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私が魔法のペンを渡した後

「私の心配はしなくていいから」

アンジェはそう言っているのだけど全然大丈夫なんかじゃない

彼女は自分すらも道具としてしか見ていない

アンジェの行為が彼の姿を思い浮かべさせた

…リチャード、これがあなたが望んだことなの?

こんなことのためにアンジェにあんなことをさせたの?

自分すらも道具として、アンジェの手で殺させ己の闇を抱えさせた


「憎しみは憎しみしか生まない。アンジェはもう止まれないというの?」


「こんなところにいたのかジェシカ」

「ゼータ…貴方…!!」

ジェシカが思い切り掴みかかる


「俺を殴って気が済むのなら好きなだけ殴れだが、これはミツバの決定だ決して覆らない」

「ゼータ!アンジェは弟のために…今まで生きてきたのよ!!今回の定例会議でそれを利用してアンジェを」


「そうだ。アンジェを殺したのは俺だ。否定はしない。全知全能の力ですら及ばないこともあるのだ」

「…アンジェはいつ死ぬの?」

「聞いてどうする?助けるか?無理だな」

「どうして!?何で最初からあきらめてんのよ!」

「ミツバの予言によると、その時俺たちとアンジェは別行動助けに行く時間はない」

「どう…して」

「言うと計画が狂うから詳しくは言わない。アンジェは魔女にとってで死ぬ今言えるのはそれだけだ」

魔女にとっての最悪の形…


「まさか…火炙り!!?」

「…おそらく…な」

それはアンジェが罪人として殺されるということを意味していた…

アンジェもそれがわかってる


「全ての罪を自分一人で背負うつもりだ。皆を守るために」


「そのにアンジェは含まれてないのよ!」


「…アンジェは策があるといっていた。恐らくノイズの先を突き止めようとしている」

「ノイズの先…?」

「ノイズはアンジェを妨害し続けていた。時には痛みすら与えるほどに」

「七罪の魔女に妨害できる存在なんているわけないじゃない」

「俺も最初はただの副作用だろうと思っていただが」


「アンジェは言うのだ。『声が聞こえた』のだと」

幼いアンジェを見てきたが時折何かに話しかけるしぐさをしていた

「声ですって?それが何か関係して」

「リチャードが死んだ晩。アンジェは言った。俺たちの中に何かがいる…と今思うともしかしたらアンジェはを聴いたのかもしれない」

「彼女って…あの?でも死んだはずじゃ」

「俺もよくわからない。リチャードがおかしくなったのもそれが原因じゃないだろうか」


「魔に堕ちた仲間を葬るのがアンジェの仕事だったわね。今思うとぞっとする」


アンジェが何を思い、あの時リチャードを殺したのか私達には想像できない

だがあの日をきっかけにして彼女がおかしくなったのもまた事実

どうか無茶だけはしないで

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