10節

「ここが貴女の部屋ね」

304号室

「ありがとう」

そういって部屋に入る

…?

ここも結界か

どうやら皆には信用されていないようだな

こんな結界壊すのは容易だけど壊したら気づかれる

幸い害はなさそう

とりわけ低級の魔法でも反応するってわけだ


「まぁこんなもの魔法ペンマジックペンで囲ってしまえばどんな魔法でも使える」

書き書きすると書いた字が消える

「書いた本人にしか認識できないから便利よね」

行く前にジェシカにいろいろもらっといてよかったな

心配性だし、世話好きだし

「まぁ…世話好きなのは最初からか」


一度だけ、訊ねたことがあるどうして私に優しくするのかを

そういうと彼女は笑いながらこういった

――アンジェの事好きだから。

その言葉自体は嘘ではなかったのだけれど、ほかにも何か大事なことを隠しているのではないかと


コンコン、とドアがノックされた

「どうぞ」

ノックして入ってきたのはノアだった

「アンジェー一緒にお風呂入らない?」


「…えぇ、でも少し寄り道をしてもいいかしら。施設を案内してほしいの」

「…わかったわ」

少し歩くとそこは人気のない場所だった

一応警戒していたのだけど予想外のことが起きた

「ごめん、大丈夫だった?部屋」

「ふふっあのおかしな魔術結界の事ですね。大丈夫ですよどれも発動してませんし」

「いや、あの」

「私に部屋のことをバラしてはあなたの立場が悪くなるのでは?」

「そ、それは…そうなんだけど。私はそういう監視されてるなんてどうにも許せなくて」


「私は何も聞いていない、部屋にも何もなかった。そういうことにしときましょうか」

「本当にいいの?皆には言わない?」

「えぇ、やましいことがないなら言う必要性もないでしょう?」



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