第19話
「それは私も同感です」
宮本さんが力強い声を出した。思ってもいない彼女からの言葉だったが、彼女のほうが事件に詳しいのだから古株のやりかたへの疑問はまず彼女が持っただろう、とも思えた。
部室が静まる。全員が古株を見ている。僕も椅子ごとずれて彼を見た。目を瞑っている。腕を組み、椅子に深くもたれた姿勢は答えを思案する姿には見えなかった。
すこし時間がたった。
そして、もうすこし時間がたった。
「その辺は宮本に任せるつもりだったんだけどね」
「まる投げはないでしょ」
やっと古株の中で決まったらしい。手の内を明かすような答えに、宮本さんがふてくされたように返した。
「正直なところをいうと、面倒が増えたと思ったのが半分。もう半分は手が増えた、と期待ができた」
古株は続ける。
「国枝君についてはすぐに調べた。君があの時なにをやったのかも想像はついた。少少手荒ではあるが、そのスキルは、磨けば使えると思える」
「宮本、昨日の顛末は西東には報告すみ?」
「はい。国枝君の名前は伝えてませんけど。西東先生には聞いてないんですか?」
「そこまでの時間がなかった。君をここに呼ぶので手一杯だ」
「隠したかっただけでしょうに」
「ま、君から伝わってるのなら十分だ。西東なら」
「で、だ」
そこで古株は、大きく手をたたいた。
「開発部も全員そろってることだし、手間がない。続きは明日、こっちでやる」
「こっち?」
僕が聞き返した。
「そう。こっち。明日の放課後はまた開発部は全員ここに集合してほしい」
古株の視線がめぐる。
「続きはブロッケン女子魔法高等学校で話そう」
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