第4話

 今日の予定を決めるためにルナが起きるまでベットの上でゴロゴロしていた、ルナのスカートがめくれそうで俺はそわそわしながらルナの方をみている


「むにゃ?」


 ルナが目を覚ましたようだ、ルナの視線がテーブルの上にある金にいく


「ふぁ!? なんですかこの大金は!?」


「……賭けたら勝った」


 ルナはテンションが上がったのか金に走り寄って抱きしめている


 ズルした気分だけどまぁいいか、運だし


「あなたは天才でしたか! 素晴らしいです大好きです! これからもなんでも聞いてください、ニョホホホホ」


 手の平クルーだな、結構俺のこと馬鹿にしてた気がするけど


 俺のテンションも上がってきた


「ふ、ふふふ、そうだよなこんな金みたことねぇわ、すげぇよな!?」


「はいですイェーイイェーイ!」


 ルナが俺にハイタッチを求めてきたから応じた


 冷静になったらすげぇ簡単に金稼げたな、困ったら賭けして暮らしていけるんじゃないか? これでダンジョンの魔物が危険でも安心だな。いやその前に装備を整えないと、冒険してみたいし


「その金でとりあえず装備と、服っていくらするんだ?」


「ニョホ、一千万あればいいんじゃないですかね、ニョホホホホ」


 ルナは一千万だけ俺に渡した、残りの金に抱きついて離そうとしない、たぶん手を出したら噛みちぎられる


「お、おう。じゃあ買いに行こうぜ。そのあとダンジョンでも行ってみるか。ちなみにこの世界って奴隷とかいるの? あいや、変な意味じゃないよ? 冒険仲間としてだよ?」


「奴隷なんて聞いたことありませんね、仲間は普通ギルドで募集しますからニョホ」


 なんだよ、そろそろ自家発電しないとまずいぞ、三人部屋でどうしたらいんだよ。俺の邪な考えはたぶんバレていないはずだ、だってちゃんと冒険者仲間として聞いただけだ


「ふ、ふーん、じゃ行くか」


「あ、私はここでお留守番してますニョホホ」


 まぁ大金だ盗まれたら大変だし留守番してもうのでいいのか


「じゃあサン行こうか」


「え、ええそうね」


 どうやらサンもルナの豹変ぶりに引いているようだ


 ルナを残し一千万を持って町へ向かった




 装備を買いに町に出かけると、猫獣人の幼女が道路の真ん中で泣きながら蹲っているのが見えた。


 可愛い、どうしよう声かけちゃおうかな。でもこのパターンって俺が捕まるんだろどうせ、よくまとめサイトでみたぞ


「どうしたの? ママとはぐれちゃったの?」


 俺がつっ立っている間にサンがしゃがみこんで話しかけていた


 はっ! まさか幼女を食べる気か!? 二重の意味で、二重の意味で!


「ママが、ママがどこか行っちゃたの……」


「そう……、私が一緒に探してあげるわ」


 あ、はい俺の心が汚れてました


 サンが幼女の頭を撫でると幼女の鳴き声が止んだ


「ほんとう? ありがとうお姉ちゃん!」


 幼女はまだ少し泣きつつも、サンに向かって微笑んだ


「大丈夫よ、すぐに見つかるわ、だから泣き止んで、ね?」


 サンはまた優しく幼女の頭を撫でると幼女はグシグシと目元を拭った


 いいとこあるじゃん、俺にはデザート一品すらくれないくせに。あれ、もしかして俺にだけ厳しい? そんな世界やだぞ!


「うん!」


「いい子ね、お家の場所は分かる?」


「わかるよ?」


「じゃあ行ってみましょうか、ママも一回戻ってパパと探してるかもしれないし」


「うん!」


 サンが幼女と右手をつなぎ歩き出した


「あんたも行くわよ!」


「お、おう」 


 幼女と手をつなぐべきなのか? 捕まりそうじゃね? 


 俺はわからず幼女の右後ろを歩いた




 家の前まで歩くと犬が走ってきた


「わんっわんっ」


「あっ、ママだぁ~!」


 !? 犬じゃん! え、獣人って犬からうまれんの!? 猫だよな!? あれ!?


 サンをチラ見してみると驚いているようだが


「えっと、……ママかわいいわね~」


 !? おまえすげぇな!


