第28話 オシャレさんなのだっ!!
◇ ◆ レムリア視点 ◆ ◇
「ぬぁあぁぁぁぁっ」
--ゴッ
「がッ」
--ゴッ
「あがっ」
--ゴッ
「ぬがッ」
痛いっ、痛いのだぁぁぁっ!!
--ガガッ..ガガガガガッ
--ゴガッ
「ぬぐっ」
なっ、なんなのだっ!
--ガコッ
「ぬあっ」
凄い勢いで瓦礫の山が後ろに向かって流れていく。
お腹を何かに掴まれていて、身動きが全然とれないのだっ!
--ガガガガガガッ
「あがががががっ」
妾を壁に擦り付けるのは駄目なのだっ!!
削れるっ、身体が削れてしまうのだぞっ!?
--ゴゴッ
「ぬふっ......」
あたまっ、後頭部がっ。何かで思い切り強打したのだっ。
「ぬぉぉぉぉっ」
しかもいっぱい柱とか瓦礫が飛んで来るぞっ。
はっ、早く抜けださねば、まずいのだっ!
--何か魔法を...
「あがっ」
--なっ、何かっ 何でも良いのだっ!
「ぬぉおおぉぉぉあああっ 斬れるのだぁぁぁっ」
--ヴォン...!!
--ザシュッ
「よしっ 抜けだせたの...だぁぉおぉぉぉっ!?」
着地地点に壁っ...壁があるのだっ...。
--ドゴォン
--ガラガラガラガラガラ...
--ゴンッ!
「ふぎゃっ......」
--サラ
--サラ
「ひっ、酷い目にあったのだ」
いきなり手が伸びてきて、紙一重で避けたはずだったのだが...。
その回避に反応して腕が伸びるなど反則なのだっ! 完全に予想外でびっくりしたのだぞ!?
--紙一重で避けるのではなかった...
「うぅぅ...」
......あっ。
そっ、そう言えば、妾を掴んでたやつは何処に行ったのだ...?
逃げ出す時に腕を斬り落としてやったはずなのだが...むぬぬぅ。
--全く気配を感じんぞ?
それにしても凄い量の砂が降り積もっておるな、風で舞っておるせいで視界が全然ないのだ。
「ふむ...いっそこの砂ごと全部吹き飛ばしてしまうか?」
何処かに隠れておっても全部吹き飛ばせば倒せそうだしなっ。そうだな...やるなら爆破系の魔法が...あっ...。
そ、そう言えばケイトから街を壊すのは駄目だと言われておったのだ。
危ない危ない...。
んー...しかし、気配は全く無いし、音も砂のサラサラとしか聞こえんし...。
視界まで悪いと、下手に動く事が出来んのだ...。
試しに探知魔法で周囲を探ってみたのだが、この砂全部に反応してしまってよくわからん。
もしかしたらこの砂で探知魔法を妨害しておるのかもしれんな。
--ふむ...
それならこの砂だけでも吹き飛ばせば良いのか。
街に被害を与えずに吹き飛ばすとなると風魔法だなっ!!
--よしっ
「ウインド...ばーす..? とっぉぬぉぁあっ!!」
--ブォォンッ
何か影が見えたと思ったら、鼻先を先程の腕が通り過ぎていったのだっ。
「あ、危なかったのだ...」
今度は紙一重ではなく大きくさけたから捕まれなかったぞ!!
あ、いや、でも驚いたせいで魔法が不発してしまったのだ...。
ぬぅ...しかもまたあの腕のヤツが砂で隠れて見えなくなってしまったぞ。
--サラサラ
--サラサラサラサラサラサラ
--ザザー......
「むっ?」
何なのだこいつらは?
先程のでかいのは見当たらんが、何かミイラがいっぱい砂から生えてきおったぞ?
しかも、金色の仮面なんぞを付けておって...とっても御洒落(おしゃれ)なミイラではないかっ!!
むぅ...ぴかぴかした仮面、ちょっと欲しいかもしれん。
「ちょっと寄越すのだっ、座標確認(チェック)、そいで引寄(プル)っ!」
--シュンッ
お、おぉっ、意外とずっしりしていて、貴金属独特の重みと冷たさが...ふへへ。
「お宝ゲットなのだっ」
--しかもまだいっぱい居るのだっ
「おぉ...ぉぉぉおぉぉ..ぉぉ...」
む? 何か仮面を剥いだやつがいきなり苦しみだしてしまったぞ?
