ぜひまた、お手合わせ願います
「おじゃましました」
ケイがサツキの父親に言って、
「どこだ? この辺だろ」
レトロファイトの
状況が分からないサツキは、おろおろしている。
「もう一回、連絡してみようか」
「いた!」
ケイの視線の先には、ゲームをプレイしている短髪の少年がいた。今日は黒いシャツ姿。
明らかに、対コンピュータ戦ではない、
ケイがじりじりと近付いていくと、
「どうも。こんにちは」
アサトは
向かい側から、ショートヘアの少女がやってきた。水色のシャツブラウスを着ている。
「こんにちは。何かあったのですか?」
「こんにちは」
サツキが
ケイはうろたえている。
「え。ひょっとして、そういう関係なわけ?」
「そういうって、何が? ライバル的な感じ?」
短髪のアサトは、分かっていないらしい。
「まだ、ライバルとは言えませんよ。無理を言って来てもらいました」
ショートヘアのマユミも、分かっていないらしい。
一人で納得しているケイ。
「なんだよ。それなら、最初からそう言ってくれよ」
「なんだかよく分からないけど、良かった」
サツキは安心したようだ。
「というか、何でここまで来てるんだ? 二人とも遠いんじゃないのか? とりあえず座って話すか」
ケイが先に歩き出す。四人は、白いフリースペースに移動して座る。
「ぶっちゃけて言うと、そこまで遠くないんだよね」
「方向が同じなので、途中までご一緒しましたが、そうですね」
マユミも続いた。ケイは眉を下げている。
「何だよ。
サツキがケイをなだめる。
「まあまあ。ケイだって情報出すな、って言ってたでしょ」
「しょうがないな。まあ、そういうことで。登録しようぜ、登録」
新しいおもちゃを手に入れて嬉しがっている子供のように、
「みんな登録しようか」
すぐに察した様子のアサトが言った。ケイは反対しなかった。操作に苦戦しているケイには全員がサポートして、四人は連絡先を交換し終わった。
長い髪をすこし揺らしながら、ケイが疑問を口にする。
「ところで、なんで、アーケード
「大会で、ミスが多かったので」
連絡先に
「そうそう。僕も全然ダメだったから、丁度いいって思って」
「だよね。難しいよ。これ」
ケイは首を
「
皆、何かを言おうとして、何も言わなかった。
ケイが続ける。
「そうか。アーケード
サツキは口を横に広げる。
「ケイが一人で通って戦ってたら、ネット対戦での噂みたいなことになったりして」
楽しそうな三人。ケイは、困ったような顔をしながら笑った。
つり
「では、アサトさん。もう一試合お願いします」
「はい。お願いします」
アサトはすぐに答えた。二人が立ち上がる。
サツキも席を立ち、ケイも続く。
「じゃあ
「では、また」
「また」
再会を
「わたしも帰る。ケイ、また明日ね」
サツキが笑顔で手を振る。二人は自宅へと戻った。
いつものように、ケイは自室でレトロファイトをプレイしていた。
オンライン対戦でひたすらポイントを稼ぐ。なかなか世界の強敵には巡り合わない。
ランクが15に上がったあとで、ランク17の相手と当たる。
「おっ」
身体を動かしていた少女は、椅子に座って姿勢を正す。
あっさり撃破した。
何試合かあとに、別のランク17の相手と当たる。プレイヤー名はジョフロワ。
ステージは、オーソドックスな荒野を選択。試合開始。
ケイのロボットは、灰色のライト一式。
相手は、紺の
開始直後に下がる相手。
ケイは、
「さて、どうする?」
ジョフロワは
紺色の相手は、ケイのミスに
ケイは
2戦目。距離を取るジョフロワを、今度はパージせずに追いかける。
そのまま
わずかなミスを突く
「
自身も
戦闘終了後の画面で、メッセージを作成する。
【
「変じゃないか? これで送るか」
フレンド申請は許可され、ケイのフレンドは五人になった。
相手から、メッセージが送られてくる。
【同じ
相手の名前はジョフロワ。白髪で優しそうな顔の、
「あれ?」
ケイが、
ベッドの上に放置していた
【何してるの?】
ケイは何かを考えて、すぐに返事を出そうとしない。ベッドの上をごろごろしている。
【運動とか、してた】
「何だよ、これ」
しばらく
フレンドリストを見ると、トラップ
ケイが椅子に座る。ロボットはライト一式。ステージは平原を選んだ。
1戦目が始まる。
平原になった。相手の機体は銀色。
ケイは一気に接近した。
連続してできない
2戦目。全身パージしたケイは、一気に
読み合いはケイのほうが上手。
ナイナが、
「やっぱ強いな」
3戦目。接近して
銀色の相手も応じる。ケイのペースに乗せられつつも、何度か裏をかき
お互いにダメージを受ける中、ケイの読みが当たった。最後はケイが
戦闘終了後の画面。メッセージが送られてきた。
【全然ダメだったよ。またやろうね】
「ブチ切れたオッサンが、これ書いてる可能性があるんだよな。何て返せばいいんだよ」
ケイは悩んだ。
【
もっともらしいメッセージを送った。
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