第42話 ギンコのっ!!
ぬぉおおぉぉぉぉぉっ。
--ゴガッ
「グガッ(あいたっ)!!」
天井で頭を打ってしまったのだ...。
--ガンッ
--ガリガリガリガリ
--ゴゴン...
「ぐるぅ...(むぅ...)」
結構広いと思ったのだが、どうも思ったより部屋が小さかったのだ。
身体の色んな所がズリズリ擦れて、壁とかが何だかいっぱい崩れてしまったぞ...。
おお、そうだ。
このままでは瓦礫が崩れてきて危ないからなっ。まずは床に置いといた銀子を回収しなければ。
--すー
--すー
むぅ、しかし...これだけ騒がしくしても銀子は起きんのか。
......。
--すやー
--すややー
ううぅー......。
何とも気持ちよさそうに寝ているのだ...。
こんな姿を見せられておると、妾もお昼寝がしたくなってきてしまうのたぞ...。
--うぬぬ...
だが、その為には先にあの女を何とかせねばならんな。
取り敢えず銀子は妾の背中にある羽毛の中に入れて...っと。よしっ、こうやって魔法で固定しておけば良いなっ。
羽毛は温かいし、そこなら風邪もひかんはずなのだっ。
そうそう『ドラゴンなのに羽毛?』と思うかもしれんが、妾の龍形態は白銀色をしておってだなっ。
鱗の他にも羽が生えておって、とってもオシャレな姿をしておるのだっ!!
なんと、ふわもこなのだぞっ!?
--ふぅ...
さてと、銀子も固定しおわった事だし、いよいよ此処から反撃開始なのだっ!
チクチクされたお返しをしてやるのだぞっ!!
んんー......。
......。
それで、あの女はいったい何処にいったのだ?
「ねぇあなた、油断しすぎじゃないかしら?」
「がぅっ?(ぬぅっ?)」
そこに居たかっ!
--ブオンッ
--ドガン
--ガラガラガラ...
むっ? この感触は...。
妾の尻尾攻撃が避けられてしまったのだっ。
--ぐぬぬ...
あの速度なら当たると思ったのだが...どうやって避けたのだ? 魔法の感じはせんかったのだが......。
むぅ、それにまた見失ってしまったぞ。いったい今度は何処に行ったのだ......?
仕方ない、疲れるから嫌なのだが。集中して気配を探すのだ。
周囲の魔素が何故かもの凄く濃いからな。そのせいで魔力の探知がし難い......そこなのだっ!!
--ドゴンッ
--ガラガラガラ...
今のは手応えがあったな。しかし、直撃ではないのだ...。
むぅ、周囲が壁に囲まれとるせいで、すごく攻撃がし難いのだ...。毎回攻撃が壁にあたってしまうせいで、いっぱい崩れて砂煙が舞ってだな。小さい相手だとすぐに見失ってしまうのだ。
「がうぅぁっ!(とりゃぁっ!)」
--ドゴンッ
--ガラガラガラ......
ふふふっ、今度こそ見切ったのだっ! 着地と同時ならば避けられんだろう!!
--ドガンッ
--ガラガラガラ...
--ゴゴ...
んむ?
--ゴゴゴゴゴゴゴゴッ
ぬっ、ぬぉぉおぉぉぉっ!?
天井が崩れてきたのだぁぁぁぁっ!!
--ゴッ
あいたっ!
--ゴツッ
ぬあっ!
まっ、まずいぞっ。
銀子にあたってしまうのだっ。
直撃くらいでは妾の護りは貫けんだろうが、流石に埋まってしまうと大変な事になってしまうのだっ!!
そっ、そうだっ、風の魔法で全部吹き飛ばしてしまえば良いのだっ!!
--ウィンド
--バシュゥゥゥウウウ
--ガッ
--ガッ
お、おおっ。密閉した場所で使ったから落ちてきてる瓦礫以外まで吹き飛んでしまってるのだ...。
ま、まぁ...これで広くなったしなっ。一石二鳥というやつなのだっ!!
「ん...んぅ」
むっ?
銀子が起きてしまったのか?
これだけ派手に音がすれば銀子でも流石に起きるのだな。
あっ...。
--ど、どうしよう...
妾の姿が変わっておるから、銀子がビックリしてしまうかもしれんのだ。
すぐに妾だと言って説明......は、無理だな。
--この姿だと喋れんし...
