第2話 私の師匠は棒人間作者
「師匠は私以外に弟子はいないんですか?」
「いないよ?……師匠は止めて。そんな大それたことしてるつもりない」
といってもな……教えてもらうことで学べることが大きすぎて尊敬が止まらないんですけど。まあ、少し譲歩するか。
「意外です。先生の教え方はとても分かりやすいので」
「……ありがとう。で、疑う様で悪いんだが、僕意外に先生となる人はいなかったのか?絵なんていくらでも教室があるだろうに」
え、嫉妬?まさかの?お酒に酔ったシャルルカンみたいな?と、とにかく答えないと。
「どう答えたらいいのかわからないですが……、多くの作者様の作品を見てきました。でも、どうも、作風が違うといったらいいのか、絵柄、でもなく……そう、真似ができなかったので――」
どういったらいいのか……。
「なるほど。絵が下手な方が敷居が低いだろうと」
「ええ!?待ってください、そこまで言ってないですよ!」
「いや。実に合理的だよ。で、僕がオリ棒しか描かないのも、都合がいい、オリ棒ならば簡単そうだと踏んだわけか」
「うう……先生のキャラクターデザインが魅力的だからに決まっているじゃありませんか……」
人間を信頼しない獣みたいな人だとは思っていたけどこんなに牙をむかれるとつらいな。
「逆に!なんで先生はオリ棒しか描かないのですか?」
「おお、そうきたか。まずは、僕は人間が描けない。至極下手に仕上がる。あと、デザインの相性がいいから。襟マント、腰マント、包帯、ピアス。画面構成の仕方もしやすいし、見る方も単純な方が楽だ」
あ、あれか。
「厨二病とかいうやつですか」
「言うのか!ひでえな。でも、認めるよ」
ロックで良いだろと言いながら、師匠は新しいミュージックビデオを投稿した。
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