「うん、ペットのママっていうの!」


「だよね! 紛らわしい名前つけんな!」


 俺の怒鳴ったようなツッコミに幼女がビクッとして涙目で俺を見ている


 やっちまった、ごめんよ、ごめんよ


「クズが大きい声出してごめんね?」


「ご、ごめんね?」


 サンがフォローしてくれたので俺も謝ったが、幼女はまだ涙目で俺を見ている気がする


「ううん違うの」


 サンがハッと何かに気がついたように、悲しそうに言う 


「あ……もしかしてママはもう……」


 俺も気が付いてしまった


 ……そうか、ママがいない寂しさを紛らわすために


「あら~、どこにいってたの~?」


 生きてたわ! 俺のはやとちりだわ!


「お母さん! ママと散歩してたらはぐれちゃって」


「あらあら~、泣きながらどうしたの?」


「ゴミが目に入ってたの!」


 やばい、居づらい


「も、もう行こっかサン」


「え、ええそうね」


 俺たちはその場を去った




 服は適当に買った、着られればなんでもいい。


 装備屋と看板に書いてある店に入った、古臭い建物だ、中にはいろいろな武器と防具が所狭しと並んでいる


「らっしゃい」


 カウンターのおっさんから声をかけられた、奥から剣を打っているのだろうかカンカンといった音が聞こえる。ここで剣を作っているのかもしれない


 運がいいはずだし、錆びた剣が名刀で引き当てちゃったりしてな、ぬふふ夢が膨らむわ


「おうサン、錆びた剣とか探してくれるか?」


「は? そんなの売ってるわけないじゃない」


 サンがため息をつき、あきれた顔をしたあとに武器の並んでいる方に行ってしまう


 ……うん、そりゃそうだよな、錆びた剣なんて売り物にならないよな。ラノベで錆びた剣を手に入れるとかあるけどさ、この世界は俺の思った通りに進まないよ


 俺の運は役に立たなかった


 ……どうしよっかな、やっぱ剣かな槍とかもリーチあっていいよなぁ、でも二刀流とかかっこいいし目指すか? いやでも盾の安定性も捨てがたい、むむむむむ


「武器どれにしよう……」


「これでいいんじゃない?」


 サンは短剣を二本持ってきた


「は? それはないわ、二刀流するなら剣がいい」


「はぁ!? あんた運だけはいいんでしょう!? 短剣は致命の一撃がでることがあるのよ!」


 なにそれつえぇ! それに決めた


「サン愛してる!」


 俺はサンの手を握り、短剣を受け取った


「触らないでくれる?」


「……うん」


 サンが冷たい、あの幼女に見せた優しさが俺にも欲しい…………防具はなににしようか、やっぱプレートメイルとかかなぁ、でも重そうだなぁ


「サン~、防具とかおすすめは~?」


「これでよくない?」


 サンはペンダントを持っているようだが


 やっぱ短剣なら動きが早いほうがいいよな、運で避けるか、うんそれにしよう


「ただのペンダント? なんか効果あんの?」


「運がいいと一回だけ死なないわ」


 強いじゃん! 運がいいとってどれくらいか知らんけど俺にはつぇじゃん!


「おう、それにするわサンキュ」


「べ、べつに……いいけど」


 カウンターで買うことにする


「まいど、百万です」


「あ、はい」


 結構するんだな




 宿にルナを迎えに行く途中、魔法屋があったので入ってみる。占いでもするかのようなテントみたいな建物だ。中には呪文が書いてある紙が綺麗に並べられていた


「らっしゃい」


 魔法屋もそんな掛け声かよ


「魔法って買えるの?」


「そうよ、魔法は呪文を読むと文字が流れ込んできて使えるようになるわ」


 サンがふっふーんといった感じに胸を張って答えた、自信に満ちているように見える


 なんだこいつ、実は強い魔法が使えるとかか?


「じゃあ買うか、サンも買うか?」


「ドラゴンは魔法を使えないから無理よ」


 さっきのはあれか、知識がありますよ私ってことか 


 しかし魔法が使えない……なんでだろう


「種族によるのか?」


「ドラゴンは魔法なんてなくても強いからね!」


 めっちゃ胸張って言ってるな、胸ないけど


「さてさてどれ覚えよう」


 攻撃魔法とか回復魔法とかいろいろあるな、え?…………メテオとかザオリクとか強くね!? 


