第21話「王の謁見」
本来、
「あっ、あの! ありがとう、ござい、ました……ヒ、ヒメは」
緋瑪は我に返ると、
「大丈夫だ、少年。かなり鍛えてるみたいでね……
【ロード・ブライダリア】は白い歯を
安堵の涙が込み上げる中で、緋瑪は大きな溜息を一つ。
「あ、あれ? 僕は何で――セキトさん? ああ、無事だったんですね。良かった……」
「
「GMがプレイヤーを手助けすることは禁止されている
「うむ! 我々だけ特別扱いは心外である。
緋瑪は混乱していた。
助かったのだが、どうやらそれは手放しに喜べない事態らしい。
「特別な者は特別に扱うべきだと、私は思うがね。
【ロード・ブライダリア】はじっと緋瑪を
「この世界に私の知らないアイテムは存在しない。では、その杖はなにかね? 答は諸君等が一番良く知っているのではないだろうか。そう、それはこの世界の終末……
結実、と。
「
無言で【ブライダリア】の王は
「それで、私を回収しに来たのですね。
「いや、その必要はない。安心したまえ」
「緊急メンテナンスの告知アナウンスがされていないだろう? つまりそういうことだ……私は、私達運営チームは、諸君等に
意外な一言に思わず、サユキとアルは互いの顔を見合わせた。驚きの余り言葉を失う緋瑪は、ギュッとエンデウィルを握り締めたまま硬直する。立ち上がるのも忘れて。
「緊急メンテナンスを
不満かね? と微笑む顔は、どこか普段の
「明日の第八次【エンシェントハング】攻略戦……諸君等を全力で
瞬間、アルが震えて感極まりながら叫び出した。
「
アルの目から、ぶわわっと涙が舞い散った。彼はそのまま【ロード・ブライダリア】に駆け寄ると、黄金の肩に手を置き再度、面を上げるよう
「友よ! 我等は決して孤独ではない、今こそ
「……いいわ、この話は引き受けましょう。どの道、他に選択肢もなさそうだし」
サユキの言葉に緋瑪も同意し、エンデウィルにそっと左手を
同時に緋瑪は、今日の失敗がまたツギハギだらけの自信を引き裂いてゆくのを感じる。何度となく
「うむ、では諸君! また明日……決戦の地で会おう。それと、少年」
「このブライダリアで、最も強い力……それは
痛感する
「うむ、あとは残りの
それだけ言い残すと、【ロード・ブライダリア】は天へと駆け上がる。彼を乗せた天馬は、あっという間に飛び去った。見送る緋瑪は、
だが、そんな緋瑪にヒメは……峰人は優しかった。
「セキトさん、大丈夫ですよ。そんなに落ち込まないで。ね、アル? サユキさん?」
「
「んー、まぁ、そうね。セキトくん、ここまで来たらグダグダ言いっこなしよん? GMも言ってたけど、最後までこの四人でしっかり行きましょ。今や有名プレイヤーだしネ」
緋瑪は
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