第9話

 次の日の朝 


「家……探さなきゃ」


 俺はポツリと呟いた


 魔王の幹部を倒したんだからいつまでも宿暮らしってのもな、金は後でなんとかしよう


「私のせいで、ごめんね……」


 サンが落ち込んだように顔を伏せた


「いやいやいや誤解なんだって!」


「冗談よ、びっくりした?」


 サンが顔を上げると笑顔でそう言った


 なんだよ驚かせやがって


「嬉しかったわ、『生きたいように生きよう、俺も付いていく』って」


 サンの顔が赤く、俺の顔も熱を持ったように感じる


「あれは面白かったですよね。私はもちろん付いていきますが、クスが付いてきたところで身代わりくらいにしかならないですよね、正直笑ってしまいそうでした」


 お前そんな事思ってやがったのか!




 不動産屋にやってきた、オッサンとお嬢様のような金髪エルフが話している


「すいませーん」


「いらっしゃ……あ」


 有名人が来てやったぞ!


「家とか見たいんですけど」


「今ある物件ですと犬小屋くらいですかね」


 犬小屋!? なめてんのか!


「いぬ……」


 サンが悲しそうだ、ここは引けねぇ


「あー、賃貸とかでいいんですよ?」


「でしたらウサギ部屋ですかね」


「うさぎ……」


 サン……、おいルナこの野郎ぶっ殺すぞ


 そんなことを考えているとお嬢様に話しかけられた


「あの~クスさんですよね~、お部屋を探しているんですか~?」


 見てみるとほわほわした感じのエルフで、おそらく歳は十八歳くらいの見た目だ。ドレスのような物を着ている


 エルフなのに胸がでかい、ほんとにエルフなのだろうか、しかし耳は尖っているしな。


「あ、はいそうですけど」


「そうですか~、私はエルフ族のエルです~。よかったらお家に少しの間いませんか~? 一人暮らしを始めたところで心細かったんです~」


 エルは両手を胸の前に持っていき手を組んでいる、胸が強調されて……


 これは願ってもないことだ


「お願いします!」


「その代わりと言ってはなんですが~、少し頼みたいことがありまして~」


 オッケイオッケイオッパイオッケイ、幼女もいいけどおっぱいもいいよね!


「はい喜んで!」


「胸に目がくらんでますね」


「……」


 サンは胸を押さえていた


 俺が胸を凝視しているのがバレたのだろうか、エルが話しだした


「胸の大きさが気になりますか~? エルフはだいたい胸が小さいですからね~、私は十三歳頃から急に大きくなりだしたんです~、それを見た胸なしの母が『浮気だ~』と言ってパパをボコボコにしてました~」


 それはそれは…………え? エルフってどこから生まれてくるんだ?


「えっと、エルフはお母さんから生まれないのか?」


「? ママから生まれましたよ~?」


 パパ……お前は無実だぞ、可哀想な家庭を持ったな……


「……それで頼みたいこととは?」


「実は~、お家に泥棒が入りまして~、森の方に行ったらしいのですが~」


 なるほどそれは困るだろうな、心細いってのも納得だ


「じゃあさくっと取り返しにいきますか!」

「ありがとうございます~」




 平原


 お互いに自己紹介を終え、歩いていると会話が聞こえてくる


「エルはお嬢様なのですか? お金持ちなのですか?」


「父が騎士団長をしていまして~」


 騎士団長ってアダムじゃないか? ルナに金狙われてるぞ


「お嬢様って普段なにしてるの?」


 ふむサンよ、いい質問だ。俺も気になる


「同人誌を読んでいます~」


 アダムぅうううううう! 育て方間違ってるぞぉおおおおおお


「そ、そう」


 サンの顔は真っ赤になった


 ……サン、よく考えてみろ。エロくない同人誌もある、俺達の心は汚れているのかもしれないな


「あらあら~どうしたんですか~? 顔を真っ赤にして濡れそぼってますよ~」


 こいつエロいの読んでるわ! アダムぅうううううう




 森についた


 もうなつかしい感じだ、ここで金剛力士像と戦って脚光を浴びたんだっけな、あれから何日ゴロゴロしていたかわからない


 俺は感傷に浸りながら金剛力士像の居た場所に座り込んだ


「そういえば何を盗まれたんだ?」


「パンツです~」


 俺は手をポケットに入れると、みんなからは見えない位置に移動し、ポケットの中身を確認した


 ……あ、それ俺持ってるわ


「はわぁ~!」


「なんだ!?」


 バレたか!? 


