第26話「理想郷を背負うモノ」
ネットワークゲームを遊ぶものは古くより、
【プレイシェアリング】に関するシステムには触れない、触れられない……それだけが、このゲームの
「
そうだそうだ、と
「私達の疑問にも答えて欲しいわね、【ロード・ブライダリア】。
「そうだ……我々は
「当ててみせましょうか? まず、正規の手法で不正プレイヤーを処罰できないのは……これが
ぼんやりとだが徐々に、緋瑪の思考が頭を
サユキの
「運営チームのサポートなしに、
サユキの言葉の先を飲み込んで、【ロード・ブライダリア】は静かに笑った。それは
「いかにも。私は諸君たち【ブライダリア】の敵を、全力を持って排除する」
「敵? 私達が? どうしてかしらね……自分が世界の
「違うな、レディ……私達が、私とこの場に集いし者達が、そして
【ロード・ブライダリア】が目の色を変えた。その
ゲームのキャラクターというには、余りにも生々しい
同時に緋瑪達の視界内を走る、
暗く点滅を繰り返すセキトの名前は、不正プレイヤーであることを示す表示だった。
「ログアウトしてくれても構わんよ……ただ、もう二度とログインできると思わないで欲しい。私が、何より私の愛する【ブライダリア】の民が、諸君を拒むだろう」
「どうして……どうして、こんなことするんですか? こうしてみんな、エンディングを見るために集まってるのに。わたし達なら、【エンシェントハング】を元に戻せるのに」
震える声で緋瑪は、【ロード・ブライダリア】へ
「元に戻す必要はない……このゲームにエンディングなど必要ないのだよ、少年」
重々しい沈黙を、アルの声がようやく震わせる。
「では、【エンシェントハング】より
【ロード・ブライダリア】は無言で大きく
多くのプレイヤー達は
「諸君! この場に集いし諸君! 我々はこのような、【ブライダリア】の
怪しげな杖を持つ一団と、それを糾弾するGM……両者を
次第に四方から寄せる熱気が
「【ロード・ブライダリア】……先程、このゲームにエンディングは必要ないと
「無論。この世界は、【石花幻想譚】はコンテンツとしても利益を上げ続けてきた。こうして今も多くのユーザーが集ってくれるのは、この【ブライダリア】が素晴らしいからに他ならない。
左右に軽く
「どんなゲームにも終わりはきます。エンデウィルは……エンディングは、その終わりを豊かなものにするために存在するんです。僕は僕のケジメの為に、現実へと立ち向かうため……エンディングを目指します」
「では今すぐログアウトしたまえ。それが君の、君だけのエンディングだ。私の、私達の世界を巻き込むようなことはやめて欲しい」
「
ヒメが両の拳を
「エンデウィル、いこう。わたし、あの言葉を現実で聞きたい……それに」
この【ブライダリア】のことが好きになったから。
緋瑪は泣き笑うエンデウィルをしっかりと握り締めると、三人の仲間達に並んで【ロード・ブライダリア】に向き合った。
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