第4話「カノジョの秘密と僕の思い」

  夏休みも終わり、二学期最初の投稿日がやってきた。

  毎年憂鬱になる、その日が今年の僕にとっては少し嬉しい日だった。


「おはよう」

「久しぶり」


  クラスでは、そんな会話が飛び交っていた。

  その中から、僕はカノジョを探す。

  けれど、そこにカノジョの姿はなかった。

  カノジョの事だ、どうせ寝坊でもしたんだろう。


  始業式が終わり、午前中のみで学校は終わった。

  結局カノジョは最後まで来なかった。


  学校を出て帰っている途中に一通のメールが届いた。


「○○総合病院にいるから来て」


  カノジョからだ。

  そこには、この街で一番大きな病院の名前が書かれているだけだった。

  相変わらず素っ気ないメールだ。

  どういう事なのかよく分からなかったが、とりあえず、その病院に向かった。


「あの、沖野さんは・・・・・・」

「五階の病室ですよ」


  受付の人にカノジョをたずねると病室へと案内された。


『久しぶり!』


  そこには、いつも通りの、いや少し痩せ細ったカノジョがいた。


「どういうこと?」

『何でもないよ? 大丈夫! すぐ良くなるから』


  カノジョは事情を説明してくれた。

  でもその姿を見る限り、とてもすぐ良くなるようには見えなかった。


  僕は、この日カノジョが課題に「人生」とつけた意味が少しわかった気がした。

  だけど、それを認めたくはなくて・・・・・・



  それから一週間、毎日カノジョのお見舞いに行った。

  その日、学校であった事などを話したりしていた。

  僕の話を聞いて笑ってくれるカノジョを見て少しほっとしていた。


  お見舞いに行き始めて8日目の事だ。

  カノジョの体調に異変が起きたのは。

  カノジョは、今までよりも痩せ細り、酸素を供給するためのマスクをつけていた。

  あの頃のカノジョの姿は、もうどこにもなかった。


『今日は、どんなことがあったの?』


  そんな状態でもカノジョは、いつも通り話しかけてくれる。


「大丈夫なの?」


  聞くべきではなかったのかもしれない。


『・・・・・・』


  病室が一気に静まりかえる。


『あと、一週間だってさ・・・・・・』


  カノジョから、その言葉を聞いた時、今まで流したことがないほど、沢山の涙がこぼれ落ちてきた。

  カノジョは決して泣かない。

  本当に泣きたいのはカノジョのはずなのに。


  その日、僕は一つのことに気づいてしまった。

  もしかすると、気づかない方が良かったのかもしれない・・・・・・


『僕はカノジョに「恋」をしている』

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