第18話 業持ちと支配者
十一歳になり、十二歳になるまでの間に経験する死亡回数が八十四回になった。
一カ月に七回、週に約二回死ぬ計算だ。
死ぬ時間も伸び、今では数十分にもなった。
平日は小等部に通っているので、死亡する時だけ保健室で休めばいい。
しかし、休日や長期休暇の時は、危険領域で素材採取を行っている。
タイミングが悪ければ、危険領域内であっても数十分間無防備な状態を晒さないといけなくなってしまった。
俺が死んでいる間は、小竜が警戒と肉体の維持の為に魔力を流し込んでくれている。
小さくても竜種の魔力は、危険領域内であっても脅威であるらしく外敵に襲われる心配はなかった。
しかし、危険領域内で死亡を繰り返している内に、妙なのに付け狙われるようになった。
『付いてきているな』
はるか後方。精霊の眼が捉える境界辺りに、チラつく影が一つ。
『一層の事、襲撃してくれれば対応の余地があるんだけど』
『それか索敵の範囲外にいるかだな』
境界を行ったり来たりを繰り返すので、非常に鬱陶しい事この上ない。
境界をうろつく正体は、
しかも索敵と隠密に特化した業持ちの不死種。
生物の魂殻は光子で構成されているが故に強固で、人では業を積み重ねていくと技能や技術、職業や職能と言った“型”として身に着く。
しかし、魔物の魂殻は魔素で構成されている為存在が曖昧で、業が干渉して存在が特化する。
存在が特化した魔物の事を“
業持ちの魔物は、特殊な技能や特異な器官を保有する場合が多い。
例えば体格も筋力も同じ位の二体の小鬼がいたとして、一体は荷物を運ぶ事に専念し、残りの一体は戦闘に専念したとする。
それぞれが一定以上の
荷物を運んでいた小鬼は荷物を運びやすいように筋力と体格が成長し、戦闘に特化した小鬼は同じ体格ながらも、戦闘技能や戦闘に特化した骨格や筋肉に変化する。
前者は
これが魔物の存在特化現象“クラス”だった。
話を戻せば、今俺を付け狙っている怨霊は“
『あいつにとって余程この身体は魅力的なんだな』
現に小鬼の集団を狩っている今も、着かず離れずを繰り返している。
『追跡者の事もあるが、この小鬼たち妙ではないか?』
『俺もそう思う。戦闘と運搬が明確に分業されている』
小鬼の中には業持ちがちらほらいる。
業持ちの魔物は通常個体より強いのだが、この二年間で改良を重ねた強化外骨格の性能があれば容易い。
最後の一体を骨製のカービングナイフで撫で斬りにして戦闘を終える。
残心を残し散らかった小鬼を纏め、匣に収める。
回収した小鬼の魂魄を確認すると二個小隊規模の小鬼の集団で、半数が業持ちなど異常の一言だ。
『これは相当上位の
『それもかなり強い奴が率いている』
支配者とは、一定数以上の集団を率いた魔物の事だ。
クラスと似たような物だが、集団を率いる
大雑把に言えばただの小鬼はG級の魔物だが、支配者の小鬼はF級になる位強さが変わると言える。
当然、率いている集団の数に応じて、支配者側の強さと階級は変動する。
今回狩った集団にも小隊を統制する
現在いる領域帯の危険度はE。
G級でしかない小鬼が本来侵入しない領域だ。
この二個小隊を率いていた支配者は、どう頑張ってもFの半ばが良い所。
とてもじゃないが危険度Eの領域帯に、侵入できるとは思えない。
『居ついても仕方がない。探索を続けるぞ』
小竜の号令に従い探索を再開した。
百メートル先にある巨木と岩に囲まれた窪地に、二百を超える小鬼の集団が存在した。
そしてこんな窪地こそ、魔物が発生する魔素溜まりが出来やすい地形だった。
小鬼が大量に発生していた原因はここで間違いないだろう。
しかし、これだけ規模が大きい集落が、他の狩猟者に気付かれていないとは思えない。
『うま味が無かったのではないか?』
『そうかも、鬼種、特に小鬼の素材って基本使い道が少ないから、狩猟者協会の買い取り項目霊子結晶ぐらいだもんな』
俺からすれば装具に最適な素材だ。
使い捨てても直ぐに替えが利くし、浅い領域帯でも安易に手に入るから重宝する。
強化外骨格の試作で、何体の小鬼を狩ったか数えるのを辞めたくらいだ。
探索時に使っている強化外骨格は、FやEランクの獣種素材から加工した人工筋肉だが、改良や試作では小鬼素材がメインだ。
『あれが支配者か』
小鬼たちが世話しなく活動する中、一体の巨体が君臨していた。
三メートルを超える骨格に隆起した肉を纏い、その肌は燃えるような赤。
雄々しい鬣から伸びた二本の鋭角と強靭な顎から伸びる牙。
小鬼など一掴みできる巨大な手。
討伐危険度Eの大鬼(オーガ)。
それも限りなくDに近いEだ。
魔力と気の保有量がE級の獣種と比べても、明らかに多かった。
『どうするかな』
大鬼の周囲に散らばる巨大な骨。同じ強さの獣種を狩って、肉と同じように魂も食ったのだろう。
元々魔素で濁った魔物ならば、魂の混濁を気にする必要もなく自己強化を行える。
手持ちの最高素材がFであることを考えると、肌に傷すらつけられる気がしない。
こんなことなら、さっきの小鬼の魂は小竜にあげずに取っておけばよかった。
砕いて素材を強化すれば、簡単に討伐できたかもしれない。
『別になにも変わらんだろ。いつも通りに、だ』
『だよな』
いつも通りに、粛々と狩りを行うとしよう。
大鬼と小鬼の集落攻略の手順を、頭の中で三回イメージする。
イメージするのは戦術が全て成功した場合、全てではないが半ば以上成功した場合、半ば以上成功しなかった場合、すべて失敗した場合の最低四つ。
シミュレーションは精神の加速によって、ほぼ一瞬で終える。
準備した装具を確認。
攻略に必要な装具は、素材だけは持っていたので問題なく作成できた。
それらを装備して時を待つ。
時刻は深夜。
夜行性の生物や魔物が跳梁跋扈する時間。
夜目が利かない生物や魔物が恐怖する時間。
しかし、視覚ではなく超感覚で観ている俺にとって、もっとも有利に働く時間。
小鬼たちは、夜目が利かない昼行性の魔物だ。
何体かの小鬼が窪地の外を哨戒しているが、発光する石を括り付けた棒を持っているだけで索敵範囲は非常に狭い。
匂いに関しては、新緑と大地の咽返る香気にほとんど意味を為さない。
発光する石は日が沈む前に
『さて状況を始めますか』
『うむ、しくじるなよ』
二体一組で哨戒している小鬼が、他の小鬼たちから死角に入った瞬間、頭上から襲撃。
悲鳴を上げる間もなく仕留める。
肉体から離れる魂の光が、最小限になるよう最速で回収する。
転がった二体の小鬼に《形質変化》で全身を人工筋肉と人工骨格に改造。
表面だけは生前のままだが、中身だけ別物になった
操作系術式《形骸操作》で二体の改造小鬼を制御し、幾つかの装具を“持たせ”哨戒を続けさせる。
哨戒を終え、交代の小鬼に杖を渡す。
渡された小鬼は若干訝しんでいたが、気にせずに窪地の外に出ていった。
『第一段階クリア』
窪地に入れた改造小鬼を操作。
持たせた装具を所定の位置に置くと《形骸操作》によって設置した装具から大量の水蒸気が溢れ、窪地全てを覆いつくす。
窪地の外にいた全ての小鬼たちが異常を察して、窪地に入っていく。
