街の夜

アンニュイな風が身を抱擁

完璧な仕事とは今日でお別れ


いきなりの電話には正直驚いたと

言う余裕もないくらいの君の声が

見ようと思った動画を止めた


同じペースで歩いていたはずなのに

そのつもりだったのは僕だけで

手元に残ったプレイリストに

二人の履歴を重ね合わせた


送別の宴が今まで続行

明日の予定はまるで総崩れ


見境のない車の往復と

信号待ちの人の中から

無意識に自分の顔を探した


取り越し苦労に見合う笑顔に

喜んでいた人々は消え去って

最後に見つけた古いノートに

昔の切符とメモがあった


トンネルで窓を開けて もう

ラジオの音を最大にしておいて


近道なんて最初からないよなと

いつかの信号過ぎてから

あの子がくれた無理なヒントに

脈略も体裁も諦めた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る