第27話「王にして僕たる力」
――
その意に反することは世界への反逆であり、その身へ牙を
「よろしい、では諸君にエンディングを……終わりを望むものに相応しい
緋瑪は初めての対人戦闘に、
誰もが皆、湧き上がる光に己の
しかし、 緋瑪達は信じられないものを見て絶句した。【ロード・ブライダリア】の足元から一際
ログイン時のアイコンで
「我が魂こそは、【ブライダリア】そのもの。諸君、今までありがとう。せめて最後まで、この【ブライダリア】を……【
怒りも
「マスター、皆さんも……待って下さい! GMは、【ロードブライダリア】は――」
エンデウィルの声を
――
ガキン! と
助けに入ろうとした緋瑪はその時、【ステッチ】が成功するエフェクトを【ロード・ブライダリア】が
――単身一人で【ステッチ】を!?
弱々しいエンデウィルの声が小さく震える。
「マスター、【ロード・ブライダリア】は……一人で何度でも【ステッチ】できるんです」
「そう、これがGMだけに実装された【オーバーロード・ステッチ】だよ、少年」
片手で軽々と、巨大な剣が振り下ろされた。一撃で真っ赤に染まる視界の中で、頬を緩めて【ロード・ブライダリア】が
「ほう、他の者達は兎も角……一番最後の、一番高い攻撃力補正の一撃を受けて死なないとは。週間で随分とレベルを上げたものだ、少年。しかし、
「一週間……? どうして、それを」
エンデウィルを全身で
「私はこの世界の存続のため、【エンシェントハング】からエンディングデータだけを抜き出した。そのデータの始末に困っていたが……少年、ちょうど君がキャラクターを自動作成しているのを発見して、その
【ロード・ブライダリア】の種明かしに、緋瑪の仲間たちが立ち上がる。
「くっ、そうか、それでセキトさんのキャラデータがバグって、固定装備に……」
「友よ、大丈夫か!? サユキ殿にセキト殿も、無事か。ぬぅん、立てよ
「一つ忠告するわ、【ロード・ブライダリア】……勝ちに
ならばとトドメの一撃を振りかぶる、【ロード・ブライダリア】の前へと緋瑪は転がり出る。必死の想いを力に変えた、その術式をエンデウィルが叫んだ。
「マスターは魔法を使った! 【プロミネンスウォール】、発動! 【ロード・ブライダリア】、今なら間に合います。こんなことはおやめなさい! 私と
「みんなは、やらせな……こんどは、わたしが守るっ!」
必死で術式を組み立てる、その
GMだけに許された、終ることなき孤高の
「ほほう。昨日あのあと、急いでレベルを上げて覚えたとみえる。だが、いかなその
【ステッチ】は
「なぜ……どうして?」
「初心者に
「違う、そんな話聞いてない! どうして……どうして、こんなことまでして。この世界を!」
「ここが、こここそが
絶え間なく炎の
「それは、わかります。でもっ、それはここが、【ブライダリア】がゲームの世界だから!」
「そう、だが人は求めているのだ……結果の保証された、確かな未来の約束された世界を。それが一時のゲームでも、そこに身を置くことで安らぎ、
「【ブライダリア】は居心地がいいし、結果は努力を裏切らない。でもっ、だからこそっ、ちゃんと最初から
魔法を実行するたびに緋瑪は、自分の体力が
「わたし、わかる。人のこと、ずっと苦手だったから……ここには本当に、人が生きて暮らしてる。最初は怖かった……余りに【ブライダリア】の人がリアルで」
気付けば周囲は静まり返っていた。しかし緋瑪は、そのことにも気付かない。
「ここでは努力は結果を裏切らない……それだけが現実と違って。現実は時々
「マスター! 私達の処理速度を【ロード・ブライダリア】の【ステッチ】が上回りま――」
だが、倒れない。
直撃を避けて
「わたしは、
瞬間、緋瑪の視界を小さな、どこか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます