なんだこれ……
6月10日火曜日。
よし、ノートを返すついでに髪を切った理由と、昨日見てしまったあのページについて聞かねぇと。
そう思いながらいつもの時間に席についた。
彼女が来るまで、あと数秒。
「おはおは~」
「はよ〜。あのさ、美玲。昨日はノートありがとな。それとさ、これってどういう事だ? 」
俺はそう言いながら昨夜衝撃を受けたページを彼女に見せる。
「……いや……。そんなの、見たくない……」
彼女は泣きそうな声で言うからノートを閉じるほかなかった。
彼女が少し落ち着くまで、そのページについて考えよう。
ノートに書いてあった内容は彼女の今の恋についてだった。
彼女は今、好きな人がいるそうだ。
結構長い片想いだけど、なかなか想いを伝えることが出来なくてノートに思ってることを書き出したようだ。
んで、それを見た俺が、美玲の力になりたいと思い、話を聞こうとして泣かせた。
「ごめん……。もう平気。そろそろみんなが来ちゃうから、放課後に話すね……? 」
という訳で、放課後。
カフェで話そうということになった。
だが、2人ともそんなに金を持っていないのでファミレスに来た。
適当に、スイーツとドリンクバーを頼み2人で飲み物を飲んでいるのが今現在である。
無言のままはつまらないなぁ……。
なんて思っていると。
「あの、さ……。私の好きな人が誰なのか分かっちゃった……? 」
「いや? あそこには名前が書いてなかったから分からないぞ」
彼女はこわばった顔から、安心した顔になる。
「えっと、大体はあのノートを見たはずだしわかると思うから説明は省くね」
彼女のセリフをそのまま伝えると長いから短くするとこんな感じだ。
片思いをこれ以上続けるのが嫌だからケジメをつけようとした。
その結果で髪を切ったのだ。
髪を切れば前に進めるかもしれないと思って。
でも、やっぱり諦めたくないって感情があるからどうしていいか分からない。
との事だった。
でも、既に答えは出ている気がした。
「既に答えが出てるじゃんか。美玲は諦めたくないんだろ? じゃあ、諦めなくていいじゃん」
彼女は小さく頷いた。
「よし、じゃあもう悩むことは無いな! これからも思い続けて、自分の中……」
「失礼します。フルーツたっぷりパンケーキとフルーツポンチをお持ちいたしました……」
店員さんは空気を読んで素早く伝票を置いて去っていった。
空気を読むなら最後まで俺にセリフを言わせて欲しかったなぁ……。
「えと、あ! これからも思い続けて、自分の中で整理出来たら告白すればいいんだよ」
そう言うと、彼女は頑張るね。
と言って、フルーツポンチを食べようとしている。
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