第3話 精神一到
大学時代は朝、私は遅く起きる癖が付いていた。社会に出るとそうは行かなかった。
1年目の大晦日、昭和40年ころに銀座にあった日航ホテルから銀座の本社まで、
ウエスト、アマンドなどの喫茶店はホースで水かけながら掃除をしている最中に
大きな木製の製図版を両手で抱えながら会社までの道のりで考えることは「エライ会社に入ってしまったな」という反省。プレゼンテーションとは言え31日まで働かせる企業へ入ってしまったという悲劇と自己責任の間には葛藤があり、
私はコネもなく学校推薦で受けて合格して、電話口でバンザイした自分の愚かさを感じていた。
元旦も出社だったので、式だけだったが「こんな会社に入ったんだから、かなり頑張らないと……。」という期待感があり、精神を集中して遣らなければ生き抜いていけない会社だと認識した。生半可な姿勢では仕事に負けてしまうと肝に命じた。
正月明けは4日からの出社であって、巷では初荷を行っている日にお得意さん周りをするというサービス精神旺盛な会社であり、当時、営業は『連絡』と呼ばれ得意周りに所為を出していた。
我々広告の企画制作は宣伝技術局と呼ばれていた。連絡はチョロチョロと得意周りの間に宣技はプレゼンテーションのためにホテルに缶詰めの状態であった。
アイディアを何100案もラフ原稿で考えなければならなかった。ホテルはタバコの煙と人の息で空気が悪く。とても長時間居られる状態ではなかった。食事もホテルの決まった食事だったので、最初は美味しく感じたが2週間の缶詰状態だったので、猛烈に家に帰りたかった。
私は疎開世代であり、信州の親父の実家に疎開を3年半した。夏は北アルプスの見える別荘地であった。冬の寒さにはヘキエキしていた。1里ある銭湯の帰りは1時間程の道のりではあるが、家に帰った時には銭湯を出る時は暖かった手ぬぐいが凍ってしまって剣のように立つ状態になってしまった。
疎開世代として根性だけは人に負けないという自負があった。バブル世代のような軟弱さは持ち合わせていない。だからこんなハードな会社でも忍ことができたと思っている。3歳~5歳という幼少期に疎開という苦難な道を通ってきたので、会社のどんなハードなことでもクリア出来たのだった。世代によってはしんどい作業に耐えきれないのかもしれない。
D社は官僚組織を真似ている。得意の仕事では横組織で動いているが、社内関係は古い組織体を踏襲している。
実際の作業は上位得意3000社を大小のチームで担当している。プロジェクト制のような柔軟な組織で対応している。社内組織との矛盾な縦横の入り乱れた組織によって、混乱が生じることも多い。
組織の原点は軍隊であって、縦系統なので、命令は通り易いが一方交通のために下からの意見が通りにくい。柔軟性に欠けて時代に合わなくなつてきている。
実際の経営陣は得意に直接携わらないことが、得意の事情を良く知らないに等しい認識で事に当たるために現場と違った行動を起こしやすいのである。今度の事件が社内問題でかたずけられないというチグハグな行動をして何回も同じ失敗を繰り返すのである。得意がらみでしかも3000社の違った個性を尊重しながら行う作業の難しさは営業やクリエーティブなどの現場を担当した人間でないと解らない。
私もT社はじめとして100社以上の広報を担当した経験からして述べさせて貰う。各会社によって考え方も広報の方向も全然違うのであり、得意が替わって半年~1年は学習しなければならない。同じ担当を10年行っている者もいるが、私は意識的に、3年で別の担当になるように心掛けた。これはいろいろの会社が担当できるD社の最大のメリットであって、この特徴をいかさなければならないと頭を回らした。
社内の組織とは関係ない仕事内容が現実に行われていて、例えば役員でさえ得意に対して口出しできない状態が現実なのである。昔は士農工商代理店と言われる程下げ済まされている現実を忘れてはならない。外から見る程、楽な作業ではなく。前述したように世界一を唱えれば企業としてクリエーティブを含めてトータルに世界一の質を求められるのである。
このような状態の中での特別の作業は過酷であって、5月の連休も易々と休める職場ではなく。D社以上にプロダクションをはじめとする関係会社は過酷な作業を引居られるのが現状である。
TVの撮影などの時には2日で行わなければならないので、徹夜になることも多いのは看護士や消防士、医師などと同じように職業上仕方なく現実的には夜勤に近い作業なのだ。
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