014

朝起きると、ファムはベットにはいなかった。なんだかすごく寝た気がするけど何時間くらい経っているんだろうか。昨日の夜は結局はそのまま二人で並んで寝てしまった。当然、あの後はファムのお胸様を触らせてもらえることはなく、大人しく寝たのだった。

「ユウタさま。朝食の用意ができていますので、一緒に食べませんか?」

ファムが居間のほうから声を掛ける。俺は今行くよっと返事をして、簡単に身だしなみを整えて居間へと向かう。服は昨日のジンベイ風の寝間着のままだ。

「ファム~おはよう。」

「おはようございます。ユウタさま。」

ファムは既に普段着へと着替えていた。今日はジーパンにゆったりとしたシャツ、かな?昨日に比べると部屋着っぽいかな。そう考えると、昨日のは外出用の服だったのかもしれないな。朝食として用意されていたのは、ご飯らしきものと何かの魚を焼いたもの。あとは穀物類がちらほらと。お店で食べたステーキもそうだったんだけど、こっちの世界の食材は俺が知っている食材と似ているようで似ていないんだよな。

「いただきます。」

ファムと声を合わせて言う。見た目通りとはいかないけど、食べると味もなんとなく似ているような気がする。

「んー、美味しいね。ファムは料理も上手なんだね。」

「えへへっ。そうですかぁ。でも、お魚は焼いただけですし、穀物の何かはおばあちゃんからのもらい物なんです。ごめんなさい。フフッ。」

「そっかそっか。」

この穀物類の何かはファムも何なのかはわかってないんだね。ツッコミたい所だけどまあ、スルーしておくか。簡単に食事を終わらせた俺たちはシャワーを浴びるなり、服を着替えるなりと賜物の儀への支度を始める。もちろん、シャワーは一人づつ浴びるし、着替えは別々。昨日からなんでも期待しすぎだよな。

「ファム?昨日脱いだ俺の服ってどこにあるのかな?確か・・・この辺においといたはずなんだけど。」

「ユウタ様、あのお服は今は洗ってます。なので、賜物の儀用の服を用意してありますので、そちらを着てください。」

賜物の儀用の服・・・まさか甲冑とかじゃないよな。付近を探してみると綺麗に畳んである服一式を見つけた。

「・・・これ?」

ファムに話しかけようにも自分の部屋で着替えているようで、声は聞こえていないようだ。・・・声を掛けにくいな。まあ、いっか。とりあえず着てみよう。大体は普通の服と一緒だから間違えることはないと思うんだけど・・・。これで合ってるのか?

「ユウタさま、着替えられましたかぁ?」

ファムが部屋から出てきた。ファムの格好は初めてあったときのようなハロウィン風の服装でその時に比べるときっちりしており、ローブは纏わずにコートっていうのかな?なんかそんな感じ。まあ、確実に言えるのは、前が開いているローブと違い隙間からファムの胸のラインは見えないということだ。

「ああぁ、ユウタさま。とっても似合ってますよ。・・・素敵です。」

「そうかな?動きにくい服じゃなくって良かったけど・・・。」

鏡で自分を見てみるとまるで学校の制服のようだな。なんとなくリーナが着ていた服の男性バージョンっていう気がしなくもない。

「ファムは暑くないの?そんなに着こんじゃって。」

「はい、大丈夫です。こう見えて中は意外とスースーしているんですよ?フフフッ。」

「え?それって、中は着てないとか?」

「もう!聞かないでください。」


俺たちは神殿へと向かうのに街の大通りを歩いている。神官との決闘についての対策はなんとなく頭に入っている。だけど、大まかな打ち合わせのみであとはその場で考えるという感じだ。まあ仕方ないことだよな、まだ、誰と戦うかはわからないんだから。ファムが言うには知っている相手なら特性も特徴もわかっているから楽らしいんだけど・・・。

「おお!御霊よ。今日は決闘らしいなー!!ククッ頑張れよー。」

「ああ、御霊様。ご無事をおいのりしております。」

「ハハッ命知らずのお二人さんよぉ。まぁ、せいぜいがんばんな。」

街を歩いていると住人が声を掛けてくる。応援してくれる者もいればバカな行為だと言ってくる者もいる。だけど、悪意や敵意をもって声を掛けるのではなく俺たちのことを心配しているかのようだ。

「なんか、色々言われてるけど・・・」

「はい。みなさん、心配してくださっているんだと思います。特に御霊さまはこの街・・・いえ、この世界にとってはとてもき・・・じゃなかった大事な存在ですから。」

「ん?き・・・なに?」

「えと、、、その・・・。」

「おい!ファフニールよー!!お前は首席だかなんだかしらねーけどよ。てめー御霊っていう存在がどんだけ貴重なサンプルかわかってんだろーなぁ!おおぅ!?」

こんな昼間っから酔っ払いか?亜人というべきか、両腕・両足に鱗を付けたオヤジが絡んできた。あの鱗はわざと見せる為にTシャツ・短パンなのだろうか・・・。

「サンプルって、おっさん!ひどい言われようだな。俺を目の前にして言うか?普通。」

「うっせーぞ!御霊のガキが!!実験材料は黙っとけ!!おれはぁ、そのお高く留とまった、ファフニールさんに言ってんだ。ああぁ?」

この光景を見ていた周りがざわつき始めている。中には自警団を呼んだ方がいいなどと言っている者もいるようだ。ファムはなにも言わず、クッと唇を噛みしめている。亜人のおっさんはファムの服を掴もう手を出してきた。俺もさすがにファムに触られるのは嫌だからその手を掴もうとした、その時・・・。

突然、亜人のおっさんは高速で回転をして宙に浮き上下左右に回りながら高速回転をしだした。

「おぇあああ、おおおう、おえおえおおあああああ。」

「・・・これだから無粋な亜人は嫌いなんだ。」

そう言いながら現れたのは超美形の神官だった。

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