第6話 私の師匠は人外さん大好き

師匠が見るジャンルは、人間やオリ棒だけではない。師匠の言によれば、「オリ棒は人外だろ。異形頭と同じだ」だそう。

「エリアスも人間に変身するが、本体が異形だという要素は大きい」

「美術部室に似たような形のモチーフがあったので、私にとってもなんだか親近感を覚えます!」


「だろう? 人とは違うものが人に似た感情を示すとき、人の差別が浮き彫りになる。私は否定も肯定もしないつもりだけどね」

「差別、否定しないんですね。でも、異形は好きだということでしょうか」

「そうなる。私は私の世界が大切だからね」


「私、ってその主語が本当の先生ですか。先生の世界観も聞いてみたいです」

「気付いてくれて感謝するよ。世界観話してもいいよ? 何が聞きたい?」


「そうですね……どこまでが世界ですか?」

「いい質問です。私の知っていること、私の知りたいと思っていることでしょう」


「……知らない所まで含まれるとは思いませんでした。じゃあ、先生の差別はなんですか?」


「これまた難しい……。実践していないことも含めるぞ?」

「もちろん、持論すべてでお願いします」


「私は不当な差別はしない。スケープゴート扱いなんて関係ない。でも、私や家族を傷つけるならば別だ」

「不当でないなら差別ではないのでは? 区別しただけですよね」


「忘れちゃいけない。差別という言葉の原義は区別したものの差を測ることだ。全ての人間にこの能力は求められている。差別すべてを排除していくのも愚かだよ」


「……そうですか、……私も愚かでした」

「安心して良い。選べることができるなら、博愛もまた嘘じゃあない。気付いたときに愛を渡すだけさ。私にとっての、人外の目が気付かせてくれる」


「人外さんたちを愛している師匠は何を選んでいるのですか?」

「客観的に見た『僕』。それと、話し相手で生徒の『君』。あとは私を応援してくれている人」

「地球上の人すべてがそうだったらと思いますよ。きっと平和だろうなあ……」

「理想論ではあるけど、不可能だと嫌って遠ざけてしまうには現実的だよね」

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わたしの師匠は人外さん大好き! 登月才媛(ノボリツキ サキ) @memobata-41

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