第三十三話◆ミス・トーミヨ終了

アデラは286票、ソフィナは201票、エリシアは199票。他の女性陣は多くて70票程度で、六割を超える他の女子学生は0票だった。


ソフィナはギリギリエリシアに勝利したようで、決勝進出はアデラとソフィナに決まった。

やっぱりアデラは、ほっといても票が集まるようだ。


一学年の予選を抜けたのは、レイス・アークライト、ルナ・モターラの二名。


二学年の予選を抜けたのは、アデラとソフィナ。


三学年は、アンナ・ヨエル、イヴリン・コール。四学年は、カサンドラ・アレクサンダー、レベッカ・ハード。


五学年が、アウロラ・ベレス、エヴァ・ブルックスだ。五学年のこの女性二人は、五学年の女性の中でトップの魔力量を誇る二人だった。

アウロラが1103、エヴァが989らしい。ちなみに魔力1280のトップは男子学生らしい。


ステージ上に十人が並んだのだが、アデラとソフィナが明らかに浮いている。

アデラは突出したかわいさ、ソフィナは衣装の珍しさで浮いていたのだ。どちらも悪目立ちではないのでかなり好印象だ。


ちなみに、前回の準優勝は、去年四学年だったアウロラだ。確かに、見ていると相応の美貌と実力を兼ね備えたような女性で、

髪は黒髪ロングストレートで、瞳も真っ黒で、肌はとても白い。顔も小さく、全てのパーツが整っていた。ふと、横を向くとEライン(鼻、唇、顎のライン)も綺麗に真っ直ぐになっており、

非常に美しく、かわいい女性だった。

好矢は、アウロラに投票することに決めた。


ガブリエルは、変わらずソフィナに投票した。



そして、決勝進出した十人の女子学生の開票が終えた……。


「それでは……第10位から読み上げます!!第10位…ルナ・モターラ!30票!……第9位…イヴリン・コール!49票!……第8位…レベッカ・ハード!50票!…………」


淡々と読み上げていく教官。決勝は淡白なんだなぁ、と思って眺めていた。


「……第4位…アンナ・ヨエル!109票!……第3位…アウロラ・ベレス!189票!…………第二位を紹介する前に、優勝した学生を紹介します!!」


残っているのは、アデラとソフィナしかいなかった。……もう、好矢の中で勝敗は察していた。



「優勝は、アデラ・エイジャー!2位と大差を付けて票を獲得しました!!301票ですッ!!そして惜しい!第2位がソフィナ・ヨエル!211票だぁーッ!!」


ワアァァァァァァーーーーッ!!!

やっぱり、アデラが優勝か。


ちなみに、7位はレイス・アークライト、66票。6位がエヴァ・ブルックス、78票。5位がカサンドラ・アレクサンダー、99票だった。



「では、二年連続優勝のアデラ・エイジャーさん!コメントをどうぞ!」教官がアデラにマイクを渡す。


「どうも、アデラ・エイジャーです!みんな、投票ありがとうっ!!」マイクを握っていない右手を挙げて、みんなの声援に応えた。


「でも、私は一つ……去年は私は450票。2位だったアウロラ先輩が102票でした……。大差とはいえ、2位のソフィナさんに追いつかれそうになったのは、本当に悔しいです!!」


アデラは思っていた本音を言い放った。

頑張っていたソフィナへの慰めの言葉でもあるが、あくまでそれを感じさせずに、アデラは終始自分の嬉しさを三割、二位であるソフィナへの賞賛を七割入れてコメントをした。


だが、アデラの気遣いとは裏腹に、このコメントによってアデラの株が更に上がったのは言うまでもない。



ミス・トーミヨの会場は、非常に広いパーティー会場で開かれていた。ちなみに、学校の敷地内だ。

トーミヨのパーティ会場を借りて、結婚式や立食パーティーをする人たちもいるそうで、エレンの街最大の規模の会場だった。


ミス・トーミヨを終えた女性たちは、着替え、その後の学生たちが集う立食パーティーへ向かう。

最初は男性しか居ないが、予選で敗退したほぼ半数の女性。最後に決勝に残った十人がパーティー会場に集まり、しばらく立食パーティーをしてから解散となる。


好矢は、自分が投票した相手でもある、三位だったアウロラ・ベレスに挨拶しておこうと思った。



「こんばんは。」


「あら……トール・ヨシュアさん。初めまして。」アウロラ先輩は笑顔で反応した。突然声を掛けたからか、どこかよそよそしい。


「アウロラさん、良かったです。投票させていただきました!」


「そ、そうなの!?…………。」驚きと共にとても嬉しそうな表情をするアウロラ。しかし、その後少し悲しそうな顔になった。


「では、御卒業おめでとうございます。」


好矢はアウロラが握手をしようと出していた手を両手で握った後、一礼して二学年の生徒たちの所へ去って行った。


「……ありがとう。」立ち去る背に言葉を投げかけるアウロラ。その言葉は、好矢には届いていなかった。




「やったな、アデラ!」ガブリエルが白ワインでアデラと乾杯している。


「ありがとう、ガブ!ちゃんと投票してくれた?」ニコニコしながら言うアデラ。


「ごめん、ソフィナに投票した。」といって、あえて浴衣姿のままで、他の男子学生と話しているソフィナをチラッと見た。


「裏切り者ォーッ!!」ガブリエルの頬をつねるアデラ。

「いででででで!!」

他の男子学生はアデラと絡むガブリエルに羨望の眼差しを向けていた。


「好矢くん……私はどうだった?」エリシアが好矢に声を掛けてきた。


「あぁ、綺麗だったよ。」好矢は素直に言った。


「あ、ありがと……。」顔を真っ赤にするエリシア。何を照れてるんだ……?


みんなが和気藹々としている中、ミス・トーミヨは終わりを迎え、学校は進級休暇を迎える事になった。




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