第25話
次の日。部室のドアを開けたとき、起きてから放課後までをいっさい思い出せないと気づいた。部室のドアを開けたとき、そこにみんな、つまり、部長、算所、安高、そして宮本さんがそろっているのを見てやっと目が覚めたのだ。
ああ、明日になったのか、と。
もう、今日か、と。
「遅かったな」
そう部長がすこし笑った。その声に僕と同じ気持ちを感じた。
「みんながはやいんじゃないですかね?」
そう、僕は特に遅れるような事件はなかった。はずだ。たぶん。覚えていないけど。
「そのとおり。みんながはやかったんだよ、国枝」
算所の声も同じ気持ちを含んでいた。
「ぜんぜん問題ないですよ」
と、宮本さんは笑顔だ。ああ、こうして毎日会えるなんて、あの時は想像もしなかったな。ああ、魔法とはこれだ。魔法は実在したんだ。
「とはいえ、すみません、待たせました」
軽く謝ってから部屋に入った。
「古株さんは?」と遠藤部長が聞く。
「すでに学校についてる手はずです」
さっきまでの笑顔を消した宮本さんが答えた。凛としている。鈴の音が聞こえるような声とたたずまいだった。
「では、これで全員そろったと」
部長の確認。
「はい」
「やったぁ!」と安高。わかりやすい。
何もいわない算所だが、さっきの声からも気持ちはわかるし、安高のようにもできないだけだろう。顔を見れば気持ちはもっとはっきりよくわかった。
僕と同じ顔だろう。
「それでは」
宮本さんの声が場をまとめる。
「……魔法学校へ行きましょう!」
やっぱり、学校名を言うのがいやなのね。
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