ランクいくつなんだよ
いつものように起きたケイは、あくびをしてから
台所で朝の
いただきますと家族で
ごちそうさまのあと、
「おはよう」
家の前にはサツキがいた。
「一人だと、これ、持っていける
ケイは昨晩、一緒に持っていってくれとサツキに頼んでいた。
「悪くないよ。この場合は、ありがとう、って言うんだよ」
すこしだけ
「ここからは私が持つから。二人ともありがとう」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。コノハナ先生」
二人はほぼ同時に言った。二人が笑って、先生は
教室の中。
一番うしろにあるケイの席の、さらにうしろ。白い
音がほとんどしない。
「うーん。目に見えないから、どうなっているのか分からない」
マスクを外したケイが、
先生が声をかける。
「もし体調が悪くなったら、すぐに言ってね」
「はい」
ケイは返事をして微笑んだ。
「任せてください!」
なぜか、サツキも返事をした。嬉しそうな顔をして、教室から出ていった先生。
席についた長い髪の少女が、隣の席のほうを向く。
「今日の
「うん。どうかした?」
ミドルヘアの少女は、すでにケイのほうを向いている。すこし首を
「えーっと、なんていうか、服を、さ」
しどろもどろに話すケイ。
「うん」
サツキは、にやにやしていた。
目が泳いでいるケイ。
「一緒に見て欲しいなー、なんて」
「分かった! 行こう!」
サツキは全力で
授業は午前中で終わり。
ケイとサツキは弁当を食べ終え、
同級生の
「お前、ゲーム強いんだって?」
「世界で一番になるぜ。見とけよ」
ケイは笑いながら言った。
同級生の
「
「ああ。目立っちゃったな、今日。
照れながら答えた、ケイ。
「レトロファイトやっているよね? 前から会話は聞こえていたけど、話しかけられなくて」
「そうだよ。ケイ強いよ。強すぎるよ!」
全身で強さを表現しようと、大げさに動いているサツキ。
ツインテールの女子が言う。
「私たちも、いい? そのゲームやってるの。いろいろ教えて」
「よかろう。だが、まずはサツキを倒さなければ、
ケイはノリノリだ。
それぞれが自分の名前を伝えて、よろしくと言った。
「よろしくはいいけど、とりあえず歯磨きしてくる。待ってろ」
「わたしも」
ケイが教室を出ていき、サツキも続いた。洗面所に向かう。
歯磨きをしながら、ケイが
「うーん。服、見に行くから、あいつらどうするかな」
「服は、また今度でもいいよ」
「いや、今日だ。今日行くんだ。あいつらは、いつでも会えるだろ」
サツキは困ったような顔をする。
「服は逃げないから。まずみんなと話をしてから、行けばいいでしょ」
ケイが
「仕方ないな」
教室に戻った二人。
校内で
ケイはマスクをつけた。
道に沿って続く広い公園。立ち並ぶ木々は緑色。桜の時期は過ぎている。
人で
「ここで答えられることは、ここで答えるぞ」
六人で、輪を作るように
「ランクいくつなんだよ」
「19」
ケイが即答。すこし
「すげーじゃん! オレまだ10だぜ」
なぜか、サツキは笑った。
「
「ああ。攻撃ヒット時にヒットストップがあるから。それを計算しないとタイミングがずれて、失敗するんだよ。
ケイはすらすらと答えた。
「操作しながら計算してるんだ。すごいね」
ツインテールのユズサが、手を挙げながら口を開く。
「色変えるの、どうやったら出るの?」
「それは、
ケイは丸投げした。
「え? えっと、一人用のモードでね。ゴールまでいけばいい、っていうのがいくつかあって、それで、敵を倒さないでやればいいんだよ」
「言っとくけど、サツキめちゃくちゃ強いぜ。でも、それより強いフレンドいるから、世界は広いな」
ケイは
そのあとも、色々な話をする六人。驚きの声が上がったり、笑い合ったりした。ケイは心から笑った。
「今度、アサトって奴にも会わせろよな」
「ヨウサクには、まだ無理だろ。あいつ強いぞ」
にやにやしている、ケイ。
ツインテールの少女は、アサトに興味がない。
「マユミって人、会ってみたい。
「ユズサとは、相性良くない気がするけど、まあ会ってみないと分からないか」
ケイは
「ここだけの話。ケイはみんなのことより、買い物を優先しようとしたんだよ」
サツキがぶっちゃけた。
「おい! それ黙ってたら、
ケイを
ホノリが
「今日はありがとう。色々教えてくれて」
「うん。お買い物いってきて」
ユズサは、すでに手を振っていた。
「今日は、こいつらと遊んでやるよ。悔しいけど、まだケイには勝てないだろうしな」
ヨウサクが
「そうだね。ボクらでできることをやって、上達しよう」
ロクミチが続いた。
離れていく四人に向けて、ケイが手を振る。
「じゃあ、また明日な」
「またね」
白いシャツの上に薄紫の薄手のカーディガンを
「行くか」
「そうだね」
ケイとサツキは、駅前に向かった。地下街に服屋がある。
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