第17話

何度も言うが、ルトはいたずら好きの妖精だ。

ルトの作った呪いのペンダントは、付けたものの頭を残念にした。(物理的に)


ブランは、ルトのペンダントの効果を知らなかったが、呪いの内容が、大したことがなくて少し安心した。

人間の王からしたら、大きな打撃であろうが、、、




カイは次の日も再びルトのものとを訪れた。

カイにとって、ルトは父のいないこの世の中で唯一の身近な人間だった。



戦争に行きたいとは思っていない。ルトのそばを離れたいとも思っていない。

でも、ルトを守りたかった。ルトが戦争に巻き込まれることは避けたかったし、この森まで、戦争の火の粉が届かないためにも、自分にできるすべてのことをしたかった。

そのできることが、国の命に従って、出兵することだと思った。




ルトは、人間同士の戦争になんて興味はなかった。ただ、ただ、カイと共にいたかった。同時に、自分が、カイのやること、やりたいことをさえぎってはいけない、邪魔してはいけないと考えていた。




カイの出発は、明日に決まっている。

戦争に行く前に、ルトと会うことができるのは最後だった。


「カイ、私ね?カイにまだ、話してないことがあるの。」


「、、うん。」


「まだ、あなたのお父さんの本も返してない。」


「、、、、うん。」


「だからね、ちゃんと帰ってきなさい。」


「、、、、、、うん。」


「これはお守り。」


「え?」


「誰にも、あなたを傷つけさせないから。」


「、、、ありがとう」


ルトは、カイに青色のペンダントを渡した。

ルトの瞳の色を思わせる美しい蒼だった。シンプルで、たった一つの石が、紐で括られているだけだけれど、目が離せなくなる魅力があった。


カイは、ルトの秘密をなんとなくわかっていた。人間ではない、何かであろう。

だって、12年もの間、年を取らないのだ。

でも、それを考えることはやめた。





今は、帰ってくることだけを考えよう。そう思った。もしかしたら、それが一番ルトを喜ばせることかもしれないと。




カイは、ルトに必ず帰ってくることを約束して、戦争へ向かうために帰っていった。


カイが行ってしまった寂しい森の中で、ルトは、ブランを抱きしめて、泣きそうになるのをこらえていた。

無事で帰ってきてほしい。

ただそれだけだった。





ルトも、カイも、この別れを後に後悔することになる。

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