007
「ただいまぁ。・・・っていっても誰もいねーか。」
自宅についた俺は、自分の部屋に行き、そのままベットへとバタっと倒れこむ。なんもしたくねー。テンションはガタ落ちでまた外にでる気力もわかない。ごろごろと寝返りを打ちながら時計を見てみると。
「まだ、昼過ぎか・・・。」
もう、昼寝しちまおうかな?腹は減ってないから、とりあえずドリンクだけ冷蔵庫から取り出してきて軽く飲んどくか。だらだらと起き上がり冷蔵庫へ。いつものドリンクを取り出して部屋へと戻る。・・・ふぅ、とひと息入れてまたベットへと倒れこむ。
「あーあ。なんかうまくいかねーもんだなぁ。・・・ひなた・・・。」
軽く目を瞑って深呼吸をする。・・・ああ、こりゃ、寝るな・・・。
・・・・・・・。
目が覚めるの、早くねーか?いやに、眩しい。ていうか、俺って外で寝てたっけ?
周りを見渡していると、記憶にある丘、記憶にある空、記憶にある景色。あれ?なんだっけ??そして、一人の女の子が横にいた。
「おかえりなさいませ、私の御霊さま。」
嬉しそうな笑顔で声を掛けてきたのは、たぶん・・・ファム、か?。
「・・・・・・ファ・・・ム?」
「はい。御霊さま。・・・もしかして・・・わすれ、ちゃったんですか?」
急に不安そうな表情を浮かべて、困った様子だ。確か、ファムはローブを着ていて・・・。もっと、異世界の魔法使い!!みたいな恰好をしていた気がするんだが。今の姿は下はミニスカート風でハイソックス、絶対領域っていうのか?白いフトモモが煌めいていて、上は何とも言えない可愛らしい服。割とぴったりしたような服なので胸のラインがくっきりとわかる。そうだ!!前はローブの隙間からしか胸のラインが見えなくって、わからなかったがこんなにも大きめの胸をしていたんだな。これは間違いなくファムだ!!こんなに大きいなんて前回は何をみていたんだ、俺は。
「ファムか!?」
「もう!!御霊さまはどこを見て私の判断をしているんですかー。」
ファムは俺の目を両手で塞ぐ。その勢いのまま、俺に被さるように倒れこむ。
「わぁ、ああ、。・・・ごめんなさい。」
「いって・・・ハハッ。」
俺はファムを抱きしめるようにそのまま倒れ、背中を強打。だけど、不思議だ。全然背中は痛くないんだ。ファムは手を避けて一緒に笑い出す。目の前に笑っているファムの顔がある。俺はその可愛らしさにドキッと胸が高鳴るのを感じていた。
「あは、あ、ごめんなさい。今、避けますね・・・。」
「・・・ファム。」
俺は離れようとするファムをギュッと力強く抱きしめる。ファムはえ?え?と困惑しているようだ。俺は元々そんなに積極的なタイプではない。・・・ないんだけど、なんでだろうか、わからないけど、今はこうしていたい。って思っているんだ。・・・どうしたんだろうか・・・。・・・ああ、そうか。俺、死にかけたんだっけ?それで、ファムとベットで・・・。
「みた・・・ま、さまぁ。」
ファムも優しく俺に手をまわして抱きしめてくれる。少しの時間、静寂が俺たちを包む。・・・なんか良いふいんきだな。
「おにいちゃーーん!!」
「キャッ!?」
ファムが飛び跳ねるように離れる。なんだ?どうしたんだ??
「ファムちゃん。おにいちゃん。なにしてたのー?」
「なんにもしてないわよ。どうしたの?リーナ!こんなところまで来て。」
「えへへ、ファムちゃんがおそいからむかえにきたのー。えと、おにいちゃん?」
リーナと呼ばれる少女は俺の顔を覗き込むように見てくる。少女はアカデミー服とでもいうのか、学生さんみたいな服を着ていて。ファムの服装とは対照的にしっかりとしたTHE・制服といった感じがある。
「ファム、ごめん。よくわからないんだけど。誰っだっけ。」
「え!?覚えていないんですか!?」
ファムがなにかを言おうとするのをリーナが制止する。深呼吸をして俺をじっとみる。両手の指を組み、ニコリと笑う。
「みたまさま。あのときは、わたしのいのちをすくってくださってありがとうございます。わたしはこのすくっていただいた、いのちをだいじにいたします。そしてこれからはあなたのいのちもおまもりいたします。」
「ちょ・・・リーナ!?」
???。ん!?お礼を言っているのかな?
「だから、このしょうがいをかけてみたまさまと・・・。」
「リーナ!!だめ!!!」
ファムがミーナの口を塞ぎ、制止する。ていうか、ファムの顔、ちょっと怖かった。モゴモゴとリーナが暴れている。
「えーと・・・どういうこと、かな?」
「御霊さまは少し静かにしていてください!!」
「え!?静かにって・・・」
「一切、しゃべらないでください!!」
「・・・はい。」
ファムって、怖いんだな・・・。リーナを少し離れたところに連れて行き、なにかを言っている。遠目だからはっきりとはわからないけどリーナはシュンっとして怒られているようだ。・・・あ、戻ってきた。俺はさっきのファムの雰囲気に驚いたのもあってちょっとビクビクしながら構える。
「はぁ、御霊さま。すいません。バタバタしちゃいまして・・・」
「あ、うん。全然いいんだけど・・・さ。」
俺はファムの後ろで半泣きのリーナが気になって仕方ない。その様子に気が付いてファムが簡単にだが説明をしてくれた。リーナは俺が死にかけた時に助けに行った少女だという。今は、魔方術アカデミーに通っている学生らしく、どうしても俺に会いたくてファムが俺を街に連れてくるのを待っていたらしいんだけど、結局待ちきれなくてここまできたっていう感じかな。ちなみにさっきのやりとりはなんだったのかを聞いたんだけど、それはうまくはぐらかされて教えてはくれなかった。一通り顔合わせ的な紹介が終わったらリーナは俺に会釈をして、そそくさと先に街へと帰ってしまった。
「もう、リーナったら・・・」
「えっと、じゃあ、街にいくんだっけ?」
ファムはハッとして、乱れた髪を手でささっと直して、俺の方を向く。
「はい。いきましょう。」
俺は立ち上がり、膝とかについている土を払い、ふうっとひと息つく。すると、ファムが俺の服の襟とかを触り直してくれた。
「フフフッ。いきましょう。」
気の利く女の子だなぁ。そこにはもう怖い顔をしたファムはいなかった。
そして、俺たちは街へと向かった。
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