実食


「お手伝いするから何でも言ってね! 」

美玲はそう言ってくれたので、とりあえずエプロンをしてもらった。

お、俺のエプロンを着てるとか可愛すぎ……。

そんなことを思いながら、キッチンで手を洗う。

俺はカフェエプロン、彼女は首からかけるエプロンをしている。

なんか、カップルでお菓子作りするみたいでいいなぁ……。

「慎一、最初は何作るの? 」

彼女は目を輝かせながら聞いてくる。

んーと、時間をかけずにできる……。

「ベイクドチーズケーキを作ろう! 」



という訳で。

「慎一の料理教室ぅ〜」

美玲はノリよく、パチパチー。

と言ってくれる。

「まずは材料です。4人分の材料で作りますよ〜。クリームチーズを150g、砂糖40g」

俺は喋りつつ、材料を用意する。

「美玲、冷蔵庫から卵を1個取って。あと牛乳も。牛乳は大さじ2。レモン汁が大さじ2分の1、小麦粉が大さじ2です」

俺は、常温の材料を用意する。

美玲は卵を取り出した後に、牛乳を分量通りに計っている。

「慎一、終わったよ。次は何するのー? 」

「次に作り方を説明するね。その1、クリームチーズをクリーム状に練る。練り終わったら砂糖、卵、牛乳、レモン汁を加えます」

美玲が全部やろうとしてるから、俺はレシピ(読み上げることにした。

レシピ本は、エプロンと一緒に部屋からとってきたものだ。

「よし、できたァ! 次の作業は何! 」

「えっと、その2。小麦粉を振り入れて、ヘラでさっくりと混ぜ合わせる。ザルで小麦粉をふるって入れるんだよ〜」

彼女は手際がいいのでテキパキと動く。

あ、俺ってばボールとかヘラとかの場所を教えてなかった……。

なのにちゃんとボールを探して使ってる。

美玲はいい子に育った。

そんなふうに感動していると。

「次は……、型に入れてオーブントースターで7分から8分焼くのね。これで完成とか簡単すぎ……」

いつの間にか俺の持っていた本を取り、一人で作っていた。

せっかく俺が料理できるアピールしようと思ったのに……。

なんて悔やんでる暇はないようだな。



7分から8分後。



「出来たわ! 慎一、見て! 」

彼女は焼きあがったチーズケーキを俺に見せてくる。

「うお、いい焼き色が付いて美味しそうだな! とりあえず食べるか! 」

「座るのはめんどくさいから立ったまま食べよ。お腹ペコペコだよぉ」

俺は美玲が持ってるトレイからケーキを一つもらい食べる。

美玲は女子らしく写真を撮ってから食べていた。

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