第39話 ひぃぃぃっ!!
それで早速宝物庫を目指して移動を開始したのだが、何故か上の方に反応があるのだ。
宝物庫と言えば普通は地下ではないのか?
最上階に宝物庫なんて邪道なのだっ!!
--よっ
--ほっ
--よっ
--ほっ
「ふぅ~、結構登って来たがこの辺りか?」
んんー。
--キョロッ
--キョロッ
「ふむ...」
この、いかにもボスが居そうな感じの扉が一番怪しいのだっ!
さて、銀子は......うむっ、ちゃんとついて来ておるなっ。
しかし、結構階段を登ってきたのだが疲れてはおらんか?
「銀子、休憩するか?」
「んっ、へーきっ」
「そうか......」
--よしよし...
「では、このまま突撃なのだっ!!」
「んっ! とつげきっ!!」
--ギギ
--ギギギギギ......
んんっ?
なんなのだこの部屋は?
「宝物庫だと思っておったが、ただのでかい部屋のようだな」
「んっ、お肉ない?」
「う、うむっ、無いみたいだなっ」
それにしても壁や天井の装飾は綺麗なのだが、椅子しか無いというのはいったい何のための部屋なのだ?
「んー......」
--くいっ
--くいっ
んっ?
銀子が袖を引っ張ってくるが、どうかしたのか?
「れむちゃっ...こっちっ、きらきらっ!!」
「んんっ? こっちか?」
銀子がこっちに何かを見つけたようだが......どれどれ?
きらきらと言うからにはきっとお宝に違いないのだっ。
「おっ、おおっ、本当なのだっ!!」
椅子の後ろに豪華な布が沢山掛けられておるのだが、その裏にキラキラと輝く宝石の付いた杖が突き立てられていたのだっ!
「ふむふむ...」
なにやら床に防犯のための魔法陣が書かれておるが、かなり強固なところを見るに......お宝に間違いないのだっ!!
「でかしたぞ銀子!!」
「んっ、ギンコでかしたっ! お肉ちょうだいっ!!」
「う、うむ...お肉は今ないからなっ、後でいっぱい食べさせてあげるのだっ」
「いっぱい...?」
「うむ、いっぱいなのだっ」
--ダラダラダラ...
「わかたっ、後でお肉っ...約束っ!」
--じゅるり
「んむ、お腹いっぱいを約束するのだっ」
「おなか...... いっぱいっ......!!!?」
さて、それでは早速...。
--バチンッ
ふむ、この魔方陣の中へ入ろうとするとこうやって弾かれるのだな。
--引寄(プル)っ!
--パシュンッ
んむぅ...魔法も駄目みたいなのだ。
無理やり破壊すると中の杖が壊れるように細工されとるようだし、魔法陣が発動する前に陣を壊せばいけそうなのだが、成功率は半々といったところなのだ。
出来ればこのお宝は確実に戴いてしまいたいのだが...。
このキラキラ具合は、間違いなく妾のコレクションにぴったりの一品なのだっ!!
んんっ?
それにしても、よく見れば周囲にこの魔方陣を破ろうとした跡があるのだ。
んー......これは、ここがこうなっておって、ここを繋げて別の魔法陣に変えようとしたようだが...。しかし繋げる部分がうまくいっとらんようだな。
んむんむ、ここをもう少し改造すれば繋げそうではないか?
ここをこうしてと...。
ぬっ...。そうするとこっちがこうなってしまうのだな...。
ふむふむ......ならばここをこう繋げれば...。
よしっ!
「出来たのだっ!!」
ふっふっふ、やはり妾は大魔導師だなっ!!
このような魔法陣、余裕なのだっ!!
「発動なのだっ!!」
--ブォン......
--ジジッ
--ジジジッ...
--パシュン!
んむっ、魔法陣はうまく破壊できたが杖はどこも壊れておらんな?
それでは早速インベントリに収納して、妾が後でピカピカに磨いてやるのだっ。
んー......ついでだしなっ、この部屋の装飾も幾つか良さそうなのをもらっていくのだっ。
--ふんふんふん~
--ふふふん~
「おっ、この燭台も良さそうだなっ」
--んっ?
