どっちも人間やめてるね
「
「お前、二人以外にも、5
「1戦目で試して、相手のほうが強かったら止めてる」
「んー? どういうことなの」
事情を知らないユズサが
隣に座っているマユミが、答える。
「前に、私とサツキさんを相手にするときは5回隙を作る。と、約束したのです」
「すごいね。それで勝つなんて。ボクはまだそれに気付けないレベルってことか」
ロクミチは素直に
いつもなら突っかかっていくヨウサクは、黙っていた。
「関係ない話するけどさ。いま考えたら、ゲーセンの
ケイは、突然べらべらと喋り始めた。
アサトは
「ひょっとして、そのカードに、相手の
「誰にでもミスはある。過去は過去として踏まえ、未来を向いて歩いていこう」
もっともらしいことを言った、ケイ。
「次も誰か、対戦見せてくれない?」
ホノリが切り出した。回避したと思っていたケイは、表情が変わった。
「では、私が」
マユミが名乗りを上げて、ほっとしたような表情になるケイ。
ヨウサクが、久しぶりに口を開く。
「これ、ランク20のポイント戦だよな?」
「ランクなんて飾りだぞ。サツキなんか、ランク5の時に、12以上の強さだったし」
ケイは、なぜか
「マジでか。戦ってみてくれよ」
「え? 20相手に、いけるかな」
サツキの声が小さくなっていく。
「私より強いのですから、自信を持ってください。サツキさん」
つり
「はいっ!」
元気よく返事をして、笑いが起きた。
発売直後のケイのような、
サツキは、すこし顔を赤くしている。
「うー。緊張した」
「
ケイの言葉で、
「ちょっと。この前の仕返し? わたしも悪かったね、あれは。ごめん」
「お二人でも
「オレたちさ、スルーされそうになったんだよな」
「いや。買い物があることを知らずに、無理に誘ったから。気にしないで」
ヨウサクの言葉を、ロクミチがフォローした。
ユズサは容赦がない。
「スルーして、買い物いこうとしたって、言ってた」
「黙っていればよかったのに、っていう話ね」
ホノリがまとめた。
「なるほど。買い物は重要だからね。ゲーム?」
アサトはブレなかった。
「もういいよ、その話は。次は
なぜかケイはノリノリで、自分からハードルを上げた。笑みを浮かべている。
「お。フリードリヒいるじゃん。見とけよ。ビビるぞ」
ケイは、参加募集中の部屋に入室申請をした。すぐに
選んだロボットは、ライトタイプ。
背中の左右と両肩には、マントのような
ステージは、障害物のすくない平原を選択。
試合開始。平原。
相手もライトタイプ。黒い機体で両手とも
「瞬きするなよ!」
言い終わらないうちに、フリードリヒが
直進してきた相手に、肩と背中の
十発以上、
「……」
みんな黙った。
「人間じゃないだろ、こいつ」
ケイが、心底嬉しそうに笑った。
2戦目では、お互い同時に
ケイは、
フリードリヒのナイフ攻撃。一瞬使ったビームシールドで
「面白すぎるだろ!」
ケイは楽しんでいた。ひたすら両手の
だが、次の攻撃。
相手は
【いい練習になった。が、やっぱりおれはまだダサいな。次も頼むよ】
フリードリヒからメッセージが届いた。ケイも返す。
【いや、接近戦のあとで
肩を回して、大きく息を吐く。
「絶対こいつイケメンだよな。さあ、どんどんいこうか」
その後、紺色のジョフロワと
水色に近い青色のダニオと、ジャンプ
満足した様子でベッドに座るケイ。アサトが柔らかい表情で見ている。
「どっちも人間やめてるね」
ケイが怒ると思ったのか、サツキは慌てた。しかし、ケイは落ち着いて言う。
「だろ? こいつらおかしいって。……
途中でサツキの様子に気付き、言葉を付け足した。
「まだまだ、鍛錬が足りないと痛感しました」
クラスメイトが黙っているのを見て、ケイは何かを思いついた様子。
「思ったんだけどさ。人数足りないなら、お前たち
「おいおい。さすがに無茶だろ」
さすがのヨウサクも
何か言いたそうな
「大会までに、ゲーセン当時のアサトぐらい強くなれ。っていうか、なれる。それをあっちに伝えて、参加できないか聞く。
「でも、やっぱり」
「国産のゲームだから、いいだろ。もう決めた! でも誰が参加できるかは分からないから、期待しないで待っててくれ」
当初の予定どおり、昼前には全員が帰宅した。
カードに書いてある連絡先へ、何かを伝えるケイ。
そのあとは、母親と娘の
十代前半の少女は、久しぶりに自室でゲーム以外をして過ごした。
ケイは
おもむろに、レトロファイトを起動した。フレンド達が戦っているのをリストで把握し、にやにやしていた。
「面白いよな」
すぐに、ゲーム機の電源を切った。
PCを起動。そのままにして、
部屋に戻ると、電源を切った。
夕食の準備には、まだ早い。
ケイが台所に行った。母親に料理の作り方を聞く。母親は作りながら説明。見て、聞いた。手伝うことはなかった。
料理が完成して、父親が帰ってくる。
「やったぞ。
母親は、何かを知っているらしい。
「おかえりなさい。まさか、例の?」
「巨大ロボットでも作ってるの?」
娘は分かっていないらしい。
「来月の、あれ。ケイが参加するなら、会場にフィルターを付けないといけないだろう」
微妙にぼかしたが、隠せていなかった。母親が言う。
「場所が、分かったのね」
「早めに分かっておいたほうがいいな。あ。カレンダーに丸付けるの忘れてた」
「
父親は
「ちょっと待って。メモってカレンダーにも書く」
ケイは
二人が台所で合流。
歯磨きその他を終えたケイは、自室でレトロファイトをプレイする。
合間に
ポイントは、いつの間にかカンストしていた。
フレンドが開いている部屋に入り、相手が得意な
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