第2話 加奈子

ごめんなさい!って言えば香織は許してくれるはずだ! 何て甘えていた私が悪いんだ。

原先輩のことを話してから香織は学校に来ても私を無視し続けた。

前代未聞!私とかおかおは一心同体!だって、香織は私の憧れだったんだから。


香織はいつも凛としていた。中性的な顔立ちに何にも染まらない真っ直ぐな目と知的な考え方。女子にファンクラブがいるなんて知ったら香織は多分ため息ひとつで済ませると思う。

高校生に入って香織の友達らしく、身なりに気を使い始めようとしたら突然香織はちょーショートカットにしてきた。え、何それそこら辺のアイドルよりカッコイイ!

それに比べたら私はタヌキ顔でこれといって特徴はない。2人で目立つなんて、私は香織のオマケでしかない。

そんな香織に告白してきた原先輩は野球部のエースでイケメンだった。並んで立つと絵になっていて焦った!ヤバイ香織がとられる⁉︎

でも、香織は笑顔で今は恋愛に興味がないと断った。セーフ!

私の香織は守られた!コッソリ覗いてたのが後から原先輩にバレて付き合って欲しいと言われた時はビックリしたし、後ろめたかったけど香織に勝てるかもしれない。そう思って軽くOKした。

原先輩にはしばらく隠して下さい、恥ずかしいからそのうちちゃんと香織にも話しますからって言って。私は香織より一歩先を進んだんだと思っていた。

でも、あの日の昼休憩、香織は怒って出て行って私は香織に謝りたくて残りのお弁当をかき込んで教室をでた。


「おい、加奈子!」

教室を出た一二歩歩いたところで後ろから原先輩に声をかけられた。

「せっ先輩!わっわたし、わたし!」

先輩の顔を見て安堵と罪悪感で泣き崩れてしまった。 香織が怒ったことを、伝えると泣き崩れていた私を引っ張って誰もこない理科準備室に連れていかれた。


「先輩どうしよう!」

「落ち着けよ、大丈夫だから俺も謝るから。」

そう言って先輩は私にキスをした。

「あっ…今はっ」

直ぐに2度目のキスがきて今度は長くしっかりと舌を絡めて。顔を持ち上げられた手で涙を拭ってくれた。

「その先輩ってのやめよう。俺の名前ちゃんと呼んで。」

「…りょーじさん。」

そのまま先輩は流れる落ちて首筋まで伝っていった涙を舐めてくれた。声が、静かな教室に響く。

「りょーじさん、ごめんなさい。」

また鼻を合わせて、キス。

「どうしたの?」

私は言わなきゃならないことがいっぱいあって、つい1番言ってはダメなことを言ってしまった。

「わたし、香織が好きなの。」

顔が真顔になった先輩は私から一歩離れて、はだけた私の首筋を見て、横から一気に平手打ちをしてきた。

私は床に頭をを打ち付けるように勢いよく倒れた。

「おまえら!人をそうやっておちょくって!気持ち悪いな!騙したのか⁉︎」

違う

「レズなんて、気持ち悪い!俺のことからかいやがって!」

違う

「違うの‼︎」


沈黙。


「香織を好きになれて、香織とセックスできる先輩に私は近づきたかったの!」

私はまた泣いていて我慢できずに立ち上がって、理科準備室を飛び出した。

香織、香織、香織!

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