『第二段階クリア』
『上手く行き過ぎているな。気を引き締めよ』
窪地からは何が起きているのか分からず、混乱の声が聞こえてくる。
しかし、その声も徐々に弱まっていき、最後には何も聞こえなくなった。
改造小鬼が仕掛けたのは、“霧霞蜘蛛”の糸と“氷熊”の氷毛で作った熱を吸収する霧を発生する装具。
霧霞蜘蛛は粘着性を併せ持つ霧状の巣を産み出し、霧と思って侵入した獲物を拘束する蟲種。
氷熊は、周囲から熱を吸収し温度を下げる獣種。
しかし、その二つを混ぜ合わせただけでは、ここまで劇的な効果は発生しない。
作成中に導術で
共鳴術は外魔力や外気と同調するだけでなく、素材や装具に宿る魂に干渉して能力を増幅する効果がある。
外魔力や外気の干渉力がFの俺だが、死を内包した存在には精霊の眼で観れる範囲内ならばD級の干渉が可能だった。
多分俺の魔術適性に関係しているのだろうが、導術や共鳴術を扱える人が両親しかいないので明確になっていない。
共鳴術で強化された粘着性と吸熱性を持つ霧は、小鬼程度の魔物なら短時間で凍死させるほどの威力を発揮した。
『第三段階クリア。プランBに移行』
『やはりこの程度では死なぬか』
二百体以上の小鬼が凍死している中、行動制限が多少ある程度で済む個体。大鬼だ。
大鬼が大気を震わす咆哮を上げるが、それに答える者は一体もいない。
精神の色は赤褐色、焦燥に染まっていた。
肌に張り付く霧を引き剥がしながら辺りを彷徨い、動く個体がいないか探している。
視界の端に動く影を捉えると、一体の小鬼が見たこともない武器を持って立っていた。
安堵の色に染まる精神が、次の瞬間には怒りに変わる。
小鬼が、大鬼に襲い掛かったのだ。
二メートルに届く超槍が、回避した大鬼の片角に当たり穂先が砕け散る。
しかし、角も根元から折れ、刀身の破片と共に地に落ちる。
混乱と憤怒の極致で振るわれる爪に、小鬼は抵抗虚しく切り裂かれた。
その残骸からは血が一滴も零れることもなく、皮の下から覗くのは白色の人工筋肉だった。
改造小鬼が持っていた槍は、三十五体の小鬼の骨から精錬して作った骨槍。
それを無用となった臓腑の代わりに、折り畳んで仕込んでおいた。
後は混乱に乗じて骨槍を展開。
周囲にあった五十体ほどの魂を砕いて骨槍に付与して、一時的に切断力を上げただけの品物だ。
大鬼の片角が折れてくれたことは僥倖。
さて詰めに入ろう。
残った改造小鬼が、駆動限界を気にしない動きで大鬼を襲う。
霧による視覚阻害、吸熱作用と粘着性による行動阻害、精神圧迫の視野狭窄、片角切断による能力減退。
そんな異常状態であっても素の性能差が状況を膠着させる。
戦闘が長引けば長引くほど、大鬼の精神は回復し精細な動作が戻っていく。
数合の打ち合いで、骨槍と改造小鬼の体は限界を超えていた。
砕かれた骨格ではまともな操作は行えず、大鬼の巨棒に吹き飛ばされる。
大鬼はぼろ屑になった改造小鬼の身体を掴み上げ、あらん限りの膂力で握りしめる。
無駄に頑丈に作った人工骨格と筋肉が、小枝でも折る様に折れていた。
大鬼の精神は愉悦と怒りで彩られる。
条件は全て整った。
優位性を確保した瞬間の弛み。
その間隙に最後の一手を差し込む。
一条の光となった改造断切鍬形が、大鬼を断ち穿つ。
最高のタイミングで、これ以上ない最高速度を持って放った一撃。
しかし、最速の一撃は、大鬼の命を刈り取れなかった。
断切鍬形のドローンは、大鬼の右腕を肩下から切り落とすだけに止まる。
『あれに反応するのかよ』
