第5話 民本主義
私は30代後半に美濃部都政の広報を担当した。今が美濃部都政だったら、マッチしていたであろうと思うのである。何故かというと、公園における車椅子の道、バリアフリー、都営バスの無料化など今の少子高齢化社会にピッタリの政策が行われていたのだった。そういう方向性の中での広報作業は楽しいの一言だった。先見性のある美濃部亮吉氏は、現在のような全体主義的、国家的な主義とは違って大衆の心理や行動を取り入れながらの政策は見事だった。
私は都の広報で電通賞をはじめ多くの賞を受賞して、クリエーティブの力を付けたことを忘れることができないと同時に感謝している。革新都政だからできることであって、保守からの脱皮は、正に、現在の様相と似ているが、何で、政党政治の限界によって、政治の私物化や利権政治の復活など、日本にとっては不味い状態になってきている。革新都政の大転換によって、公害が減り、空気の澄み切った日本に詠み帰ったのは美濃部都政のお陰であった。
人を大切にする政治を行われなかった証拠があの痛ましいまつりさんの自殺へと導かれてしまった反省は政府はじめ政治の失敗が原因のひとつであったことを忘れてはならない。現政権が掲げる1億総活躍社会というスローガンは、当たり前すぎて内容のないクリエーティブだ。弱い女性やお年寄りに犠牲が来る社会なんて辞めた方がましである。人にはそれぞれの役目があり、会社で働くだけが仕事ではなく。家庭内の仕事も評価しないと日本のこれからはない。理由は優秀な人材は夫が働き、女性が家庭を守り、バランスの取れた家庭から、優秀な人材が育つのであって、働きながら子供を育てることは、特に、子供が小さい内は無理であり、子供の教育に集中しないと勝ち組になれないことは、入試や入社試験でも証明している。いいところを出ないといいとことへ就職出来ない現実を、もっと、知って欲しいし、将棋の世界でもそうだが、幼少の時から抜きん出ないとプロになれないと同じように、勉強だって、小学校から抜きん出ないと勝負にならないのである。女性が働いていて、しかも、子供を上層部に入るということは不可能に近いのである。洗濯、掃除、ゴミ出しなど家庭にも多くの仕事があることを忘れてはならない。
水元公園で見た現在の車椅子の道は道に雑草が生えて使用できない状態であったのを視るにつけ現在の政権運営はどうなっているのかなと感じる今日この頃であるが、美濃部都政と比べると情けない気がしてしょうがない。社会構造はトマ・ピケッティの言うように格差社会になってしまい。何時の時代でも弱いところに皺寄せがくる寂しい社会になってしまった。
企業エゴの犠牲になってしまったことに国民1人ひとりを大切にする政治の理念があまりにも不足している。
カジノ法案ひとつを取っても国民は本当に望んでいるのか疑問である。ただ、闇雲に強行採決で強引に進める政治は民本主義から程遠い。
日本ってほんとうに民主主義なのかなと、最近、疑問に感じる予算が膨大に膨れ上がった節約を忘れた経済はいずれ破綻が来るような気がしてならない。公的資金のバランスのとり方が問題である現政権はいずれ変わることは目に見えてきているのである。
企業においても働くことと、休むことのバランスを考えないとダメな時代に突入したのだ。古い体質の経営者の出番はなくなったのであるということを忘れないで欲しい。今までは、只働くだけで、休みには家でゴロッとしてるだけの生活であったが、人生を楽しむという余裕のある働き方をすることも大切であろう。
D社においても我々の新入社員当時よりも余裕ができて土曜日、日曜日などの出社も撮影などの特別な日以外は休みがとれるようになった。かなり改善されている現在であって暇な部署もあり、全体が忙しいわけではなくそれ程、以前のような働き蜂ではないのが現状である。
転部の希望も常にとっているし、無茶苦茶な作業は少なくなってきている。残業も他とは違って、待ち時間が多い。実際に作業を行っているのはカメラマンやスタッフなどであって、前述したように、ほんとうに忙しいのはプロダクション関係である。D社はマネジメントを行う会社であって、アウトソーシングの進んだ会社なのだ。
新入社員当時は学ぶ意味もあって、社内で作業することも多いが馴れてくれば社外スタッフを使えるようになって、実際の残業の内容、考え方やプレゼンの資料づくりが主であり、プレゼン内容も新車などの秘密作業が多いので、コピーを他人に頼まないで自分で行っているのである。情報が漏れないように気を使っての作業で前日には夜遅くまで1人でコピーをとっている程度であって、さほど、苦しい作業ではなかった。修業時期はどんな世界でも同じで、苦しい時代なのだ。実際に稼げるようになるまでは自分たちの時代を想い出しながら、今も変わらないのではないか。
D社自身知識産業の会社なので、実際の製造業や飲食業のように身体を使うということは少ないのである。頭脳ワークの会社であって、労働者の怪我などからはじまった労災などの制度の認定も複雑で難しくなってきたのは、サービス業などの作業は人との交わりが主であり、精神的なモノが多い作業なので、肉体労働とは違った内容で、外部の人々には分かり難い面も多々あり、昔よりも違った査定を要求されるからややっこしい時代になってきたなと私は感じる。身体での労働力なら分かり易いが、精神まで読むことは至難の業であって、完全な判決は難しいのが現実である。いずれにしても、彼女のような悲劇を繰り返さないことだ。
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