第八十六話◆鋭鋒の氷刃レディア
「四天王だと……!」レオは怖気付いて一歩下がる……
四天王オルテガは、一対一とはいえ好矢と戦って、力の差は離れ切ってはいなかったものの、オルテガが優勢。途中からガリファリアの乱入が無ければ追い返せなかったほどの強さだ。
もしも目の前にいるレディアが同格の強さなら、勝ち目はなさそうだ……。
「……やるぞ、レオ。」隣にいたガブリエルが大剣を構え直して言った。その言葉がレオへの救いになった。
「あぁ…!お前たち、援護を頼む!!」ガブリエルとレオはレディアに斬り掛かる!
「……しばらく遊んであげるか……。」
「……ねぇ、大きいレンズ作って!」アデラはレディアに顔を向けたままファティマに言った。
「れ、レンズ?」ファティマは聞き返す。
「いいから早く!」
(金属魔法…レンズ生成…魔力110使用…)「発動。」ファティマが創り出した直径1mほどの大きなレンズを奪い取ると詠唱の準備を始めるアデラ。
(固い土生成……魔力60使用)「発動。」硬めの土が石の地面の隙間から現れ、ひとまとまりの土が出来た。そこへレンズを突き差す。
(光の熱線……レディアの目に照射……魔力250使用)「発動!」アデラは金属属性が扱えないのでファティマにレンズを作ってもらい、
それを武器にした光線魔法を放つことにしたのだった。
その光線は光と同速なので、当然避けられるわけがない。レディアの眼球に直撃した!
「ぎぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」右目を押さえるレディア。
「「そこだッ!!」」ガブリエルとレオは同時に斬り込む!
レディアはダメージが小さい左目だけでガブリエルからの攻撃は受け流し、彼に対しカウンターの斬撃を入れることが出来たが、レオの斬撃は受けてしまった。
「ぐっ…!」
(魔法陣完成…雷球……ガブとレオを躱し、音速でレディアに発射……魔力570使用。)「発動!!」
頭の中に魔法陣を作り、そこへ今まで使っていた高火力の雷属性魔法を放つソフィナ。
五学年の中期から後期にかけて選択で習うことが出来る、魔法陣魔法だ。頭の中にただ文章を並べるのではなく、魔法陣の決められた場所に文章を描いて、
その上で多めの魔力を使用して放つ魔法だ。もちろん複雑な分、強力だ。
……だが――
「ちいっ!!」音速で飛ばしたにも関わらず、見切っていたように雷球を真っ二つに切り、両サイドから攻撃を仕掛けていたガブリエルとレオに半分の威力の雷球が命中してしまった!
「があぁぁぁぁぁ!!?」「ぐわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「そ、そんな……ッ!」
「ソフィナ・ヨエル!だから貴様は無能なのだ!味方が動いている最中、ジッとしていれば魔法陣を作っていることくらい簡単に想像出来る!」
レディアは笑いながらそう言うと、レオに続けて斬撃を食らわせた。
「散れっ!!」レディアは、レオに斬撃を食らわせ続ける。
(魔力の槍……超高速でレディアへ発射…魔力120使用)「発動!」ファティマはちょうど自分に背を向けているレディアへ放った!
…ヒュンッ!という音を立てて一本目は外れてしまった!その音がファティマの魔法攻撃によるものだと気付いたレディアは、ファティマへ向かって走り出す!
「待て!レディア!!」それを追いかけるガブリエルとレオ。
(つっ、続けて発射!魔力120使用!)「発動!」ファティマは慌ててレディアに撃った。
慌てて放ったので、狙いが外れ、頭を狙っていたが右腕に矢が刺さった!
「グッ……!」ちょうど攻撃をしようとしていた右手を怪我させることが出来た。
レディアはそのままファティマに突っ込み、今度は左手に持っていた盾を思い切り突き出した!
ファティマを殴ってやろうと取った行動なので、直前まで慌てていたファティマに躱すことは出来なかった。
ガンッ!
「ぐはっ……!!」深刻なダメージを与えられるファティマ。
「ファティマ!一旦退け!!」そう言いながらガブリエルがレディアに斬撃を食らわせた!
背中に深めの切り傷が出来る!
「ぐあぁッ!?」
ファティマはバックステップでどうにか離れ、体勢を立て直した。
ガブリエルも一撃離脱をして、少し距離を取った。レオはその間にファティマの前で、彼女を守る体勢で構えた。
……周りの冷気がレディアの周りに集まる。
「貴様ら……どうやら死にたいようだな……!!」瞳の色が髪の色と同じ金色だったレディアの目は、銀色に変わり、剣に冷気を纏った。
レディアは、剣を胸の前で構え目を閉じた。攻撃のチャンス!と思い、ガブリエルとレオは斬撃で斬り掛かる!
……ある程度は反撃が来ることを予想した攻撃だが、どんどんダメージを与えていける。
むしろ、途中から不気味に思うほどだった……。
「……おい!攻撃をやめろ!」ソフィナは叫んだ。
「何でだ!コイツは今は隙だらけだ!今のうちに痛め付けないと……!!」ガブリエルはそう言いながら斬撃を続ける。
「いいからやめろ!様子がおかしい……!!」ソフィナが言い終わったのと同時に、戦っていた六人の耳元で「ドクン!」という心臓の鼓動音が聞こえた。
攻撃の手を止め、耳に手を当てるレオ。
「……な、なんだ……?」
その間も、ドクン…ドクン…という音が続いている。
ふとレディアを見ると、禍々しい黒いオーラが集まってきていた……
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