第38話 ゲットなのだっ!!

 


 ◇ ◆ レムリア視点 ◇ ◆



  --風蹴(エアステップ)!!


    --風蹴(エアステップ)!!




「ぬぉぉっ 銀子ぉぉぉっ」



 何とか風蹴(エアステップ)で空中を駆けながらグリフォンを追いかけていく。


 子供が騒いでるせいなのか先程から他のグリフォンが寄ってきてなかなか追いつけないのだっ!!



「ぬぉおおおおっ 邪魔なのだぁぁぁっ」


  --電撃(ライトニングボルト)!!


 よし、これで結構減ったなっ。

 後はあの子グリフォンだけなのだっ!!


 しかし銀子が捕まっておるから魔法で撃ち落とすのは無理なのだ。


 むむむっ。



「よしっ」



 そうとなれば肉弾戦だなっ!

 妾の華麗な体術を見せてやるのだっ!!



「てあっ」


   --風跳(エアバウンド)っ!!


 そして此処で格好良くクルッとまわって上に飛んで....。



「とあっ」


    --風跳(エアバウンド)っ!!


 もっかい飛び上がってからクルッとまわってターンなのだっ!



「よしっ、上をとったのだっ!!」



 此処まで来れば後は無事に銀子を取り戻すだけなのだっ!


  --えーっと


   --えーっと...


 まずい、この後の事を考えて無かったのだっ。


 妾の体重だとレムキックを当てても落とせんだろうし、剣を突き立てようにもあんなに激しく動かれると狙いが定まらん。


 いかんぞっ、時間が無いのだっ!


  --そっ、そうなのだっ!!


「重力(グラビティ)」



 体重が足りんなら増やせばいいのだっ!


 これでレムキックがスーパーレムキックにパワァアップするのだっ!!


 

「ぬぉぉぉっ」


   --ゴシャッ


「クギャァァァァァッ」



 おぉっ、思ったより良い場所に攻撃が入ったぞっ。


  --よしっ


 グリフォンが断末魔の鳴き声を上げて落ち始めたのだっ。


 後は銀子を拾って風蹴(エアステップ)で脱出するだけだなっ。


  --えーっと銀子は...


 ぬぉっ、今の衝撃で銀子が投げ出されてしま......っ銀子ぉぉっ!?

 落ちながら串焼きを食っとる場合ではないのだぞっ!!



「くっ」


  --グシャッ


 空中でグリフォンを蹴飛ばして、銀子の方に真っ直ぐ飛び込んで。これなら落ちる前に拾えるのだっ!


   --がしっ


 よしっ、銀子確保なのだっ!!


 後は軟着陸を成功させれば無事に終わる。

 ここまで来れば簡単なのだ。



  --風蹴(エアステップ)



 これでワンクッションおいてから、反重力(アンチグラビティ)でちょこっと浮き上がれば...。



「って、ぬぉおおおおっ!!

 なんでまた壁があるのだぁぁぁぁぁっ!!」



 ぎっ、銀子だけでもっ。

 妾が壁の方に行ってクッションになれば。


   --ガゴンッ

  --ガラガラガラガラ


    --ゴゴゴゴ......



   --グシャッ


「......痛いのだ...」



 何だか最近こんなのばっかりなのだぞ。



「そっ、そうだ銀子!?」



 慌てて周囲を見渡すと、すぐ近くに蹲ってる銀子が見つかった。



「ぎっ、銀子! 怪我をしたのか!?」



 ま、まずいのだっ、最後着地に失敗したから何処かぶつけてしまったのかもしれん。



「うぐっ...ひぐっ...レム..ちゃ...」


「どっ、何処を怪我したのだっ?」


「串焼き...串焼きが怪我したっ」


「いや、串焼きは怪我しないのだぞ?」


「んっ、これっ」


「ん、んおぉっ、これは酷いのだ、グリフォンに毟られたのか?

 それでこっちはさっきの着地で落としたのだな...」



 確かに串焼きからしたら欠損レベルの怪我なのだが...いや、妾が聞いたのは銀子の怪我なのだぞ?

 むぅ、しかし本気(マジ)泣きされると、妾も弱いのだ。



「銀子、口を開けるのだ」


「ぐすっ...んっ?」



 おっ、おおっ、泣きながらも言うことは聞いてくれるのだなっ。

 ふむ...そうだな、串焼きはもう無くなってしもうたし、むぅ......。


 これはお祝い用のために買っておったやつなのだが、今はこれしか無いから仕方ないのだっ。


 銀子......、これは、最高級のサイコロステーキなのだぞっ。

 味わって食べるのだ。


  --ポイッ


「んんっ」


  --むぐ


   --むぐ


 ふぅ、食べ物に気が行って泣き止んでくれたみたいだな。

 流石、最高級お肉のパワーなのだ。


  --さてと...


 ところで此処は何処なのだ?


 ......。


 お、おおっ?


 何だか見覚えがあるような...。

 って、ここは妾が召喚された城ではないかっ!!


 まずいぞっ、ここにはあの鬼の女の気配が...むむ?

 いや、何だか変な気配が別にあるのだ。



「ふむ......」


  --探知(サーチ)


 むむむっ?

 何か強力な魔力の反応なのだが。


 しかしこの反応は.......生き物ではないなっ、多分魔道具なのだっ!


 城......魔道具......。

 これは宝物庫の匂いがするのだっ!!


 今は城に王様はおらんようだし.......。

 それなら、少しくらいお宝を貰ってもバレないのだっ!


 これはあれだ、いしゃりょう? とかいうやつなのだっ。

 妾を勝手に喚び出して、ほっぽり出したのが悪いのだぞっ!!



「よし銀子っ! ついてくるのだっ!!」


「んっ」


  --んぐ


   --んぐ


「まっ、まだ噛んでおるのか?」


「んっ」


「そっ、そうなのか......」



 あっ、味わってくれているのなら良いのだぞっ、うむっ。



「ええと......こっちに行くのだっ」


「んっ!」


  --むぐ

   --ごくんっ


     --っ!!


 ......。


 ...。



「......レム...ちゃっ 無くなった」


「うっ、うむっ」


「...おかわりっ!!」


「いや、あの肉はあんまり量がないのだ」


「もう...ない...?」


「うっ...」



 そっ、その目はずるいのだっ。



「さっ、最後の1個だぞっ!」


「んっ!!」

  --んあー


 って、もう口をあけてるのだっ。


   --ぽいっ


「これで最後なのだぞっ」


「んっ」


  --んぐ

    --んぐ



 さて、気を取り直してレッツ宝物庫なのだっ!!



 

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