ケイはゲーム強いの?
台所。椅子が五つある。
テーブルに
椅子に座り、いただきますと全員が言う。
「すっごくおいしい!」
「ええ、本当に。ありがとうございます」
「プロですか?」
「ありがとう」
笑顔を見せたケイの母親。
ケイは、食べながら、なぜか
「そうなんだよ。美味しいんだよなあ」
娘の顔を見た母親が尋ねる。
「ケイはゲーム強いの?」
「すっごく強い!」
ミドルヘアのサツキが言った。
「ええ。
ショートヘアのマユミは
「鬼ですね」
短髪のアサトは
「……」
黙ったケイ。
「じゃあ、お父さんが弱いわけじゃないのね」
ケイの母親は笑みを浮かべた。みんな、つられて微笑んだ。
全員で歯磨きをしたあと、ケイの部屋で
「この部屋、何もないんだよなあ」
ケイが言うとおり、
「ここにいられるだけで幸せです」
アサトは、
「そういえば知っていますか? こんな噂を」
珍しく、マユミが話題を振ってきた。
ぱっちりとした目のサツキは、さらに目を大きくして食いつく。
「え? なになに?」
「レトロファイトで、
つり
「いやあ。怖いですねえ」
「
目つきをすこし
「では、
「それも
なぜか落ち込んだケイ。それを見て、マユミも落ち込んでしまった。
「ちょっと待って。てことは、ケイがドリルを使って戦ったら、
「簡単に言うけど、ドリルどうやって当てるんだよ」
「僕も、使い方分からないよ、あれは。誰かに食らったこともないし」
アサトもお手上げだった。
「空中で使うのはどうですか?」
「
ケイが
「
「相手が
アサトが
「でも、完全に一点読みの
ケイが笑った。
その
アサトが遠くを見ている。
「世界は広いですよ」
「でもさ、ラグどうなんだ?」
「今、ランク14だけど、ほとんど問題ないよ」
「じゃあ、まずはそこ目指すか」
ケイの当面の目標が決まったようだ。
「質問! まだ世界いけないんですけど!」
サツキが悲しそうな顔になった。
「10まで上げれば、いけますよ。
マユミが優しい言葉をかけた。
アサトが
「そろそろ帰るよ。今日はありがとう」
「ありがとうじゃないだろ。
ケイは、なぜか感情的になっていた。
「
アサトは晴れやかな笑顔を見せた。
普段どおり
「では、私も帰ります。方向が同じようなので」
「……」
サツキは何も言わなかった。二人が
「いやあ。疲れた」
自室に戻ってベッドに倒れ込んだケイ。直後に、サツキがいることを思い出す。
すこし考えて起き上がり、
サツキが見つめている。
「ちょっと、いいかな?」
「いつでもいいけど?」
「
花柄ワンピースの上に黄色い長袖シャツを着た少女は、笑顔を向けた。
「お、おお? いつ?」
地味な服の少女は動揺した。
「明日は?」
サツキに聞かれて、なにやらぶつぶつと言い始めるケイ。
「いいのか?
「いいの。一緒に行こう」
キラキラした瞳で見つめられ、ケイは覚悟を決めた様子。
「骨は拾ってくれ」
「駅前に10時ね」
サツキは、ケイの
そのとき部屋のドアが開いた。
「話は聞かせてもらったわ。ケイにこれを渡すときが来たようね」
母親がお茶を持って現れた。
「ちょっと! ノックしてから、って何?」
ケイが慌てながらよく見る。お茶以外には何もない。お茶はテーブルに置かれた。
「ここで渡せたらよかったけど。これから確認しないと」
台所に行って、笑顔で電話をかけ始める母親。ケイはあとを追った。
「ごめんね、ツネハル。
「父さんが何だって?」
「何か、あったんですか?」
サツキも続く。
微笑んだまま、答えずにリョウコが言う。
「三人でお出かけしましょう」
徒歩で北西に移動した三人は、四角い建物の中にいた。
日はすこし
「電話しないから、一番料金安いので」
ケイは言った。しかし、定額制に決定した。
ケイの母親は、二人をその場で相互登録させようと考えていた。
「実は、サツキさんが家に来た頃から、必要になるだろうって。お父さんと話をしていたのよ」
「こんなこともあろうかと、って出そうと思ったんでしょ?」
「そうだけど。やっぱり本人が決めないとねえ」
ケイの母親は笑った。
「では、わたしはここから帰りますね」
すこし
「このあと、また家に行くかと思っていたのよ。ごめんなさいね。連れてきちゃって」
「いえ。いいんです。それじゃ。またね」
ケイは、店を出て自室に戻った。
【日曜 駅前 10時】
「返事しなくていいって、気を使ってるのか? 寝るまでには返事してやるからな」
説明書を読むのを途中で
マユミに送っていたフレンド申請が承認され、メッセージが届く。
【ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします】
フレンドは三人になった。
何戦かが終わる。ポイントが貯まっていたため、すぐにレトロファイトのランクが13になる。
ドリルを使ったロマン溢れる戦法を試す。勝利を重ね、ランク14になった。
「いや、やっぱ無理。ドリルはほかの
ベッドに倒れ込んだケイは、
【はい】
というメッセージを送ることに成功したケイ。
両手を高々と上げ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます