第6話 傲慢
閑静な住宅街。2台の車が通れるか通り無いかという狭い道。そこに広がる野次馬。本日おきた殺人事件の現場。
現場の前の人垣で車を止めた。
彼女は何も持たずに車から降りた。
「そこで待ってて」と一言伝えてから人垣に消えた。
人使い荒い上に指名しといて待っててってどんだけ傲慢なんだよ。俺のほうが年上だよ絶対。はぁー、もう戻れないんだな。いつかこうなる、見つかるって思ってた。そんな気がしてた。過去と向き合う時間が必ず来るって。彼女への怒りの気持ちはただの八つ当たり。理性的な自分が目を覚ます。傲慢なのは自分の方だった。
KEEP OUT 立入禁止 の黄色い規制線の前で彼女は立ち止まっていた。
「だ、か、ら、関係者なんだって!」
「落ち着いて。はいはい。野次馬は下がってて。」
『警視庁特殊能力捜査班桜田未來』と『守護主認定カード』、この2枚を持ってしても通してもらえない。特殊能力捜査班は、新設されたばかりで認知していない警察関係者もいる。なおかつ、特殊能力捜査班では、警察官でない捜査員(現時点では高校生の桜田未來と大学生の大山光(おおやま・ひかる)の2名)がいる。この2名は、警察手帳を持たないため、何かと不自由が多いのである。
若いって不自由だ。良い言い方に変えれば、社会に守られているということだ。必要無い。不必要。足かせでしかない。親も何もない彼女にとって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます