　辺りを憚らず爆泣きしている女子高生に恐れをなして、先客のキッズは逃げていった。公園に二人きり。重い。

「泣かないって言った」

「泣いてない～！」

　全部濁点がつきそうな声だ。二人分のハンカチは既に水浸し。制服の袖が犠牲になりつつある。

「だってわかってたもん」

　バスケ部エースで生徒会長。容姿端麗、品行方正。そんな男に平成最後のアタック（死語では？）すると駆けてって、今に至る。

　差し出した紙パックのいちご牛乳は一息でなくなった。水分は涙になったとして、じゃあ糖分はどこに？

「泣いてないもん」

　うそつき。

　バレー部エースで生徒会副会長。容姿も品行もまあまあ。次善でよくない？　そう言えない自分には、泣く資格なんてない。

（299文字）

「Twitter300字ss」企画参加作品／お題「涙」

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