第8話 続・特訓と成長

ハイハイが出来るようになってから行動範囲が広がった。両親の目を盗んで家の探検をしているのだが……この家かなり大きいな。家っていうより屋敷だ。もしかして金持ちなのか? 

 よく考えると俺の服も上質な物のようだし。これだけ大きい家ならどこかに書斎でもありそうだな。本があればマニュアル様も充実していくだろうし、運動がてら探検も続けよう。気分はスニークミッション!

 でもなぜかどこからか母さんが現れて抱き上げられるからすぐに中断させられるんだよなぁ……ダンボールが欲しくなるぜ。


 だいぶ言葉も覚えてきたし、今日は「ママ。パパ。」と両親を呼んでみたんだが、まさかあんなに喜ばれるとは。

 母さんなんて涙ぐんでるし、父さんなんて喜びすぎて大騒ぎしたあげく何処かに走り去ってしまった。

 しばらくして戻ってきた父さんは見たことない人達を何人か連れてきたけど……友達なのかな?

 高級そうな服を着た初老の爺さん、その人に付き添う騎士、黒いローブを着た女の子、冒険者のような服装の男……等々年代も性別もバラバラだが、一様に俺を見て目元を綻ばせている。ジロジロ見られてツンツンつつかれているが悪い気はしないが照れ臭いな。


そうそう。最近よく絵本を読んでくれるおかげで、文字も大分覚えた。文字さえ目に入ればマニュアル様が日本でいう50音表みたいなものを作ってくれたおかげだ。

女神様本当にありがとう!


魔力特訓の方も魔法発動の練習に入った。

魔力をコントロールして手のひらに集めてその力を一気に外へ放出する。火や風だと暴走したら危ないと思い、水を試してみた。イメージは蛇口を捻って水を出す感じ。

魔力コントロールにはイメージが大切だと特訓から感じていたため、かなり詳細にイメージしてみたんだが……出るには出た。だが力を込めすぎたのか思いのほか水が出てしまい服がびしょ濡れになってしまい、お漏らしと勘違いした母さんに笑われるという辱めを受けてしまった。くそう。


そんなこんなで俺の赤ちゃん生活はあっという間に過ぎて行った。

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