「なんだ、壁とくっついておるのか」
仕方がない、壁ごとインベントリに収納なのだっ。
--ふんふふ~ん
--ふふんふん~
さてと、一通り回収できたなっ!!
......。
...。
う、うむ、ちょっとやりすぎてしまったかもしれんのだ。
流石に剥がれた壁と椅子しかないのは......。むむっ? もしかしてこの椅子も結構良いものではないか?
よしっ、これももらっていくのだっ!!
さて、それではそろそろ......えーっと...。そうだっ、ケイトを探しにいかねばならんな。
......。
うむ、忘れておったわけでは無いのだぞ?
たまたま此処に来たからお宝を保護していただけなのだっ!
「それでは銀子、そろそろ行くのだっ!」
「んっ!!」
銀子は途中から飾り布についておったでっかい毛玉みたいな装飾を見つけたみたいで、それをポンポン蹴って遊んでおったのだっ。
結構夢中になっておったようだが、妾が呼ぶとすぐに此方へ駆け寄ってきた...のだが、ちゃっかり毛玉は腰の鞄に収納したようだな。
さてさて、妾も銀子も欲しいものは戴いてしまったしなっ。ここにはもう用は無いのだっ!!
「あらぁ? おかしいわねぇ、壊した玩具がこんなところで動いてるわぁ」
「のあぁっ!!」
ぞくっとしたのだっ、鳥肌がやばいのだっ!
そうだった、ここにはこの鬼女がいるのだった!!
「それでぇ? 何処に行くのかしら?」
「い、いや、あれだなっ、そろそろ帰ろうかと思っておったのだっ」
「なぁによ、つれないわねぇ、私とまた遊びましょうよぉ」
「けっ、結構なのだっ!」
--サッ
--ザシッ
ふぉっ、ふぉぉぉぉっ!!
奇跡的に避けれたのだっ!!
絶対このタイミングだと思って勘で避けたのだが、目の前の空間にいきなり黒い刃が飛び出してきたのだっ!!
あのままあそこに立っておったらまた心臓を貫かれるところだったぞ...。
相変わらず魔力の反応も気配も感じない、恐ろしい初見殺しの技なのだっ。
「あら? おかしいわねぇ......」
--サッ
--ザシッ
--ザシュッ
「ぬぉぉっ!!」
二段構えなんて無理なのだっ!!
ちょっとだけあたってしまったのだ。
「あらあらあら?
よく避けるわね、いいわぁ...面白い...あら?」
どっ、どうしたのだ?
いきなり周囲を気にし始めたようだが...。
「そう言えばずいぶんこの部屋を改装したのね?」
「うっ、うむっ、すっきりさせてみたのだっ」
「へぇ......」
まっ、まずいのだっ、この部屋の変わり様を怪しんでるのだっ!!
「ところでそこにあった杖を知らないかしら?」
「し、知らないのだ」
「ふぅん......まぁ良いわ、あれ邪魔だったのよ」
「それなら良かったのだっ」
「でもぉ...あれ、使い道がまだあるのよねぇ」
「そ、そうなのか?」
......。
...。
なんだかとっても見られてるのだっ。
......。
「ふぅん......」
なっ、なんなのだ!?
じろじろと見られて気持ち悪いのだが。
「そっ、それでは妾はもう行くのだっ」
「......ねぇ、あの杖どこにやったのかしら?」
「わっ、妾は知らんのだっ!」
何だか危険な感じなのだっ。
どうにかして銀子をつれて逃げねばならん。
「まっ、まぁ、杖は頑張って探すといいのだっ」
しかし、いったいどうすれば良いのだ?
幸い、杖が見当たらんので攻撃の手が休んでおるが、今のうちに何とかせねばならん。
見たところ、あの金色の仮面をつけたデカイのはおらんようだが......。
「よし、銀子~そろそろ帰るのだっ」
「んっ!」
取り合えず、部屋から出たら銀子を抱えて全力で走るしかないなっ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます