怪談レポート

№２３５

　敵対心とか悪意とか、そういう物にあまり関わらずに生きてきたと思います。だから、変にすれ違っちゃったんですよね。

　私の夫には2つ上のお兄さんがいて、お兄さんの奥さんは私と同い年でした。夫の実家に盆正月にご挨拶に行く以外は会わない、薄い関係でした。結婚時期はあちらが2年早かったんです。私たちが結婚する頃にお兄さんの奥さん――仮に園子さんとします――は妊娠しました。

　園子さんとは会わないとはいえ、よく贈物をしてくる人でした。お歳暮とかそういうのではなく、誕生日やクリスマスなどのイベント時に私宛に「あなたが好きそうな物を見つけたから」とペンや陶器の小物など、結婚してから何度かいただきました。最初は妊娠中で私たちの結婚式に参加出来なかったので、その事を気に掛けてるのかな、律儀な人だなと考えていました。その割に夫の実家でお会いしたときはそんなに目を合わせてくれません。

　だんだんその贈物が不気味になってきたんです。理由はよく分かりません。毎回違う物で、可愛くラッピングされているのに、それを見た瞬間ゾッとするようになりました。また、同時に体調を崩すようになり、何度も病院に行きましたが原因は分からず。仕事にも支障が出てきたので泣く泣く退職しました。

　私は贈物をもらうたびに体調が悪くなっている気がしました。理由は分からないので夫にも話せませんでしたが、後から聞いたら夫も嫌な感じはしていたそうです。

　夫がそう感じるのは珍しいことだと思います。夫はおおざっぱな性格で、普段は細かいところに気付く人ではないんです。

　それで、私が体調が悪いときに姪の入園が重なって、おおざっぱな夫はうっかりしていて、ギリギリになって慌ててお祝いを準備することになりました。買い物は私がしたんですが、それを終えるとまた不調で倒れてしまったので、ラッピングは夫に任せていました。

　後日、姑から連絡が来ました。電話を出たのは夫で始終驚いたり首をかしげていました。電話を切って、姪が入院したと言われました。それを園子さんが私のせいにしていると。

「なんか『リボン使いやがった』とか言ってるそうだけど」

「リボン？」

「僕が園子さんからきたプレゼントのリボンを使い回したことを言っているのかな」

　夫は姪へのプレゼントをラッピングするとき、リボンが家にないことに気づき、買いに行くのも煩わしかったので、家にあったリボンを使い回したそうです。私はラッピングの包装紙やリボンは気に入ったら取っておくタイプなんで、夫もそれを使うことはよくありました。

　姪はお祝いを開封してすぐに高熱を出して倒れ、救急車で運ばれました。あれから1ヶ月経ちましたが原因不明で、まだ入院中です。お見舞いを拒絶されているのでまったく会っていません。

　私はすぐにリボンや包装紙を捨てて、今は大分体調が良いです。

　夫も私もはっきり口には出しませんけど、やっぱりリボンに何かあったんですね。何をもらっても全部同じリボンで、手作りっぽかったんですよ。呪われるほど嫌われてるとは思っていなかったので、ただただ怖いです。