第三章 レトロファイト
すごく強いって聞いて
まだ夕食には早い時間。ケイは台所にいた。
母親が料理を作るのを見ていた。しばらく見続ける。
できあがった頃に父親が帰ってきた。ただいまとおかえりを言い微笑む。
夕食の席で、服の話はない。自分から話題にする娘。
いつものように、冗談のようなことを言う父親に笑う。なだめる母親を見て優しい顔になる。ただ、いつ着るのかという問いには答えない。
食事のあとも、
歯磨きと入浴が済む。長い髪を乾かした。自室に戻る、パジャマ姿の少女。
メッセージのやり取りは
【なんだ?】
メッセージすら
ケイは、
「も、もしもし?」
『まだメッセージに
「そんなことは、どうでもいいだろ。要件を言えよ」
ベッドに座ったケイは、
『前にゲーセンで大会があった。これは覚えてるよね』
「先に
アサトは特に悪くないのに怒られた。だが、
『
「ふーん」
『あれ? もう知らせが届いていた?』
「え。マジ
『ゲーセンの大会が、動画に撮られていて、それを偉い人が見たってさ』
ケイが意味を理解するまで、すこし時間がかかった。
「それで?」
『すごく売れてるよね。レトロファイト。ここでもう一度火をつけたい、って
「まだ、発売から十日ぐらいだろ? 大会やって強い
『それは分からないけど、イベントとしてはこのタイミング、ってこと』
「で、何でそれをお前が知ってるんだよ。まさか、偉い人の息子?」
ベッドの上でごろごろしながら話すケイ。
『そうじゃなくて、ちょくちょくゲーセンに行ってて、
「ふむ。続きを」
『それで、優勝した人と親しいようだったから、ぜひ連絡取ってくれ、って』
変な
「連絡取って、どうすんだ?」
『ゲーセンに来てくれってさ。手続きするんじゃない?
「ん? 今から?」
『すぐとは言ってなかったから、明日でいいかも。心配なら、今からでも』
ケイは、もうお風呂を済ませたことは言わなかった。
「まあ明日でいっか。悪いな。電話させて」
『いいって。それよりどう? これから』
「いいね。強くなってるそうじゃないか。見せてもらうぜ、アサト」
『まだ、ケイには負けると思うけど』
「戦う前から何言ってんだよ! さっさとやるぞ!」
戦いが始まった。
「強くなったな、
戦いが終わり、
大勢になったフレンドリスト。部屋を開いている人に
赤茶色のエリシャと、ドリル
水色に近い青色のダニオと、ジャンプ
赤いボニーと、
「あれ? まだ寝るには早いな。こいつら強すぎだろ。疲れた」
ストレッチを始めるケイ。満足そうな顔。
大きく
眠気に勝てなくなったのか、
朝早く。ケイは、
レンガ
ケイは、教室に入ってからマスクを外す。
席について
「世界大会?」
ぱっちりとした目のサツキは、さらに目を大きくして聞いた。
「らしいけど。まあ今日の
まだ信じていないのか、はっきりしない
サツキは
「ついていっても、いい?」
「いいけど。特に面白いこともないと思うけどな」
時間が過ぎ、
サツキが
さらに、
ヨウサクがサインくれと言い出す。まだ早いだろと断ったケイ。
チャイムが鳴る。ケイは
授業が終わり、
ケイは、サツキと待ち合わせをして、一旦帰宅。着替えて落ち合う。
駅前のゲームセンター。
中に入った二人は、銀色の場所に行く。大会で
「来月の最初の日曜日?」
すこし背の低い少女は、今すぐでもいけるぜ、とは言わなかった。
「
アサトに、黙っとけば勝てるだろ、と言ったことを忘れたようだ。
いつものように、マスクをして学校へ向かうケイ。
教室に着くと、
マスクを外し、サツキと
今日も、ケイは
「明日、
勉強しとけよ、と言って、それぞれの帰路についた。日は高い。
自室で二人に連絡し、
レトロファイトを起動。
ケイは、自分でフレンド部屋を開いた。
開幕パージするフリードリヒと、
白いキャロルとも、
ケイは、にやりとした。
日が傾き、夜になる。
しばらく世界でポイントを
幸せそうな顔で
朝食のあとに、普段着のケイが言う。
「今日、七人ぐらい来るけど、昼までには返すから」
「仕事なのが残念だ」
悲しそうな顔の父親。母親が言う。
「私が、しっかりチェックしておきますから」
「何もチェックしなくていいよ」
ケイが即座に
父親が、いってきますと言って家を出る。しばらくして、誰かがやってきた。
「こんにちは」
サツキを家に入れるケイ。
家は木の部分が多い。居間で
「アサトに椅子に座ってもらって、
他の人が来る前に、サツキと服の話をする。
「明日、どうかな?」
「断る理由がない!」
二人は違う種類の笑顔になって、
「こんにちは」
「こんにちは」
やってきたのは、アサトとマユミ。自室に招き入れる。
北に、
東の奥には窓がある。
右側に、PCが置かれた机と椅子。左側にはTVがあり、近くに並ぶゲーム機。
アサトを椅子に座らせる。
「
「いいですね。私にも座らせてもらえませんか?」
ショートヘアの少女が食いついた。
「何だよ。二人とも、変なフラグ建てるなよ」
ケイが言って、みんなで笑った。
「こんにちは」
「こんにちは」
次に来たのは、
部屋が狭く感じられるほどの密度になった。
「この
アサトはブレなかった。ケイが即座に
「何言ってるんだよ、アサト」
「え? そう言わないと、ケイが怒るから」
アサトの言葉に、ケイは点と点が線で
「いやいや、言わなくていいから。怒らないから」
「こんにちはアサトさん。すごく強いって聞いて、楽しみにして来ました」
「マユミさん、思ったとおり格好いい」
ユズサはマユミに夢中だ。
「そうだ。まだ来るから、今の内にID交換しとけよ」
ケイの
「こんにちは」
「こんにちは」
「この人がアサトか。オーラが違うぜ、オーラが」
「ごめん、悪いやつじゃないんだよ。ちょっと口が悪いだけだから」
ヨウサクが
どれだけアサトが強いのか、見てみたい、という話になった。
「どうだ。ハードル上げられる気持ちは。
ケイは、自分のアカウントでプレイさせる
「はい。やらせてください」
アサトは
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