背中の匕首

君を保存したいから用意した

これに収まればこのまま消えない

だって いつか

愛は綺麗事だけじゃないって

そういったのは君じゃないか


切り刻むような寒さでも

窓を開けてタバコを吸った

むしろ 目の前の 

瞼など関係ないくらい薄暗い

この空に意味なんてあるのかい


使い古したボロ切れのような

誰かの切れ端を複写した

そうしなきゃ すぐに

僕の背中を見た君は

靴も履かずに出て行くじゃないか


一人で死ぬことが怖いとかではなく

ここに残れば君も孤独じゃないだろう

つまりは 投げ槍に

このままここに収まって

一緒にいればいいじゃない


薬缶の音が過ぎ去る車と重なる

君のコーヒーも淹れておこう

ところで そろそろ

僕の背中を見た君の

答えを聞かせてくれないか

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