『六感で避けおったな』
骨槍の強化で使用しなかった魂百余り。
その全てを改造断切鍬形を操作して貫き、魔力を付与させた一撃は大鬼の強靭な堅骨ごと切断した。
限界まで魔力付与した改造断切鍬形は、一撃で耐久限界を超え崩壊。
残されたのは、肩下から夥しい血を流す大鬼だけだった。
出血を抑える事もせず微動だにしない大鬼が、何の前触れもなくこちらを向く。
不可視の霧越しに、確かにこちらを見据える。
『撤収!』
全速力で場を離脱。
強化外骨格が魔力強化と共鳴術で限界を超えた挙動を実現するが、装備の耐久度は持って一分。
複雑に隆起した地形を一足飛びに駆ける。
しかし、大鬼との距離は一向に広がる気配がない。寧ろ確実に近づいてきていた。
『片手消失して止血処理もしてないのに、この機動力は出鱈目すぎる』
『失血死を期待するのは、希望的観測だぞ』
小竜に言われて気が付く。大鬼の右肩からは既に血が出ていなかった。
『筋肉信仰はどうかと思う』
肩回りの筋肉が、膨張して止血作用を及ぼしている訳だ。
筋肉ダルマめ!
一手間違えるだけで死ぬ命がけの鬼ごっこ。
それも直ぐに終わりを告げる。
後方二メートル。
残った左腕を伸ばせば届く距離まで詰められた。
俺が向う先に気が付き、バランスを崩しながらも左腕を伸ばしてきたが、判断が一瞬遅かった。
最後の踏切の足が地面を蹴ると、俺の身体は何もない中空に踊る。
断崖絶壁。
高低差約1000mからの自由落下(フリーフォール)。
俺の胴体を易々と掴む巨大な手が、僅差の宙を掴む。
最後に捉えた大鬼の感情は、憎悪と憤怒だった。
『早く膜を張れ!』
強化外骨格の背に仕込んでおいた膜を展開し、ウイングスーツ形態に移行。
空気を孕み、落下が飛行へと変わっていく。
瞬く間に隆起した大地は、精霊の眼で捉えられない後方になった。
『ああ畜生!防具に最高の素材だったのに!』
『骨折り損のくたびれ儲けぞ』
しかし、あそこで逃げない選択肢は存在しなかった。
『大鬼で業持ちとか、まともにやり合えるか』
戦闘特化の戦士(ウォーリア)。
最後の前触れなしの看破は、戦士としての感とでもいうものだろう。
視界不良に隠形のコンボで見つけるとか、出鱈目すぎて怒る気にもならない。
俺の手には、三十センチを超える一本の角が握られていた。
『小僧いつの間に!?』
『大鬼と目が合った瞬間』
残っていた別のドローンを操作して、落ちていた角を回収したのだ。
逃走しながらドローンを操作したせいで、捕まりそうになった。
『唯一の収穫がそれか、まあ、何も無いよりは有意義であったな』
着陸の準備をする。
二百。百。五十。
精神が加速してもなお緩やかに動く景色。
翼膜を切り離し、飛行が落下へと切り替わる。
残り三十。
落下速度はそのまま。手元で一つの匣を展開。
出て来た“それ”は、地面と俺たちを挟み一瞬で直径二十メートルにまで膨張。
落下の衝撃をゆっくりと、しかし、速やかに吸収し形状を変える“エアバック”。
骨を抜いた小鬼の素材を《形質変化》で反発力の強い皮膜に改竄した逸品だ。
こっちは時間があったので、見た目は完全に袋だ。
エアバックで殺しきれなかった速度は、強化外骨格と魔力で相殺した。
しかし、着地の衝撃で耐久度が切れ、人工筋肉が内側から弾ける。
周囲を遮る物がないので、急いで森の中に飛び込む。
狙撃されては堪らない。
周囲に気を配り、予備の装備が入った匣を開け、手早く身に着けると戦線を離脱した。
掴み損ねた怨敵が夜空を滑空する。
姿をただ見逃すしかない自己に、精神が焼かれる。
配下は皆殺し。
あまつさえ配下の亡骸を用いて、角を折り、腕を断たれた。
築き上げた地盤。権威。力。矜持。
その全てが一瞬の間に静かに、そして冷たく死んだ。
追撃をしたくても、身体が言うことを聞かない。
撃墜したくとも姿が見えない。
なんと無様な事か。
この世の全てを手に入れた気分で蹂躙していた己が、小鬼と変わらない体躯の敵に蹂躙される。
配下を失った哀愁などない。
ただ己の物を蹂躙した相手への殺意と憤怒、敵意と憎悪が胸中に渦巻く。
失血の影響と精神の過負荷により倒れそうになるが、膝と残された腕で何とか支えた。
己より巨大な敵を屠ってきた棒は、怨敵を追う間に手放していた。
どれほどの強敵であろうと手放さなかった武器。
強靭な殻であれ、皮膚であれ切り裂いた右腕。
鬼は思う。
戦士としての矜持すら蹂躙されたのだと。
ふらつく足取りで元来た道を戻る。
しかし、途中で巨体は崩れる。
あまりにも被害が多すぎた。
特に角をへし折られたのが痛い。
半分も出せない力に怒りが蘇る。
不意に霞む視界に異様な物が映った。
つい先ほど切り落とされた腕が宙に浮かび、傍らには怨霊が浮かんでいた。
怨霊は嘗て狩猟者だった。
しかし、僅かな油断と驕りによって危険領域で命を落とした。
死んだ場所も悪かったのだろう。
他の狩猟者に魂魄を回収される事も無く、気が付けば魂魄は魔素に汚染され
危険領域を彷徨う間様々な狩猟者を見てきたが、一貫して怨霊が抱くのは命在る者への憎悪だった。
死しても生み出す穢れは、死霊から怨霊へと進化するのに時間は掛からなかった。
ある時、危険領域で妙な狩猟者を見つけた。
生前狩猟者協会で見かけた白い少女のような少年。
その少年が巨木の虚で“死んでいた”。
しかし、周囲を見回しても少年の魂魄は見当たらない。
死体の状態からして自分と同じように死霊化したとは考えられず、何より死体には魂魄体の小さな竜が魔力を注いでいた。
一定以上近づけば、こちらに気が付いている竜に殺される。
怨霊は離れて状況を観察していた。
そして驚くことが起きた。
確かに少女の魂は消失して死んでいたにも関わらず、どこからともなく魂が戻り蘇った。
怨霊の魂が絶叫する。
何故俺は死に、何故貴様は生きている!
命が在る者は憎い。
だが己と同じように死んだにも拘らず、何事も無かったかのように生き返った少年と言う存在自体に嫉妬し憎悪した。
それからというもの、怨霊は少年が危険領域に入る度に姿を追う日々。
そして今目の前に己と同じく少年への憎悪で、己が精神を焼き焦がす者が地に這っていた。
『憎いか?』『憎い!』
怨霊の問いに、大鬼が間髪を入れず咆える。
『許せないか?』『許すわけがない!』
振るえる。
互いの魂を繋ぐのは、かの存在への憎悪。
『力が、力が欲しいか?』『全てを蹂躙する力を!』
大鬼の意思と共鳴した怨霊。
その身を大鬼の腕に溶け込ませ、切り離された肩へと腕を繋ぐ。
繋がった霊子回路が互いの魂魄を繋ぎ、経験したことの無い不快感と歓喜に二つの存在が絶叫する。
どれだけ叫んでいたのか、どれほどの時がたったのか、どれほどの昼夜を過ごしたのか。
気が付けば二つの存在は深く深く繋がり、二つでありながら一つに成っていた。
全身に漲る力以上に、精神を塗りつぶす憎悪が心地よかった。
どちらの物とも知れぬ狂気の咆哮が、危険領域に響き渡った。
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