そうなると念話だが、あれはいきなりやられるとビクッとしてしまうからなぁ......。
妾もいきなりやられるのは好かんし。
念話を飛ばすと、もっとビックリさせてしまうかもしれんのだ...。
「んぅ...むにゃむにゃ...んー......っ」
っと、そうも言ってられそうにないのだ。
銀子が伸びをして目を擦るところまで起きてしまったぞ。
こうなったら仕方ない。
ビックリして逃げ出そうとしたら、その時なにか考えるのだ。
--さて...
「(銀子っ! 妾...レムなのだが)」
「んっ? レムちゃん...?」
ふむ、どうやら念話には驚かんようだな...。助かったのだっ。
それじゃあ早速説明を......。
「(う、うむ、そうなのだが、なんと言ったら良いのか)」
あー......。
んー......。
なんと言って説明すれば良いのだ?
『今、足元にいるのが妾なのだっ!』 で、大丈夫だろうか?
「(実は...)」
「んっ、レムちゃ...大きくなった?」
「(わっ、わかるのか?)」
「んっ」
--スン
--スン
「レムちゃ...の匂いがするっ」
「(うむっ これが妾の真の姿なのだっ)」
「んっ、ふかふかっ」
ふふふっ、そうだろう...そうだろうっ!
妾の羽毛はふかふかでぬくぬくなのだっ!!
さて、埋まらずに済んだことだしな、戦闘の続きなのだっ。
次は天井を崩さんように慎重に攻撃するぞっ!!
それで..ええと...あの女は......。
「あらあらあらァ? そんな事してる余裕あるのかしらぁ?」
「がぅ?(むっ?)」
★
なっ、何なのだこの魔方陣はっ!
声のした方にあの女がいたのだが...。
妾が銀子と話してる間に、足元に変なのを仕込まれてしまったのだっ!!
「ふふふ...ふふふふふふっ
これは思わぬ収獲だわぁ...
さぁ、隷属して私のものになりなさぁい!!」
「がっ がぅっ!?(なっ なにっ!?)」
まさかこれは隷属化の魔法陣なのかっ!?
まずいぞ、隷属化の魔法は犯罪者捕獲の為に、耐性を無視してくる種類のヤツがあるのだっ!!
一応、相当なレベル差があれば回避できる可能性もあるのだが、この女の強さだとそこまで差があるとは思えんし...。
ど、どうすれば良いのだ!? このままだと隷属化されてしまうかもしれんのだっ!!
こ、こうなったら魔法陣ごとあの女を尻尾で薙ぎ払うしかないぞ。
また天井が崩れてくるかもしれんが、今はそんな事言ってられないのだっ!!
「がぁぁぁっ!!」
「うふふっ」
--ガキンッ
なっ......。
この魔方陣、捕獲魔法までかかっておるのかっ!?
妾の尻尾攻撃が弾かれてしまったのだっ!!
--キィィィィィィィィィィィ......
まっ、まずいっ!
魔法陣が発動してしまうのだ!!
--キィィィィィィィィィ......
「が、がぁぁぁぁぁぁぁっ(ぬ、ぬぉぉぉぉぉぉぉっ)」
--ィィィィィィ.......ィィン......
..ィィン...。
......。
..。
...。
......ん?
えーっと...。何も起こらんぞ?
「がぅ?」
「あら?」
........。
ふむ。
あの女も首を傾げておるということは、これは想定外の事態なのか?
むふ...むはははっ!
全く.......。
とってもビックリしてしまったではないかっ!!
しかし、反撃するならば今は絶好のタイミングなのだっ!
次はドラゴンブレスで薙ぎ払って......。
--ポンッ
んっ?
何でこんな時に戦闘ログのウィンドウが目の前に出てくるのだ?
- - - - -
既に銀子の眷属として登録されている為。
隷属化の魔法は強制的にキャンセルされました。
- - - - -
......。
...。
ぎっ、銀子ぉぉぉぉぉっ!?
妾、眷属化しておったなんて初耳なのだがっ!?
いったいどういう事なのだっ!?
「(ぎっ、銀子。眷属化ってなのなのだっ!?)」
「んっ! ギンコのとったらメッ!!」
なっ......。
そ、そうではなくでだなっ。
わ、妾の上からそんな主張されても困るのだっ。
説明を、説明を求めるのだっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます