第3話 私も罠の見回りに付いていったわよっ

いやぁ~、どうせまた何も掛かって無いと思ってたけど、暇だからタケルに付いていったのよ。

家に居てもべるでが石臼ゴロゴロしてるだけでしょ?

手伝うっていっても上から粒々をポロポロ入れるだけだし、5分で飽きちゃうわよ。


罠を仕掛けるのって面白いのよ。

タケルは罠を木に括り付けて、弁当箱?に輪っかを掛けて、ギューっと引っ張るんだけど、

たまに弁当箱から外れて死ぬほど驚くの。そのリアクションは思わず笑っちゃうわ。

良いゲーニンになれると思うんだけどね。ゲーニンってなにかよくわからないけど。


外れて飛んだところが当たると死ぬほど痛いって言ってるけど、たかがバネよねぇ?

・・・そんな事は無い、本当に、本・当・に痛いのである。それも相当に痛い。


それで、1つ目の罠を見て、近くの獣道にもう一個掛けたの。2回程驚きながら。

2つ目を見てるときに、先の方からピャーって声がしたような気がしたんだけど、

タケルは夢中でもう1つ罠を追加してたから、気が付かなかったのかしら・・・


3つ目の罠を見に行ったら、もう大変。地面が丸く平に成っちゃってるの。

森の中よ? 誰かが悪戯したにしては激しすぎるわ。

そしたらタケルが肘掴んで上に上に行くのよ。なんでも下は危ないって。

まぁ上から見た方が良く見えるじゃない?付いていったら居たわ。

村人が困った、怖かったっていうからもっと2メートルぐらいかと思ってたら

サイズはコロとそんなに変わらないのよ。肉付きはもっと、もーっとみっちりしてたけど。


それで、何度も何度も突進してはワイヤーで止められてるのよ、学習する事は無いのかしら?

危ないって思ったんだけど、タケルはどんどんと近づいて行って・・・

まぁ私もタケルが前に行くなら付いていくわよ、きっとそんなに危なくないんだわ。


そしたら銃を取り出して弾を詰めだして。

左後ろに回れって。で、耳をふさげって。

なんで左後ろって思ったけど、左って指定するからには何かあるのね。たぶん。

両手で耳を押さえて待ってたんだけど、動かない動かない。まーったく動かない。

耳を押さえ続けて痛くなっちゃったわよ。

もう、早く撃ちなさいよ。って思ってみてた。


よく見てると私が動くと猪も興奮するのね。

もっと挑発しようかと思ったけど、怒られそうだからやめた。

タケルは怒ると直ぐに口を伸ばすのよ、口が大きくなっちゃったら大変じゃない?


じーーっとしてたら突然猪が横向いたのよ、そしたらバーンだって。

耳ふさいで居てもびっくりしたわよっ。


猪がゴロゴローっと斜面から落ちてったの。

もうね、映画見てるようだったわ。 ・・・映画見たこと無いけど。


タケルは暫く、じーっとしてたのよ。まるで自分に酔ってるみたいに。

あとでこのネタ使って、からかってやろーっと。


そして見に行ったら一発だったわね。即倒、即死。なむなむ。

せめて美味しく頂いてあげるわねっ。

べーこんが良いかしら、それともボタン鍋?

畑の収穫をたべて大きくなった猪を食べる。食物連鎖ね。


後片付けしてたらみんな鉄砲の音に驚いてぞろぞろ来たの。

何事じゃ?って。

みんな驚いたり棒で猪を叩いたり。

もう泣きながら叩いているから止めるに止められなかったわよ。

最後はみんな肩を抱き合って喜んでたわ。

収穫が上がらなかった原因だものね。


みんなで畑に引っ張って行って、木に吊るして。

やっとみんなも落ち着いたみたい。


さて、やっと朝食よ!何が出来ているのかしら?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る