顔を手で覆って蹲ってしまったのだ。
--も、もしかして...妾のせいか?
「ぉおぉおぉおおおぉぉぉぉっ」
--バザザァッ!
「むぉぉっ」
す、砂になったのだっ!
これは...倒してしまったのか?
「ふむ...」
この仮面が弱点なのか...?
ただの変哲もない金の仮面に見えるのだが、言われてみれば何か呪いっぽいものが掛かっておるような気もする。
--えーっと...
これは洗脳の術式か? 他にも操作や幻影の魔法も掛かっておるみたいだな。
まぁこの程度の魔法なら掛かってても掛かって無くても関係ないのだ。
--それよりも...
「むふふ...」
--確認(チェック)、引寄(プル)っ!
--確認(チェック)
--引寄(プル)っ! --引寄(プル)っ!
--引寄(プル)っ!
--引寄(プル)っ!
--引寄(プル)っ!
--引寄(プル)っ!
--
--
--
......。
ふひひ、黄金がいっぱいなのだっ。
「「「ぐぉおぉぉぉぉぉ..おぉおぉぉおおぉぉぉ..ぉぉお..ぉぉ...」」」
--バザァア...
--ザザァ --バサササササッ
おぉ、全部砂になってしまったのだっ。
それにしても...ふふ..いっぱい..ピカピカなのだっ。
手に入れた仮面を早速1つ装備するのだっ!!
よしっ......これで妾も御洒落(おしゃれ)さんだぞっ。
何やら呪いが流れて来ておるきもするが、妾の抵抗力以下なので特に気にせんでも良いだろう。
残りは取り敢えず収納(アイテムボックス)に放り込んでおいて、宝物庫を手に入れたら飾るとしよう......ふむ...。
--そう言えば...
何か忘れておるような気が...。
「何か大事な...何だったか...?」
おっ...おお、そうなのだっ、ケイトを忘れておったぞ。
ケイトがはぐれて迷子になったからなっ、探しにいかねばならんのだっ。
--ザザザ
--ザザザザザ
「んぉ?」
何やらまた砂が盛り上がり始めたぞ?
再びさっきの仮面が出てき...た?
--ササ
--ザササササッ
--ザササッ
いや、今度は仮面だけが出てきておるようだが、これは...。
「お、おぉ...」
集まった仮面が、盛り上がった砂の表面を流れて登って行くぞっ!
他のところからも次々に仮面が集まってきて、巨大な塊になったのだっ!!
「ぐぉおぉぉぉおぉぉぉぉっ」
おおおおおおっ!!
すごいぞっ! すごいのだっ!!
仮面の鱗で身を包んだ、全身ピカピカなミイラが出てきたぞっ!!
何だ、あの最高に御洒落なアンデッドはっ!
--ズズ
--ズズズズ
ぬぉぉっ、ミイラの顔にワンちゃんの仮面が生えてきたのだっ。
「欲しいっ」
あのピカピカの仮面も手に入れるのだっ!
「うぅぅ..ヴヴ...」
「う?」
何だか様子が変なのだ。
「我を...マドわす..のは...ヤめよ...」
おぉぅ、何か言い出したぞっ。
「チしき..は渡サぬ...ぐぐグ..渡サぬぞぉぉぉぉっ!!」
--ブォンッ
「ぬぉぉっ」
凄い勢いで掴みかかってきたっ!
--...ん?
お、おぉっ......思い出したのだっ!
そうなのだっ、こいつを探しておったのだっ。
間違いない、妾を掴んだ腕とおなじなのだ!!
んー...だが...。
切り飛ばしたはずなのに、腕が元に戻ってしまっておるな。再生したのか?
それにしても...。
「カ..えせ...がぁぁァァ..ぁぁっ」
むぅ、何か言っとるみたいだが...。さっぱり意味がわからんのだ。
こっちの世界ではボスっぽいのは意味不明な事を話すのが普通なのか?
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