第5話 腹 亮治

野球部のエースで、おれはそこそこ期待されているバッターだ。二年生という1番活躍が期待されてるこの時期に恋愛はご法度だと部活で顧問が吉田に説教をしていてその通りだと俺は思った。


ん?思ってたか。

可愛い女を見れば目移りする、好きなグラビアアイドルだっている。健全な男子学生にまさかアイドルのマナちゃん激似の女の子が入学してくるなんて、我慢しろって方が無茶だろ。

「背は高いけど!確かに顔もイケメンだけど!私の乙女心はマックスです❤︎ギャップ萌え担当マナマナです!」

の、マナちゃんの為にマナちゃん似のAVをこっそり見たりもしてたんだ。

的場 香織ちゃんはマナマナソックリで、あだ名もかおかおって友達が呼んでるのを聞いて俺は運命を感じたね。

結果は惨敗したわけだけど。

そのかわり、マナちゃんの次に気になってたツインテールのたぬき顔リナちゃん似の加奈子が俺に告白してきた時はモテ期きたなって思ったんだよ。

加奈子は可愛いし言うことはだいたいきいてくれた。自分の意思がないって言うのかな、ずっと香織ちゃんの話しかしない。

直ぐにセックスもさせてくれたから余計ハマってった。脱童貞は一緒忘れられないと思う。

加奈子が香織ちゃんには黙っとけっ言うから付き合いこじれる前にきちんと話しておいた方がいいとはいったけど、まぁセックス覚えたての俺は加奈子の言いなりだった。あれ?加奈子に意思はないって言ったけど今思うと俺の方が意思がなくないか?

うん、それでもいい。加奈子のこと俺は愛していた。


あの日、加奈子があんなこと言い出すまで。


連絡は着拒されてた。加奈子がレズだなんて俺の童貞はどうなるんだ? 加奈子がレズでもいいから付き合い直そうと廊下で見かけた加奈子に声をかけたら、加奈子の目の下はクマだらけでどうみても様子がおかしかったんだ。

保健室に連れて行きしばらく寝て早退すると言うので丁度いない保険医の代わりにしばらく加奈子の側にいた。


…暫くして加奈子のベッドに寄りかかって寝てしまっていて目が覚めた。時間は14時を回っていたから完璧にサボリだ。

見渡すと長い髪の女がいた、倉田だ。

俺はあいつが嫌いだった。才色兼備のお嬢様、まさか病弱設定か?と思い後ろから

「薬品とか勝手に出すと怒られるぞ。」と声をかけたが、倉田が手に持っていたのは髪の毛の束だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る