 俺の気分が魔法使いになった


「すいませーん、メテオとかいくらですかー?」


「五百万くらい」


 おぉ結構するのか、でもタメ口はやめろ、日本だったらクレーマーの餌食だぞ


「ちなみに強い魔法は精神力が強くないと普通に死ぬわよ」


「え……」


「発動もしないわ」


 どうすんの? 自分にどれくらい精神力あるかためすの? こえーよ


 一つだけ離れたところに商品が置いてあり、目に入る


「……あ、パルプンテだ」


「ランダム魔法よ、精神力はそんなにいらないはずだけど運が悪いと死ぬらしいわ」


 ふーむ、鍛えたわけじゃないからたぶん精神力とか低いだろうな。……パルプンテか


「魔法が使えたら強くね? サンより強くね?」


「は? ドラゴンに魔法は効かないわよ? それにランダムで起こる現象程度じゃ負けないわ」


 ……でも一応買っとこ、


「まいど、八百万です」


 たけーよ!? でも買う




 ルナを迎えに宿まで帰ってきた


 よし、これからダンジョンだ、冒険だ!


「ルナ、買ってきたから行こうぜ」


「そそそ、そうですか」


 ん? なんか物が散らかってるな


 部屋に入ると中のものが散らかっている、椅子が倒れていたりした


「どうしたんだ?」


「どど、どうかしたんですか!?」


 ルナがアワアワしながら周りを見ている


 いや俺が聞いてるんだけど


 俺も辺りを見回してみると


 あ……れ? 金がないんだが


「ところでさ、ここに置いてあった金は?」


「へ!? な、なんのことですか? お金なんてありましたっけ?」 


「俺が今朝稼いできた金だよ! 九千万あったよな!?」


「……」


 まさか泥棒か!? 荒らされてるし!


「お前嘘だろ!? 九千万だぞ!? 泥棒か!?」


「! そ、そうなんです、そうです、私が闘技場から帰ってきたらなくなっていて!」


 ……ん? 闘技場?


「……お前闘技場行ったの? なんで?」


「いえ別に……」


 こいつまさか……さすがにないよな


 ちょうど窓の外から男たちの声が聞こえる


「いや~、まさか九千万もスライムに賭けるやつがいるなんてな~」


「ほんとやべぇよな、でも朝一でスライム勝ったらしいぜ?」


「まじかよ~いいな~」


「ほんとうらやましいぜ」


 こいつ……九千万も賭けやがった!


 ……でもまぁ運があるんだ、また金なんて簡単に稼げるだろ。でもこれはチャンスなのでは?


「……おい、九千万賭けた奴がいるらしいぞ、なんで丁度俺たちが持ってた額と同じなんだろうな?」


「……あの、……すいませんすいませんなんでもするので許してください!」


 ルナが土下座した


 もうこいつの土下座は二回目だ、こいつはたぶん簡単に土下座するタイプだ。……でもいまなんでもって


「じゃあどうしよっかな~」


 脱がす? ひん剥いちゃう? それとも……


「ねぇクズ、あんたわかってるわよね?」


 サンの威圧がすごい、腕を組んで立っている


 ここで引くの? こんなチャンス二度とないかもしれない。それに九千万だぞ!? ルナは可愛いしなんでもするって、たぶん雰囲気的にいけるんじゃないか? でもそうしたらサンが……いやでもここはルナに恩を売っとくのがいいのではないか?


 俺はイケメンスマイルを作った


「金なんてまた稼げばいいし、大丈夫だ」


「え、良いんですか? 私は許されたのですか?」


 ルナがキョトン顔している


「あぁ気にするな、最初は泥棒だと思ったわけだしな、お前が無事で良かったよ」


「部屋はあたり散らしただけです。でもそうですかそうですか、私って可愛いですもんね許されて当然ですよね。あぁ心配して損しました。早くその辺片付けてくれますか? 私は優雅にお茶でも飲みたいんです」


 ルナは一瞬で立つとベットに座った


 こ、こいつ……体で払わせれば良かった!


「あ、今エッチなこと考えてましたね? 残念ですね、あなたに触られる程安い女ではないですよ。パンツが拝みたいなら虫にでもなって下から覗けばいいんじゃないですかねゴミ虫さん」


「お、おま」


「はぁ、ルナはいつもこうよ?」


 サンからため息が漏れる


 まじかよ……これからどうしよう、不安しかねぇ


 俺の九千万は心のこもっていない土下座一回でなくなった

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