第15話
カイのもとに、一枚の手紙が届いた。
質素な手紙だった。
押されている判は国軍第四支部のものである。
カイは、いつものように、ルトのもとへ訪れる。
カイが来ると、ブランは、ルトの肩から降りて、少し離れたところで丸くなる。
ルトは、いつものようにカイを迎えたが、カイの様子はなんだかおかしかった。いつもだったら、すぐにルトに抱きつくような勢いのカイが、紙を握りつぶして、下を向いている。
「カイ、どうしたの?
何かあった?」
「ルト、、、」
顔をあげたカイは、ルトに抱きついた。
ルトは頭が真っ白になって何がなんだか、わからなくなった。
「ルト、手紙が来たんだ。
国の軍からの手紙。」
「え?え?」
「戦争が起きて、少し経つけど、
戦況が悪いらしい。
国の若者は全員、王様の命令で兵士として、戦争に行かなきゃいけないらしい。」
「え?じゃあ、、、、カイも?」
「ああ、この手紙は、国軍第四支部で働けって内容だったよ。」
「、、、、、」
「第四支部は、最前線で戦うから、兵士が大量に必要らしい。」
「そんなの、逃げよう!!
なんで、カイが、行かなきゃいけないの?
この森にいれば安心よ!
だって、カイしか、入ってこれないもの!」
「ルト、、、
なんだかんだ、育ててくれたのは、この国だし、国民の義務だから。」
「なんで、、、
行く必要ない!
だって、カイが死んじゃったら、、、」
「大丈夫!
死なないなんて言えないけど、絶対に帰ってくるから。」
「、、、、、、、」
「今日は、一回帰るよ。
準備しなきゃいけないことも多いし。
、、、、、。
また、明日、来るから。」
「、、、、、」
カイは帰っていった。
ルトは、人間の王というものが許せなかった。
ルトの仲間を滅ぼしたあとは、回まで戦争に引っ張りだすつもりなのだ。
ルトからどれだけ大切なものを奪えば気が済むというのか。
ルトは2つのものを作った。
1つは、呪いのペンダント
1つは、祝いのペンダント
どちらも、自分の力を目いっぱいに込めて作った、最高傑作だった。
作り終わったルトの顔は満足げであった。
ひとつは、カイに渡すために作った。
もうひとつは、ブランが、人間の王に届けてくれた。もちろん、呪いのペンダントである。
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