秩序の維持とその努力

革命を為せばそこで終わりではない。党は革命の果実を収穫し、次世代に繋げなければいけない。その為には強固な法と治安機関が求められる。

党はその前衛性ゆえに、敵が多くなることは避けられない。敵の最大の力である軍隊には、党の軍隊で応戦すればよい。問題は体制に潜む敵だ。

取り締まりのために、ねこうさぎ党則というものが用意されている。これは本来なら、党のあり方や方針、党員向けの内部規約に過ぎない。しかし、党が領域支配を成し遂げた後は、いわゆる民法、刑法に相当する文章が組み込まれる。つまり党則が法律と憲法を兼ね備えた状態になるということだ。

通常の問題ならこれで対処できるが、政治犯となると、事は難しいものとなる。なぜなら政治犯は、己の強固な信念をもって、党の秩序を破壊してしまおうとしているからだ。人では無く、秩序に対する暴挙には通常の刑罰では対応は困難と言えよう。ただ牢屋に入れて、一定期間が経てば釈放する。はたまた処刑では、抜本的な解決ではない。

反動分子を減らすことが解決法であり、収監や処刑はいたずらに敵愾心を煽る結界になりかねない。そこで党では「愛情教育」というものを取り入れている。これは反動分子を偉大なる総裁ねこうさぎ様のポスターで埋められた独房フードコートに、水だけで5日間、党歌にゃういすと讃歌を大音量で聴きながら過ごすというものだ。5日後、革命的料理パンケーキの前で、ねこうさぎ様、ならびに党への忠誠を誓う。誓えばパンケーキを食べでよく、歯向かうなら処刑というシステムになっている。

これにより、反動分子がねこうさぎ様の素晴らしさに気付き、改心した例は数多である。不用意な処刑は、血を見たくないねこうさぎ様の意向にそぐい、なおかつ殺害しないことで寛大さを示すことができる。

愛情教育は敵国の捕虜やスパイにも行われ、ねこうさぎ党の理想に触れ、後進地域へのにゃういずむ浸透に一役買っている。

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