのである。運が絡まないゲームなら楽しめる、だが運が強く勝敗に左右するゲームでは圧倒的大差で勝ってしまうのだ、俺強いは確かに楽しい、だが同時にゲームの楽しさはとことん失われる。俺は緊迫する状況をなんとか打破するゲームが好きなのだ


 ……そしてもう一つ、最も重要なことがあった


「結局我と魔王様の一騎打ちであるな」


 そう、これだ


「なぁアル、その魔王様って言うのやめてくれないか?」


 アルは視線をゲームから離さずに尋ねてくる


 ゲーム大好きっ子なのでしかたがない


「なぜであるか?」


「なんか堅苦しいだろ? 他の呼び方で頼む」


「う~む、思いつかないのである」


「ほら例えばさ、……お兄ちゃんとか」


 他の仲間の声が聞こえる


「変態なの」


「ロリコンにゃ」


「この卑しいメス豚が~」


 あれ!? エル!? 今の同人誌のセリフだよな?


 エルを見るが同人誌から目を離していない


 きっと同人誌のセリフだ、そうに違いない


 アルの反応を見たが特に変わらずゲームから視線を外さないまま


「わかったのである、お兄ちゃん」


 やったぜ、ついに、ついに俺にも妹ができた。義理の妹ではないが血の繋がっていない同じ城の中に住む妹ができたのだ。異世界に来て初めて幼女の妹ができた、これが異世界ってやつだ! 俺の異世界冒険はここで終わったのだ!


「アル、こっちをみてもう一度頼む」


 アルが俺の目を見てくる。恥ずかしいが『魔王様』と、俺の事を慕ってくれているはずだ、ここで頑張らずにいつ頑張るというのか


 アルと視線が絡み合う


「お兄ちゃん?」


 んあああああああああああああああああああああああああああああああ、俺はこの日のために生きてきたんだあああああああああああああああああああああああああああああああ


 俺が悶えていると部屋のドアが開いた


「やっぱりここにいたんですねアル様、お仕事の時間です」


 城の偉い人がアルの首根っこを掴み連れて行こうとしている


 ノックとかしないのだろうか、俺一応王様のはずなんだが……


 アルが俺に手を伸ばしながら助けを求めてきた


「嫌なのである! 助けてなのであるお兄ちゃん! 働きたくないのである、お兄ちゃんと一緒に居たいのである」


 助けるに決まってるだろ!


「偉い人! アルをどうか許してあげてくれ! 魔王様の命令だぞ!」

「……は、はぁ、……では今日の分は私がやっておきます」


 偉い人は肩を落とし行ってしまった


 すまんな偉い人


「イってしまいましたね~」


「そ、そうだな」


 なんか言い方が卑猥な気がした


 アルは俺の上に座った、可愛い、甘えているのかもしれない


「みかん食うか?」


「ありがとである」


 俺はみかんを剥いてあげた、ちゃんとスジもとってあげる


 エルの方をチラッとみてお茶を頼もうとした、エルはバナナをちゅぱちゃぱ食べている


 どっから出したんだろう


「エル~、お茶頼んでもいいか?」


「いいですよ~、こたつの上をしっかり、生理、してくださいね~」


「ん、ああ」


 お茶を出してくれる時に耳元で、整理の部分だけ囁かれた


 なんだろう、よくわからない


「あんまりアルちゃんにくっつくと~、捕まりますよ~」


「おうふ」


 そんなことはわかっている。イエスロリータ、ノータッチの言葉くらいは知っている。だが幼女からくっついて来ているのだ俺は何も悪くない。例えば息子が大きくなってもそれをすり付けているわけではない、問題ないはずだ。いつかスク水ランドセルを着てもらうんだ


 そんなことをしていたら時間が経つのは早かった


「お風呂の時間です」


 ドア越しに告げられる


「お兄ちゃん、我と一緒に入ってゲームの続きをするのである」


 アルはドアまで行き、俺に魅惑的な提案をしてきた


 ……いまなんと? いいのか? いいのんか? ……問題は年齢だ、異世界なんだからワンチャンあるかもしれない


「アルって何歳なんだ?」

「十二歳なのである!」


 ダメじゃん、俺は知っているぞ、ちょっとパンツが好きなだけで変態勇者呼ばわりされるんだ! どうせ職権乱用とかで俺が捕まるんだろ?


「クス様は待っていてくださいね~、アルちゃん行きましょう~」


 エルがベットから立ち上がりアルの元へ歩いていく


 え? マジで? なんだかんだ言って入れたりしないの? 異世界だろ!? なんで俺のささやかな願いが叶わないんだ! おかしいだろ、こんなの間違っている! 運なんていらない、こんな能力じゃ俺の願いは叶わない!


「お兄ちゃんはダメなのであるか? ならすぐに行ってくるのである!」


 アルはよほど早くゲームがしたいのだろう、そわそわして…………その場で服を脱ぎだした


 異世界バンザイ! 運バンザイ! 最高の能力だ!


「はわわ、ダメですよ~」


 エルがアルを連れ去ってしまった……服も持っていった


 だが俺は確かに白いパンツを見た。夢は儚いから夢なんだな


 …………どうしよう、今だけ犬になりたい、犬ならお風呂を覗けるのではないだろうか。……まてよ!? アヘ犬に変身とかできたらすべての罪をあの犬に擦り付け、俺はパラダイスにいけるのではないか!? 確か人間の三大欲求は性欲と性欲と性欲。行ける気がする! 


「パルプ――」 


「じゃ、みゃーは部屋に戻るにゃ」


 今までこたつで丸くなっていたヒマワリも今の声で起きたのだろう、部屋を出て行った


 あいつは猫だからな、たぶん風呂とか嫌いなんだろう


 そして声だけ聞こえた


「そっちに行ったわ! 沈めるのよ!」


「わかりました、足に重りを付けましょう」


「にゃああああああああああああああああああああああああああ!」


 この城にはヤクザでもいるのかもしれないな、俺は性欲を封じた、命には変えられない




 

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