第3話 倉田 繭子

世の中に私ほど近寄りがたい美少女はいないんじゃないでしょうか。ナルシズムとかではなく私の身体に顔に欠点などが見当たらないのです。

神様ありがとう。私はただにこやかに微笑むだけで近くの人々を幸せにできるのです。

1年生に美少女が入った、と聞いた時も動揺はしませんでした。だって教えてきたクラスメイトですら「倉田さんには敵わないよね」と、付け加えてきたぐらいですから。


「本日から図書委員になりました。1年1組の的場 香織です。」


そつなく挨拶をした彼女は美しく、私ははじめて自分以外の人の容姿に興味を持ちました。

輪郭が美しくショートカットでも見栄えが良く、スラッとした手足に少し高めの身長、堀は深く横を向くと一瞬西洋の美少年のような絵に描いた中性的な雰囲気。彼女は私とは違う美しさを纏っていました。

例えようのない興味。

私は艶やかだと言われて育ちましたが、彼女は清潔で無機質な次元の違い。

図書委員の挨拶の件から私はずっと彼女を見ていました。 一緒にいる小さい可愛らしい女の子と相まって香織の顔は更に光輝いて見えていました。

毎日、香織を見るたびに私は香織への想いが恋心なのかもしれないと思ったのですが、そんな小さな欲望で満たされることはなく。

溢れていく想いは、次第に香織とのセックスを、香織との首の締め合いを、香織との心中をと止め処なく流れて行きました。

香織が欲しい、と想いは次第に私と香織の仲に間なんてあってはいけないと気づかせてくれました。

いつものように放課後、香織席へ行き机に頬ずりを…そこへ香織の髪の毛を見つけました。

ああ、香織私の中に入ってきて。


夕暮れの教室の中、私と香織しかいない。

私は立ち上がり天井を見上げるように顔を上げて香織を飲み込みました。それはどんなスイーツより私には美味しく思えたのです。


今まで遠くで眺めていただけの日々は終わりました。だって私の中に香織はいる。

香織の中にも私をいれてしまえたら…。

香織の机を人撫でしてその日は図書委員の当番表を見比べてみましたが、なかなか私と香織の当番は合わないことに思わず叫び後を上げそうになりましたが…。

そうだ、江田豆くん。

彼は私に何度もモーションをかけてきていました。そうしましょう。

私は携帯から江田くんの無理矢理交換されたアドレス帳からメールをしておきました。

ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ…

速いのねぇ。

「もしもし江田豆くん?うん、うん、そうよねー。だから取引しましょうよ。私の身体を好きにしていいから。図書委員を香織の隣をちょーだい。」

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