第5話 時間旅行の注意点
[現地に着いたらすぐに腕時計を購入してそれを着けておくこと。当社の時間時計の電源は帰還の際以外かならず切っておいてください]
・・・・・・
「時間警察だ。君を逮捕する!」
「何ですか急に」
突然、私は中年のいかつい男に声をかけられた。
「最近、違法タイムトラベラーがふえて困っているんだ。さあ、君の腕時計を見せてくれ。その時計には今の時刻と、君がいた未来世界の時刻を示す二つの表示装置があるはずだ」
「はいどうぞ」
彼は、私の腕時計を手に取りライトでいろいろな光をあてて調べた。
「うーん、問題ないようだな。確かこのあたりで一瞬、異常反応があったんだが」
「何がなんだか、わかんないねえ。時間警察って、あなた正気ですか」
「すまん。なにか間違えたようだ」
男が去った後、私は胸をなでおろした。口は渇いて、脚は細かくふるえていた。ズボンのポケットから時間時計をとりだして、いま一度電源が切れていることを確かめた。
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