 俺はエルの方を見た、エルはオークに囲まれて捕まっていた


「はぅ~やめてください~、い、いやです~! 同人誌みたいにする気です~! まだ好きな人のおチンチンもしゃぶった事ないのに~」


 やばい! 余裕そうなことを言っているが今にも泣きそうだ、てか実際ピンチだ


 エルが暴れている、俺は顔を動かしサンとルナを探した


「はっ! ご飯に夢中だったわ!」


「お金を拾っている間にこんなことになっているとは」


 二人は遠くにいた


 …………俺がやるしかない! だがどうする、いつものように雷でも落ちたらエルが、いや大丈夫だ! 俺の運を信じろ! もし雷が落ちてもきっと生き返す魔法でも発動するかもしれない


「パルプンテぇ!」


 突風が起きた、オークたちはバランスを崩していた。エルのスカートがめくり上がる。パンツが……濡れている、黒い


 クソッ! なんで濡れてるんだ! 漏らしたのか、それとも興奮して濡れたのか俺にはわからない


 俺はオーク達に素早く近づき、エルの手を掴みこちらに抱き寄せた。エルの声が聞こえる


「は、はぅ~」


「パルプンテ!」


 俺はオークに向けてパルプンテを放つ、雷が落ち、オークたちは丸焦げになった


「ふぅ」


 賢者モードではない、エルが無事で良かった


「こ、こわかったです~」


「そうか、そうだよな、よかった」


 ……興奮で濡れるわけないよな


「はい、はいです~、勇者様みたいでした~」


 エルの目がハートマークに見える、まさか……


「ずっとそばにいてください~」


 アダ……いやお父さん! 娘さんは幸せにします!


「またおやつだわ!」


 サンが走ってきてオークにかぶりつこうとする


「ちょまた!? ドラゴンになってから食べてくれよ!」


「え、でも」


 サンがエルを見る


「私はドラゴンだとか気にしませんよ~」


「そ、そう……でもドラゴンだと体力つかうの――」


「美少女が這いつくばって地面に落ちてるのを食べるところとか見たくないんだよ!」


「美少女……そ、そうね、ドラゴンになるわ……ところで」


 サンが立ち上がりこちらを向いた


「なんだ?」


「いつまで抱き合ってるのよ!」


 俺は慌ててエルから離れた


 あれ……離れる必要なくないか? エルは大丈夫のはずなのに!


「少し探したら帰るか、危険だしパンツなら良くないか?」


「そうですね~、こんなに外が怖いとは思いませんでした~」


 サンが食べ終わるのを待ち、家に帰ることになった


 ルナはギリギリまでお金がないか探していた




 エルの家に来た。大きい屋敷だ、外観は完璧にどこか貴族の屋敷に見える、庭もあり花壇や木まで植えてあった。


 今までの宿がサンの胸だとするとエルの胸くらいでかい


「パパが買ってくれたんです~、クス様もずっと暮らして欲しいです~」


 お父さんは娘を甘やかしているようだな


 エルに案内をしてもらい、部屋を決めた、大きい家だけあって部屋はまだ余っているようだ


 二階に各自の部屋、一階にリビング、キッチン、風呂、トイレがあるみたいだ


 二階の部屋に荷物を置き、一階のリビングに集まった


「ありがとなエル、助かったよ」


「私は嬉しいのでいいですよ~、すぐにご飯作りますね~」


 エルは料理ができるのかお嬢様なのにすごいな。……二人はできるのか?


「なぁ居候なんだし二人は――」


 サンもルナもフイッと視線を逸らした


 お前ら……


 俺は一人でエルの料理を手伝った


 なんだか長いものが多い気がする


 食事の準備ができ、配膳する


 エルがウインナーをちゅぱちゅぱ食べている、次はフランスパンを食べながら


「こんなに大きいの入りません~」


「……」


 たぶん下ネタが言いたいだけだ、放っておこう。しかし息子よ反応するでない


 サンが物凄い勢いで食べているのを見ていると、エルが俺の腕に胸を押し付けながら耳元でささやいた 


「パンツ、大事にしてくださいね~」


 !? バレていた!


「デレデレした顔をしていますね、発情した猿ですか?」


「むっ、……私もうご飯いらない! 寝る!」


 サンが部屋に帰っていく


 サンが…………飯を残す……だと!?


「サ、サンがご飯を残すなんて……」


 ルナも同じ意見のようだ、飯が気に入らなかったのか? いやガツガツ食べていたな。じゃあまだ落ち込んでいるのか? ……それともオークをいっぱい食べたからかもな、そんなに時間も立っていないし。大丈夫だろう


 ふとエルを見ると、……バナナを音を立てながら食べていた


 しっかり教育しとけよなアダム! ………………教育ってそっちのことしてないよな?


 ご飯を終えて部屋に行く、ベットの上に寝転がった


 ……エルが、部屋に来るのではないだろうか。パンツの所持を許すってそーゆーことだろ!? おおおおおおおおおおおおお、感情が抑え切れない


 俺はベットの上でゴロゴロしている、エルのパンツを枕元に置いて


 もうすぐか? そろそろか? あぁやばい、テントが張って痛い、まだ待つんだ俺、こんなところで力を使うんじゃない! もうすぐ、もうすぐこのパンツの持ち主が来てくれるはずだ。このパンツを履いてもらおう。ティッシュはある、近藤さん、近藤さんがないっ! どうしようきっとこの世界には近藤さんがある、でも俺は準備していない! なんてことだ、今から買いに行くか? いや多分店が開いていない。待て大丈夫だ俺、運がある! 最強の運があれば近藤さんに頼らなくても大丈夫なのではないか、出来る方に運が向くのか、それとも快楽のために運が向くのかはわからないがきっと大丈夫だ。人間の三大欲求は確か、性欲と性欲と性欲! よし準備は万端だ、ここが! 俺の! 理想の異世界だ!


 朝になった

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